我々が子どものころ、家にあったクルマと言えばたいていセダンだったはず。実家が商売をしていた担当Kの場合、父親がライトバンを乗り継いでいたため、マークⅡグロリアなどに乗っている家庭がうらやましかったとか。あれから30年……。国産セダンの新車なんて滅多に出ないのが当たり前のなか、なぜかセダンやワゴンが元気な輸入車の謎に迫りました!



MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi

池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu



◆国産車では絶滅危惧種セダンやワゴンが輸入車では元気な理由



 今回はボディタイプを、服に譬えてみたいと思います!



軽自動車サンダル

コンパクトカー→Tシャツ

ミニバン→ジャージ

SUV→お洒落スポーツウェア

セダンスーツ

ステーションワゴン→ジャケット



 我が国でもかつてはスーツが主流で、それ以外はブルーカラー的な扱いでした。その後、配達用だったステーションワゴンがオシャレ着に昇格し、ブームが起きた時期もありましたが、21世紀に入ると、サンダルTシャツジャージの勢いに押されまくり、いずれも消滅の危機に瀕しております!



 現在の大まかなシェアは、サンダル4割、Tシャツ2割、ジャージ2割、お洒落スポーツウェア1割、スーツジャケットは足して1割弱!



 おかげで、国産のスーツジャケットは、恐ろしい勢いで市場から撤退しました。



 国産スーツは、もともとドブネズミ的なサエないオッサンイメージが強く、そこから脱することができませんでしたが、現在は顧客がそのまま高齢化してほぼジジイ専用に。国産ジャケットはすべてが中途半端ということで、絶滅寸前に追い込まれています!



 ところが、輸入車の世界では、まだまだスーツジャケットが強い。なにせ海外メーカーは、日本で主流のサンダルジャージを作ってないっていう事情もありますが、それにしてもなぜ、輸入車のスーツジャケットは生き残れたのか?



 それは、ブランドものだからです! 輸入セダンやワゴンに乗っているのは人生の成功者。それに乗れば、ジャージ等で満足している大衆を見下すことができる。だからあえて窮屈なスーツジャケットを着るのです!



 ただし、セダンやワゴンのシェア低下は、世界的な傾向でもあります。そこで、欧州メーカー各社、生き残るために工夫を凝らしています。



 スーツつまりセダンに関しては、かつては仕事や冠婚葬祭用でフォーマルさが重要でしたが、現在は各社こぞってスポーティなイメージに振っています。仕事人間から、休日はスポーツマンになるヤンエグ(死語)へのリボーンですね。



 このたびプジョーリリースした新型508は、さすがおフランス製だけに内外装とにもスタイリッシュセダンながらハッチゲートを持ち、休日はテニスラクロスを楽しむイメージでしょうか。こういうのを昔はハッチバックと呼びましたが、プジョーは「ファストバック」と呼んでおります。ちなみにアウディは「スポーツバック」と呼んでますが、この際一蓮托生セダン系ということにさせてください。



 このプジョー508、乗ってもまさにヤンエグでした! 走りは羽のように軽快、乗り心地はフランス車っぽくしなやかで印象グンバツ、とってもイケてる感じです。これで417万円からは安い!



 しかも3年後には、中古車が100万円台で狙えそう。個人的には今から中古車狙いです。100万円台でヤンエグになれる! 新車の軽と大差ないやんけ。



 一方ボルボが発表したのは、V60クロスカントリーです。V60(ステーションワゴン)の車高を上げてSUVに仕立てたクルマで、見るからにデキるオトーサン。ステーションワゴン市場はセダン市場以上に縮小状態につき、こうしてアクティブイメージを強化することで、生き残りを図っているのですね。



 このクルマ、乗り味は大船のごとくゆったり、それでいて加速はシャープ。さすがエリート乗り物だ。価格は549万円から。休日ごとにリゾートクラブに出撃して汗を流すイメージでしょうか。



 この分野、国産車ではスバルレガシィアウトバックくらいしか生き残っておらず、それも国内ではほぼ死に体ですが、ボルボは元気です! サンダルTシャツジャージ軍団ははるか下界ですネ!



【結論】

いまあえて輸入セダンステーションワゴンに乗るのは、一種の貴族趣味と言えるでしょう。貴族なのに中古車相場の下落が大きいのもウレシイ。3年後は酒池肉林だ。ワクワクするなあ~

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com





2リッターディーゼルと1.6リッターガソリンターボをラインナップ。新型BMW3シリーズより安くていい感じです。ナビなどの操作ボタンで、「ピアノ売ってちょ~だ~い!」のタケモトピアノごっこもできます