日系企業を中心としたオープンイノベーションによるMaaS(Mobility as a Service)構築を通じて社会問題のソリューションを提供するWILLERS(村瀨茂高社長、本社:シンガポール)は5月14日、同月よりシンガポール4月27日にオープンしたばかりの国立公園、ジュロン・レイクガーデンズでレベル3自動運転バスの実証実験を翌15日より開始、6月1日より半年間、一般入園客を乗せた無料での営業運転を行うことを発表した。なお、無料営業運転期間終了後は有償での営業運転・商業化に移行し、最低でも2年半の間運行することを予定している。 REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、WILLERS

 この実証実験はWILLERSおよび、三井物産の子会社シンガポール最大のカーシェアリング運営企業である「CarClub」、シンガポール政府の準国営エンジニアリング企業「STエンジニアリング」との共同プロジェクト。

 WILLERSがビジネスデザインと企画・運営を担当し、バスの運行主体に位置付けられる。CarClubは人材管理を含めたバスの運行オペレーション、STエンジニアリングは自動運転制御技術と車両のメンテナンスを担当する。

「ナブヤ・アルマ」の車内
自動運転バス呼び出しアプリの画面イメージとジュロン・レイクガーデンズ内の走行コース図

 乗客はジュロン・レイクガーデンズ内の事前に設定されたコース内で専用スマートフォンアプリを使用し、乗車したい場所、降車したい場所、人数を入力、送信。指定した場所でバスの到着を待って利用するという、アプリを用いたプリセット型オンデマンド運行の形態を採る。

遠隔監視システムによる動態管理イメージ

 この実証実験を通じWILLERSは、乗客およびジュロン・レイクガーデンズ内の歩行者が自動運転バスに対しどのような不安を抱くか、また運賃がどの程度なら利用したいと思うかなど商業化に向けた調査を行うとともに、運行マニュアルの策定や、レベル4自動運転へのステップアップに向けて遠隔監視システムによる動態管理や実地データ収集も実施。その成果をもとに、今秋より日本でも実証実験を行う計画となっている。

WILLERSの村瀨茂高社長

【ナブヤ・アルマ 主要スペック
全長×全幅×全高:4.75×2.11×2.65m 乗車定員:15人(11席+4人) 車両重量:3450kg 最高出力:15kW 最高速度:25km/h 対応スロープ角度:12% 充電時間:8時間(3.6kW)/4時間(7.2kW) 対応時間:9時間

ナブヤ・アルマ