中国人民広播電台(中国人民ラジオ)は25日、運営するニュースサイトで「海軍潜水部隊は(春節=旧正月)の休みも訓練の手を緩めない。新型潜水艦も作戦能力を全面的に獲得」と題する記事を発表した。中国新聞社など各紙が同記事を転載した。

  中国では伝統的に、春節(旧正月、2013年は2月10日)から元宵(旧暦1月15日、2013年は2月14日)が「正月期間」となっており、政治や経済の動きもそれほど活発ではなくなる。中国人民広播電台の記事は、「海軍の南海(南シナ海)艦隊某潜水艦支隊」を取材したところ「毎日のスケジュールが訓練でびっしり。休日はなく、強化訓練が続いていた」と報じた。

  潜水艦乗組員の生活については「長時間にわたり潜行する。淡水や空気は贅沢(ぜいたく)品」、「家での生活なら1、2日間体を洗わないとつらいものだが、われわれは1カ月の間、支給されたわずかな水で体を拭けるだけで、上々だ」と紹介した。

  具体的な艦の種類や艦名は書かなかったが「新型潜水艦」について強調。「大量の新技術と新装備を採用した」、「機械にどんな故障が発生しても、ただちに故障箇所を判断せねばならない」、「投入されてから時間は浅いが、すでに全面的に作戦能力を獲得したと断言する」、「大小の故障が発生しても問題ない。つねに工場と交流している。(当方が)故障を直した場合、工場に修理方法を伝えて、指導することもある」などと伝えた。

  記事は、軍歴21年の乗組員の話として「多くの潜水艦を操縦したことがある。訓練のためロシアに行ったこともある」と記した。

  中国海軍は、敵国に向け弾道ミサイルを発射する能力を備える戦略潜水艦原子力、通常動力)、敵の艦船を攻撃する攻撃型潜水艦原子力、通常動力)をすべて保有している。

  中国の潜水艦はこれまで「騒音が極めて大きい」、「電気火災を起こしたことがある」などと、性能や運用面の問題点を指摘される場合が多かった。ただし、2000年を過ぎてからは新型艦の投入が相次いでいるとみられている。

  潜水艦における居住条件は水上艦に比べて相当に劣悪だ。まず、通常動力艦の場合には、空気の確保が問題になる。原子力潜水艦の場合には豊富な動力を用いて海水を電気分解して酸素を作り、二酸化炭素を除去することができるが、逆に航海期間が長くなり、乗務員は長期にわたり閉ざされた空間での生活を余儀なくされる。

  米国では、かなり早い時期から潜水艦における劣悪な居住条件が結果として戦闘能力や安全性を低下されるとして、居住空間の改善が重視されるようになった。中国人民広播電台の記事は、乗務員がいかに劣悪な環境を耐え忍んで、献身的に勤務に励んでいるかを強調した。

  現場の将兵に「戦うための条件」を与えられているかどうかを問うよりも、「休日返上で訓練」、「つらい環境を耐え忍ぶ」などの「精神力」に主眼を置く点で、戦前における日本の軍関連報道に似ているとも言える。(編集担当:如月隼人)