働く堅実女子のためのビジネスで役立つマナー、今週は田辺亜由美さん(仮名・サービス・30歳)からの質問です。

「この春入社してきた社員の新人教育を担当していますが、ぜんぜん仕事を覚えてくれません。ミスを注意しても、“あ、間違えました。すみません”とは言うんですが、また同じところで間違える。“自分が間違えやすいところはメモを取って忘れないようにして”と言っても、“大丈夫です”と聞いてくれません。ぜんぜん大丈夫じゃないのに……と思うと、こちらもイライラして言葉がきつくなってしまい、自己嫌悪してしまいます。メモを取らない新人をどうやって指導すればいいでしょうか」

メモをとらなくても覚えていられる、間違えないというなら問題ありませんが、メモさえ取っていれば間違えないのではないか……と思うと、教える側としてももやもやしてしまいますね。でも、新人といっても大人ですから、メモを取らない人にペンを握らせて無理やり書かせるというわけにもいきません。メモを取らない新人に、早く、ミスのない作業をしてもらうにはどうしたらいいでしょうか。鈴木真理子さんに伺ってみましょう。

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メモは重要。まずは習慣になるまで根気よく教育しましょう

メモが取れない人が増えています。企業のビジネスマナー講習でも、メモを取る時間を設けても何もしないでいる人がいて、“メモを取らなくても大丈夫ですか?”と聞くと、全部スマホで録音しているから結構ですと返されることもあります。でも、録音したものを、あとで何度も繰り返し聞く人がどれくらいいるでしょうか。自分に足りないところ、覚えておきたいところだけをピンポイントでメモ書きしておいたほうが、読み返しも簡単ですし、自分で書くことで記憶に残りやすいものです。

メモ書きは、自分のためのオリジナルの業務マニュアルです。メモだけしてもそれを生かせなければ意味がありませんが、メモを取らなければ、そもそも学びが蓄積できません。メモは仕事の振り返りにも必ず必要になるものですから、習慣になるまで根気よく教えていきましょう。

例えば、初めて仕事を教える際には、間違いやすい部分については“ここはメモしてね”と都度伝える。“後で書きます”、“覚えました”などと反論するようであったら、“今書いて、念のためにメモを取っておいて”と言って、書くまで待つ。また、ミスをしたときの指摘のときに“書かなくても覚えられます”と言われても、“いついつこういうミスをしたよね”と具体的に伝えてメモを取るように促してみてください。“メモを取らなかったからミスしたわけじゃないです”と歯向かってきても、“メモをとってミスが減るかどうかやってみようか”と前向きな提案をしてみてください。

メモを取りたくても取れない場合はどうする?

一方、教えられる側として、メモを取るタイミングがつかめなくてメモが取れないという人も少なくありません。先輩がどんどん説明を進めていくので、話を聞いて頷くだけで精いっぱいという人や、メモを取っていると、その次の話が耳に入ってこなくなってしまうという人です。

そういう場合は、“メモを取ってもいいですか”といったん説明を中断してもらいましょう。話を止めるのは失礼ではないかと考えてしまいがちですが、メモを取らないことで覚え間違いや飛ばし聞きをしてしまいミスを頻発するほうがよろしくありません。また、そのときメモさえ取っていればわかるようなことを、あとでもう一度聞くというのも、先輩の時間を余計に奪うことだと心得てください。メモを取りたい、という意思表示は、真剣に話を聞いているというあらわれです。そして、書いたメモを読み上げて“この順番でよいでしょうか”と先輩に聞くなどしてメモを充実させましょう。作業をする際には、そのメモを基本にすすめ、それでも不明点があったならもう一度教えてもらいましょう。その繰り返しがあなたの成長にもつながりますし、先輩にも信頼されるでしょう。

昭和時代のビジネスパーソンの中には、“1度しか言わないからメモを取らずに記憶に刻め”“メモに頼るといつまでも仕事が覚えられない”などという人もいたりしますが、そういった精神論、根性論は業務の効率を下げるだけです。高圧的な態度をされるとメモを取るのを躊躇してしまいがちですが、“念のためメモさせてください”と食い下がりましょう。それでもメモを取るななどと言われるようであれば、身の振り方を考える必要もあるかもしれません。

メモを取ってもミスが多いようならマニュアル作成を

どんなに言ってもメモを取らない。そしてミスをする。あるいはメモを取っているにも関わらずミスを繰り返すという場合には、もはやその人はメモとの相性が悪いとしかいいようがありません。そんな場合には、先輩であるあなたが作業マニュアルを作成してあげるのも手です。

たとえばスプレッドシートなど、追加共有が容易なものを使えば、適宜注意点を増やしていくことも簡単です。“そのやりかたはマニュアル資料の3番を見直して”“マニュアル資料のどこどこに書いてあるからそれに沿ってもう一度やってみて”“新規のミスが発生しているから、スプレッドシートに正しいやり方を書いておくから見ておいてね”などとやりとりすれば、教える側の労力も最小限となるでしょう。仕事を覚える気がないんじゃないか、舐められているんじゃないかと思うとよけいイライラしてしまいます。感情的にならずに、どうすれば自分の業務効率があげられるかを考えてみてください。

先輩OLは辛いよ。

賢人のまとめ

メモを取れない人が増えていますが、習慣になるまで根気よく教えてあげましょう。また、ルーティン業務であれば、注意点を含めマニュアルを作って業務資料として渡すのも手です。作成には一定の時間がかかってしまいますが、ひとつ作っておけば、今後のあなたの業務効率もあがるのではないでしょうか。

プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションインストクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

(株)ヴィタミンMサイトhttp://www.vitaminm.jp/

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