2019年7月15日(月・祝)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演される劇団☆新感線いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』」の製作発表会見が、5月13日(月)都内にて行われた。

本作は、2016年に同劇団で上演された舞台『乱鶯』で脚本を務めた倉持裕と演出のいのうえひでのりが再びタッグを組む作品。頭の切れる軍配士とずる賢い謎の浪人を中心とした王道の人情時代劇。本日の会見には、いのうえと倉持に加え、出演する古田新太早乙女太一、清野菜名、須賀健太、高田聖子、粟根まこと池田成志が出席した。

倉持は「劇団☆新感線からまた執筆依頼をいただけて、嬉しく思っています」と前置きしたうえで、脚本を手掛けるまでの経緯を語った。「『けむりの軍団』は、いのうえさんから、黒澤明監督の映画『隠し砦の三悪人』と太宰治の小説『走れメロス』を合わせた話にしたいんだが何かできないか、と(笑)。そうなると主人公が古田さんで、囚われている親友役が池田さんかな。でもそうするとラストしか二人の絡みがなくなってしまうので、ならば二人でお姫様を守る話にしました」だが、執筆途中で偶然古田に会った際、『激しいアクションは若い俳優に任せたい』と勧められたので言われたとおりにしました(笑)というエピソードを紹介。「敵対する大ボスには劇団を代表する“重鎮”高田さんと粟根さんにお願いすることに」というと「重鎮って」と高田と粟根が笑い転げていた。

倉持裕

倉持裕

さらに倉持は『乱鶯』のときに古田を出ずっぱりにしたことに対して、「古田さんが半ば本気で「殺すぞ。一服する暇もねえじゃないか」と怒っていたことを踏まえて、今回は古田さんが一服できるインターバルを作るように細心の注意を払いました」と話すと一同大笑い。

いのうえは「『いのうえ歌舞伎』では、『週刊少年ジャンプ』の作品ような熱い男の子の芝居を多く上演してきましたが、何分、劇団員の高齢化が進んでキツくなってきた部分があり、今回のような別路線の芝居を倉持くんや青木豪くんなどにお願いして、年相応の『いのうえ歌舞伎』を作っていこうというコンセプトで行こうと思いました。今はブーツを履いて髪が赤だったりする時代劇が多くなってきましたが、あえてちゃんとした時代劇をしたい。骨太な人間ドラマを僕らなりに描きたいです」と力を込めていた。

いのうえひでのり

いのうえひでのり

主人公・真中十兵衛役を演じる古田は「俺は劇団員なので、この役は古田ね、と言われてはい、と答えました」と簡単に話を終わらせようとして笑いを誘う。「『代表作は次回作です』っていつも言ってるんですけど、これが自分の代表作になればいいなと思います。(早乙女)太一くんや(須賀)健太くんたちに『舞台にコンプライアンスはない』ということを教えていきたいですね」と言葉を続け、さらに笑わせていた。

目良家の侍大将・飛沢莉左衛門役の早乙女はこれまでの話を受けて「動き担当です」と一言。そして古田との共演が念願だったと語り、「古田さんと刀を交えたいとずっと思っていたので、何よりも嬉しいです。古田さんももう初老の域に入り(古田が「そうだよ!」と合いの手を入れる)今が倒し時かなと思うので(笑)テクニックでは勝てませんが、若い体力を使ってついていきたいです」と意気込んだ。

早乙女太一

早乙女太一

厚見家から目良家に嫁いだ正室・紗々姫役の清野は、「お転婆な動き担当です」と早乙女の第一声に続く。「新感線は二度目ですが、いのうえさんから『今回は本格的な時代劇』という言葉を聴いて、台本に書いてある言葉の意味がわからず、苦戦しそうですが、皆さんから学ぶ姿勢で取り組みたいです。新感線さんの作品では楽しんだもの勝ちだと思うので、とにかく楽しみたいです」と笑顔を見せていた。

厚見家の家臣・雨森源七役を演じる須賀は、「いのうえさんの千本ノック担当」。「元々舞台に出演したいと思ったきっかけが新感線だったので、前回出演した『髑髏城の七人』Season月 上弦の月 と比べて、『けむりの軍団』には劇団員の皆さんがそろって出演されるということが幸せです」とほおを上気させる。

須賀健太

須賀健太

目良家の権力者・嵐蔵院役の高田は「劇団☆新感線の重鎮です。嫌われ者担当だと思います」とニヤリ。「39公演という響きが軽いのでてっきりネタものかと思っていたら本格的な時代劇で」と驚きを口にしつつも「脚本を読んだらすごく面白くて。落語的な楽しさがあるなと感じまして。老成している私たちにとってはもう一つの舞台になるんじゃないかな」とコメント

高田聖子

高田聖子

目良家と敵対する夭願寺の住職・残照役の粟根も「重鎮その2です。屁理屈担当です(笑)」と語り「屁理屈を駆使して、皆さんを煙に巻こうと思っています。『けむりの軍団』だけに」と笑いを取っていた。「前回の『乱鶯』では途中から幽霊になり、古田くんにしか見えなかった。今回は皆さんと敵になったり味方になったりしながら絡んでいきたいです」と抱負を述べた。

浪人・美山輝親役として、古田とバディを組んでいく池田は「ウソばっかり言う役になるんでしょうが、今回はちょっぴり善良な役なので、ちょっぴり緊張しながら稽古に入ることになると思います」と述べ「台本が電話帳くらいの厚さなので、長いなと思いながらどこかカットする方向で考えながら読んでいったが、意外ときっちり入り組んでて、非常に悪辣な台本になっていて(笑)テンポを上げないと面白くなく、だからといってテンポを上げると体力が……今から戦々恐々としています」と話していた。

質疑応答では本作の内容に絡め、「これまでに人を翻弄したことはあるか? 逆に翻弄されたことはあるか?」という質問が飛ぶと、いのうえは「IHIステージアラウンド東京で公演をやる羽目になった事。『回る劇場に興味はありますか?』と聞かれたので『あります』と答えたら、やるのは4年間ですよと言われて、2年間で許してもらいました。ずっと(作品を)作っては稽古し、作っては稽古し……翻弄されたなと思います(笑)」と苦労を振り返っていた。

一方、古田は「その時々にひどく愛した女かな」と意味深に語り出すと隣から池田が「記事にしづらいわ」とツッコミ。「ひどく愛した女に翻弄され、ひどく愛した女を翻弄したことがあります」とさらに話を続ける古田に会場中が大笑い。

早乙女は須賀との共演エピソードに触れる。「本番中に健太が自分の番じゃないところで台詞を言い出して、周りもビックリ。最近では一番翻弄されました」というと話を聴いていた須賀が「舞台中に突然間があいたんです。『僕の番だ!』と思って大声を出したら舞台上にいる皆がお客さんみたいな顔して僕を見ていました」と苦笑い。
逆に須賀は早乙女から舞台が終わった後もご飯に誘われる事が多いという話を。「僕だけが呼ばれたのかと店に行ったら大体柄本時生くんがいて(笑)。僕は2番目なのかと翻弄されていました」というと早乙女が噴き出していた。

高田は「大学時代にたまたま手伝ってと声をかけられ、そのまま稽古場に連れていかれ、古田さんのジャージを着せられ、ヴァンヘイレンみたいな曲に合わせて踊らされて行けそうだから、明日からよろしくと……そこから30数年、踊らされてます(笑)」と新感線に翻弄され続けている事を語っていた。

最後に池田の番となると、池田の実家の留守番電話に渡辺いっけいが下ネタだらけのメッセージを残し大げんかになったエピソードを語り出す。「20年以上経ってから、あれは渡辺いっけいじゃなくて古田くんの声真似だったことが判明したんですよ!」するとニヤニヤしながら古田が「もしもしー? 成志? 渡辺いっけいです~」と声真似を披露。池田は「いっけいとは仲が良かったのにその友情を壊し、延々とそれを告白しない。根の深い翻弄をされました。古田くんのことは皆さん、信用しないでください」と訴えて大爆笑のまま会見はお開きとなった。

取材・文・撮影=こむらさき

(前列左から)清野菜名、池田成志、古田新太、早乙女太一(後列左から)いのうえひでのり、粟根まこと、須賀健太、高田聖子、倉持裕