エネルギーと電力分野のオープンソース技術イノベーションを推進・維持する Linux Foundation のイニシアチブ LF Energy は 5月15日 (現地時間)、新たな創設プレミアメンバー Faraday Grid、新ゼネラルメンバーIBM、OSISoft、Recurve、新アソシエイトメンバー合計20組織が加盟し、新プロジェクト Energy Market Methods Consortium (EM2)、OpenEEmeter、Open Energy Data Initiative をホストすることを発表しました。
また、3つの新プロジェクト Energy Market Methods Consortium (EM2)、OpenEEmeter、Open Energy Data Initiative を、LF Energy がホストします。
- OpenEEmeter は、エネルギー消費の変化を数値化し、グリッド リソースとして構築する際のビハインド ザ メーター (消費者側にある蓄電池) の柔軟性を可能にするための標準規格を提供することにフォーカスしたオープンソース エンジンです。プロジェクトは、Recurve (以前の Open Energy Efficiency) によりコントリビュートされました。
- Energy Market Methods Consortium (EM2) は、メーターとグリッドの両方でエネルギーの柔軟性を数値化し、スマート メーター データを使用する際の顧客のプライバシーを確保するための標準規格を設計します。同プロジェクトも Recurve (以前の Open Energy Efficiency) によりコントリビュートされました。
- Open Energy Data Initiative は、分析と計算の向上を可能にする高価値なフェデラル データセットへのオープンデータ接続の構築にフォーカスしており、米国エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所 (NREL)によりコントリビュートされました。
LF Energy のエグゼクティブ ディレクターである Shuli Goodman は、次のように述べています。
「LF Energy は、グローバルなエネルギー プロバイダーと連携し、オープンソースとオープン スタンダードを活用して集中型グリッドを分散型システムに変換するために、最新のダイナミックな環境でスケーラブルなアプリケーションを構築・運用しています。LF Energy のモメンタムと支持が急速に高まっていることを非常に嬉しく思います。LF Energy に参加しコントリビュートするプロジェクト、開発者、メンバーの活発なエコシステムは、安全で柔軟で持続可能なグリッドを実現するために非常に重要です。」
Elering、Energinet、ENTSO-E、Faraday Grid、TenneT、RTEなど、LF Energy 創設メンバーは、5月13日・14日ブリュッセルで開催した InnoGrid2020+ ( https://www.innogrid2020.eu/ ) に集まり、オペレーターやコントロール ルームを越えたイニシアチブを拡大する新プロジェクトを展示・紹介しました。また、Shuli Goodman は、初日の閉会で挨拶を行い、Faraday Grid は、5月14日のパネル “Time to Market” に参加しました。
新プロジェクトのバックグラウンド
LF Energy は、補完的なプロジェクトを一つの拠点に集めて、発電・集約から送電・配電・需要反応に至るまで、電力エコシステム全体と柔軟なサービスをサポートする互換性ある共同ソリューションを作成するオープンフレームワークとリファレンスアーキテクチャを提供します。
- Energy Market Methods Consortium (EM2) : Energy Market Methods Consortium は、オープンソースコードにリンクされた標準化メソッドを開発し、資源としての柔軟性向上を可能にし、エネルギー プログラムと分散型エネルギー源 (DER) マーケットをサポートしています。EM2 には、次の3つのワーキンググループがあります。CalTRACK : メーターベースの消費量の変化の測定値を標準化、 GRID : 要求可能な節約のための負荷形状に与える相対的なインパクトのためのメソッドを提供し、ネットグリッド インパクトを予測、SEAT : AMI データを使用した幅広いデータドリブン ポリシーとマーケットベースのユースケースを可能にする差分プライバシーを活用。EM2 は、Recurve (以前の Open Energy Efficiency) が主導する長期のプロセスを経て、公益事業者、規制機関、評価機関、ソフトウェア会社、負荷形状アグリゲーターなど、さまざまな利害関係者グループによりコントリビュートされました。
- OpenEEmeter : OpenEEmeter プロジェクトは、資源としてのビハインド ザ メーターの柔軟性ある市場を可能にするエコシステムのために、ビハインド ザ メーター ビル介入から、分散型エネルギー資源の一貫した取引単位の定義、透明性の確保、数値化可能な標準規格の提供まで、毎月、毎日、毎時のエネルギー消費量の変化を数値化するオープンソース エンジンです。OpenEEmeter は、EM2 の OpenEEmeter ワーキング グループによって作成されたメソッドを実装しています。プロジェクトは、Recurve (以前の Open Energy Efficiency) によりコントリビュートされました。
- Open Energy Data Initiative (OEDI) : OEDI のミッションは、高価値エネルギーとデータセットへのアクセスを改善および自動化し、研究者と業界関係者がデータを実用可能かつ解明可能にし、分析を加速しイノベーションを推進することです。OEDI は、技術コントリビューションのガバナンス監視を行い、複数のデータセットとデータレーキをキュレートし、データセットに基づくマシン ラーニングと人工知能を開発・サポートします。最初のコントリビューションは米国エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所 (NREL)により行われました。
- OperatorFabric は、電気、水道、その他の公益事業で使用する、モジュール式で拡張可能な、耐久性が高い、実証済みのプラットフォームです。OperatorFabric をベースとしたマルチシステムの技術的・組織的モジュール Let’s Coordinate を使用すると、電力システム内のオペレーター間の技術的・組織的コミュニケーションが効率化されます。
- PowSyBl は、リアルタイム オペレーションから投資計画まで、電力システムのシミュレーションと分析のためのコード ビルディング ブロックを提供します。
- Resilient Information Architecture Platform for Smart Grid (RIAPS)は、監視と制御、データ収集と分析、エネルギー管理、マイクログリッド制御、保護アプリケーションなど、効果的で安全で強力な分散型スマートグリッド アプリケーションを構築するためのコア インフラストラクチャ & サービスを提供します。
10カ国から参加するメンバーとともに、LF Energy は、オープンソースと汎用 x86ハードウェアを利用して、変電所バスを非集約化・仮想化し、コストダウンとデータ消費能力を促進するデジタル変電所プロジェクトなど、新たなイニシアチブに着手します。2番目の予測できるメンテナンスプロジェクトは、IoTとドローン技術を利用し、センサー、地理空間イメージ、ハーモニック リスニングを使用したAIとマシンラーニング アルゴリズムを構築します。さらに、2つの Stanford オープンソース プロジェクト Powernet、Visdom は、すでに LF Energy と連携しています。
LF Energy 創設メンバーによる支援のコメント (原文) は、プレスリリース ( https://www.linuxfoundation.jp/press-release/2019/05/lf-energy-ecosystem-gains-momentum-for-open-source-innovation-with-new-members-and-projects/ ) をご覧ください。
LF Energy は、オープンソース エコシステムを育成するために必要なリーダーシップ、インフラストラクチャ、トレーニング、リーガル サポート、コミュニティ アウトリーチを提供し、オープンソースを活用したエネルギー効率と省エネ、再生可能エネルギーの統合、電気モビリティへの代替パスを整備します。ハイブリッド クラウド、コンテナ、マイクロ サービスに携わるエネルギー部門のエンジニアと開発者は、グリッドを迅速にデジタル化するオープンソース ソフトウェアの開発・テスト・改善に関して学習し、LF Energy コミュニティに参加 ( https://www.lfenergy.org/join/ ) することを推奨します。
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