極寒の宇宙と暖かな地球の大気が生み出す寒暖のコントラスト――こいつを利用すれば、ソーラーパネルと似た要領で発電ができてしまうのだそうだ。
しかもソーラーパネルと大きく違って、こちらのシステムは夜にこそ真価を発揮する。
夜や悪天候であっても発電が可能な、新しい再生可能エネルギーとして期待されるものこうしたわけである。
―あわせて読みたい―
なんと!発電する腸内細菌が発見され、発電に使用される遺伝子が特定される(米研究)
涙と唾液から発電する方法が発見される(アイルランド研究)
まさに自家発電。歩くことで発電する外骨格ズボン、「パワーウォーク」を米海兵隊と陸軍が統合運用試験
人間の尿から発電し携帯電話を充電することに成功(英研究)
人間の尿から発電し携帯電話を充電することに成功(英研究)
ソーラーパネルの仕組みを逆転させて宇宙発電
ソーラーパネルは基本的に大きな光ダイオードで、シリコンのような素材の中にある電子を励起させることで、太陽から届いた光子(光の粒子)を電気に転換する半導体でできている。
しかしアメリカ・スタンフォード大学のオノ・マサシ氏らは、このときの光ダイオードの動作を逆転させ、光子を赤外線放射(熱放射)として装置から放射することにした。すると、このときに少量の電気が作られるのだ。
これは「負の照明効果(negative illumination effect)」を利用したもの。
具体的には、赤外線半導体を夜空に向ける。地球よりも宇宙のほうが寒いために、熱は宇宙へ向かって逃げようとする。発電はこの流れによって行われる。
「宇宙の広大さは熱力学的リソースです」と共同研究者のファン・シャンフィ氏は話す。
「光電子物理学的に見ると、入射から発電するのと放射から発電するのとでは、それはもう美しい対称性があるのです。」
実用化はまだ先でも、可能性は広がる
なお今回の実験で発電できたのは、1平米あたり64ナノワットとごく微量でしかない。それでも、あくまで概念実証の段階なのだから、それに成功しただけでも素晴らしい成果だ。
実用的な程度に発電ができようになるまでは、もっと効率性を上げる必要がある。現在のソーラーパネルが1平米あたり100~200ワットを発電できることを考えれば、先はまだまだ長そうだ。
理論上は、適切な素材と条件を揃えることで、今の100万倍以上――1平米あたり4ワットを発電できるようになるそうだ。
町全体の電力を賄うわけにはいかないかもしれないが、夜間に消費電力の少ない機器を動かす程度なら、早い時点で有望なシステムになるかもれない。
とりあえず可能なことは証明された。今後は、その性能をいかに改善するかだ。
そして、その有効性が確認されたのならば、同じ仕組みを機械からの排熱にも応用できるかもしれない——可能性は広まるのだ。
この研究は『Applied Physics Letters』に掲載された。
References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo
全文をカラパイアで読む:http://karapaia.com/archives/52274215.html
こちらもオススメ!
不気味の谷の手前でギリギリセーフ?ロシアの放送局が起用したヒューマノイドロボットのニュースキャスター
アメリカで交通取り締まり役としてのポリスロボットが開発される。ドライバーと警官の間の暴力事件防止の為
コーヒー、ビール、コーラ。好みの違いは味覚遺伝子ではなく向精神成分に関連する遺伝子が原因(米研究)
AIで架空の人物の「全身」を作る技術が登場。実在の人間にしか見えない「全身モデルを自動生成AI」(日本企業)
ドローンから昆虫型の小型ドローンが大量散布。NASAが使い捨て偵察ドローンの飛行実験
―知るの紹介記事―
歯や目を見てみよう。猫の年齢を見分ける方法と猫の寿命
ミノタウロスの神話に真実はどこまであるのか?怪物創造の神話を紐解く
発達障害によるパニック発作で苦しんでいる男の子に対し、愛猫がとった行動。猫は何をするべきかを知っていたようだ。
子供の頃ポケモンのゲームに熱中していた人の脳には「ポケモン領域」がある(米研究)
プロの義肢職人が、脚を失った動物たちに最適な義肢をカスタマイズ。再び走り回れるよう願いを込めて(アメリカ)
カラパイアの公式アプリがついにリリース!サクサク見やすい、使いやすいよ! https://t.co/0PBhJB1jK7 pic.twitter.com/M1QblHgKJ7
— カラパイア (@karapaia) 2017年12月9日
コメント