アマゾン・ドットコムは、かねて発表していた計画どおり、米ケンタッキー州に巨大な航空貨物ハブを建設する。同社は5月14日ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が参加する起工式を行った

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巨大航空貨物ハブが起工

 この航空貨物ハブは、ケンタッキー州ヘブロンのシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港に建設するもので、ベゾスCEOのツイッターへの投稿によると、その面積は約28万平方メートル(東京ドーム6個分)。アマゾンはこの施設に約15億ドル(約1600億円)の費用を投じる。

 施設の開設は2021年を予定しており、2000人以上の雇用が創出されると、アマゾンは説明している。

 ただ、米フォックス・ビジネスによると、この施設は将来、より大規模なものになりそうだ。アマゾンはこの空港で、今後50年にわたり、その13倍に当たる900エーカー(東京ドーム78個分)の敷地を賃借する契約を結んでいる。この施設では、100機のアマゾン専用貨物機が駐機できるという。

アマゾン専用ボーイング機、50機に拡大

 アマゾンは、これに先立つ昨年(2018年)12月、米オハイオ州ウィルミントンの航空貨物会社、エア・トランスポート・サービシズ・グループ(ATSG)との提携を拡大し、同社専用の貨物機を今後2年かけて計50機に増やすと発表した。

 同社が航空機を使った輸送業務を始めたのは2016年。当初は、ATSGと、米アトラス・エア・ワールドワイド・ホールディングスから「ボーイング767-300」を合わせて約10機リースしていたが、これが今では40機に増えている。

 一方、同社は施設の拡大も着実に進めている。昨年は、シカゴ・ロックフォード国際空港にある航空貨物施設の敷地面積を6700平方メートルから1万8600平方メートルに拡大すると伝えられた。

 また、テキサス州のフォートワース・アライアンス空港に新たな航空貨物ハブを開設し、オハイオ州のウィルミントン・エアパーク空港に新たな貨物仕分け施設を開設するとも伝えられている。

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過熱する急ぎ便競争

 その目的は、同社のeコマース商品を、より迅速かつ効率的に運ぶことだ。同社は米国の「Prime」会員に、追加料金なしで提供している配送サービスを迅速化する。国土の広い米国では、注文日の翌々日に商品を届ける「Two-Day Shipping」が、これまでの標準的なPrimeの配送特典だったが、今後は、翌日に届ける「One-Day Shipping」を標準にする。

 ベゾスCEOも今回の起工式で、このOne-Day Shippingに言及し、「この航空貨物ハブで、商品をより迅速に届けられるようになる」と述べていた(米シンシナティ・ビジネス・クーリエ)。

 一方、米小売大手のウォルマートは同日、アマゾン対抗の無料翌日配送サービスを発表した。1回の購入金額が35ドル(約3800円)以上であれば、無料サービスが適用されるというもので、会費は取らないという。当初はアリゾナ州フェニックス、ネバダ州ラスベガス、南カリフォルニアでサービスを開始するが、段階的に対象地域を拡大し、年内には米国人口の75%をカバーするとしている。

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画像:アマゾンHPより