子育てと仕事の両立、環境的にも簡単ではないのが実情です

都心の通勤ラッシュ時、満員電車赤ちゃん連れで乗りたい人はいません。乗っているとすれば、やむにやまれぬ事情があるはずですが、「どうしても理解できない」人もいます。5月14日はてな匿名ダイアリーに「満員電車にベビーカー反対派の意見を少しだけ聞いてほしい。」とのエントリがあり注目を集めました。

投稿者は、埼玉から都心へ通勤している既婚者。子どもはいませんが、いずれは欲しいそうです。毎日乗車率200%の満員電車を利用する中で、ベビーカー乗車に強い疑問を抱いています。批判されることを覚悟の上で、お互いの危険性や、ベビーカーに足を轢かれたときの記憶などを長文で綴りました。

子どもの病院や保育園に預けるためといった理由があるにせよ、「どうしても満員電車に乗らなければいけない理由とは結び付かない」として、

「もっと言うと大切な我が子を危険にさらすことと天秤にかけてまでやらなければならないことなのかが疑問」

と、問題提起しています。(文:篠原みつき

「『近くの保育園に入れず、離れた保育園に預けるしか無い』人もいるのを知ってくれ」


「他の人がベビーカーを優先して降りるべき」という意見にも、「人間が一人降りたくらいで解決するものなのだろうか」と否定。病院の予約や出勤時間をずらしたり、在宅ワークにすることはできないのか、などと個人的な意見を出していました。

「一番良い解決法は満員電車をなくすこと」と言いますが、満員電車はすぐには解消せず、危険なことも変わらない。子どもが大好きだから、子どもが危険な目にあってしまうことが怖いと訴えます。一方的な罵詈雑言に比べれば、かなり気を遣って理解を求める長文でした。

とはいえ、800を超えたブックマークコメントは、ほとんどが投稿者への批判でした。特に多かったのは、「子連れにだけ『その時間はやめて』と言うのは理不尽」との反論です。

「混雑時間帯をみんなで避ければ良いって話と同じで、それができるなら苦労はしないってことですね。増田(注:投稿者)にはそれを子連れだけに要求することの理不尽さに気づいてほしい」
「わからなくは無い。でも『近くの保育園に入れず、離れた保育園に預けるしか無い』『行動範囲の保育園全て落ちて入れなかった』という人もいるのを知ってくれ」
「確率と言うものをあなたは理解してない。(中略)100人のうち99人は実際それで乗ってない。でもどうしても回避できなかった残る1人をあなたは目にしている」

そもそも、我が子を危険なところに連れていきたい人などいません。全ての保育園に落ち、一緒に通勤するのは危険すぎて泣く泣く会社を辞めた人もいるはずです。

「満員電車になる状態を放置するのは行政と企業の怠慢」

一方で、「満員電車になる状態を放置するのは行政と企業の怠慢」といった指摘も多くみられます。国は子連れ出勤を奨励する動きを見せており、企業内保育も少しずつ増えてきてはいます。ですが、利用するには子連れが利用しやすい公共の移動手段が必要です。

こうした要望は高まっており、今年2月には、市民団体「子どもの安全な移動を考えるパートナーズ」が、東京都小池百合子知事に「子育て応援車両設置」(障がいを持つ方も含む)を求める要望書を提出しました。通勤ラッシュに重なる時間帯の電車・地下鉄での運行を求めています。小池知事も「2019年度には、都営地下鉄の一部車両に子育て支援スペースを設置する予定」と語りました。

筆者が都心の満員電車に乗っていた15年ほど前には、ベビーカーで満員電車に乗る人は皆無でした。都内で働く友人によれば、今やお父さん赤ちゃんを背負って通勤する姿もあるとのこと。「子どもがいる人」対「いない人」の争いは不毛です。人々の暮らし方が変われば、システムの改善に声を上げていくべきでしょう。