「大物、って感じなんですよ。すごい記録を作ったのに、はしゃぐ訳でもなく『記録とか気にしてないので』と、いつも通りの対応でしたからね」

 担当記者がこう語るのは、5月11日の巨人戦で10号ホームランを放ったヤクルト村上宗隆内野手(19)のこと。

 高卒2年以内の2桁本塁打は2リーグ制発足以降18人目、ヤクルトでは55年ぶりという快挙。おまけに開幕38試合目での到達は最速記録なのだが、当人は「少し差し込まれましたが、しっかり押し込むことができました」と淡々と振り返るのみだった。

 村上は17年のドラフトで、九州学院高(熊本)から清宮(現日ハム)の外れ1位で入団。

「指名時は捕手でしたが、将来の和製大砲候補として獲得したので、すぐに内野手にコンバートされました。右投左打で、反対方向へホームランを打てる長打力は天性のもの。昨年はイースタンで17本塁打を放ち、9月に一軍昇格した際には初打席初本塁打を記録しました」(球団関係者)

 12日の試合ではバレンティン、青木、山田哲という中軸が欠場する危機的状況の中、初の4番に抜擢。10代の先発4番は87年の清原和博(西武)以来32年ぶりだったが、結果はノーヒット。それでも「次、頑張ります」とサバサバした表情で語っていた。

小川監督「先輩相手によくあんなことできるよな」

「小川監督は『ゴチャゴチャ言うより、好きにやらせた方がいい』と。コーチに色々言われて自分の型を壊してしまう若手がいますが、村上は自分のバッティングを貫いてブレず、そもそも言うことを聞かない(笑)」(前出・記者)

 一方、守備はまだまだで、エラー6個はリーグワースト2位(5月13日現在)。「守備で迷惑を掛けている」が口癖だが、エラーしてベンチに戻っても悪びれず、平気な顔で素振りしているという。

「周りは、そうじゃないだろと思っているが、突っ込めない(笑)ベテランの雄平がライトで好守備を見せると『ナイスプレー』って感じでグラブを叩くそうで、小川監督は『先輩相手によくあんなことできるよな』と苦笑いしていた。性格は典型的な“田舎のお山の大将”。プロでもそのままやれているのは、彼の類稀な才能を周りが認めているからです」(ベテラン記者)

 巨人との3連戦を勝ち越し、首位を窺うヤクルト背番号55がセ・リーグを熱くする。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年5月23日号)

“清宮世代”の出世頭に ©共同通信社