湘南戦で起きたゴール取り消しのミス “失点した”西川が証言「切り替えようという思いで…」

 浦和レッズのGK西川周作は、17日のJ1第12節、ホームに湘南ベルマーレを迎えたゲームに2-3で敗れた試合後、試合中に起こった衝撃的なミスジャッジについて「初めての経験で、何が起きているのか分からなかった」と、戸惑いを隠せなかった。

 浦和が先に2点を奪って迎えた前半31分に、問題の場面は起こった。湘南は中央に入ってきたMF杉岡大暉がペナルティーエリアのすぐ外から左足を強振。そのボールは右ゴールポストを叩き、左のサイドネットに吸い込まれた。勢いの残っていたボールは、ゴールから自然に外に出てきた。ボールを拾った西川が前方に投げると、主審の山本雄大レフェリーはゴールを認めずにプレー続行を指示した。

 その瞬間、西川の立場から見える起こったことや把握できたことがなんだったのかを問いかけると、このように話している。

「(シュートが)ポストに当たって、入るな、入らないでくれという思いがまずはあって。ただ明らかに入っていたのですぐにボールを取って、切り替えようという思いでボールを前に投げて。僕も周りに声をかけていたなかでスタートされていて、相手チームも当然びっくりしたでしょうし、見に来てくれた方もびっくりしたと思います。切り替えようという思いで投げたら、それが始まっていたと。ちょっと理解できなかったです」

 試合が終わってみて、湘南の曺貴裁監督の記者会見において「逆の立場だったら、GKにゴールを認めるように主審に言わせるのは酷だと思うか?」という質問も出た。曺監督は「浦和の選手が早く始めようという気持ちも分かりますし、レフェリーが判定するものなので、ノーゴールと言えば、彼らはそのまま進めるべきですし、それは良かったとも悪かったとも思っていない」という見解を示した。

 一方で、浦和はそのミスジャッジがあった直後のプレーでカウンターのような形になり、FWアンドリュー・ナバウトが湘南のGK秋元陽太と1対1になるところまでいった。結局、そのプレーは秋元がストップして、そこで発生した接触でナバウトは負傷交代を余儀なくされた。ナバウトは「もちろん(ゴールが)入ったと思ったので。ただ、笛が鳴らないで続いたので、そのままプレーを続けました。オフサイドか何かがあったのかなと思いました」と話している。

複雑な胸中を吐露 「あれがゴールだったというのはハッキリと言えます」

 西川は「正直、なんとも言いようがないです」という複雑な胸中を明かした。

「何が正解か分からないです。レフェリーともコミュニケーションが取れていないですし、僕が行くべきだったのかもしれないし。僕も初めての経験で、何が起きているのか分からなかった。僕としては、あれがゴールだったというのはハッキリと言えます。それこそ、おかしいなと。

 ああいう経験はしたことがないので、今後、いろいろな記事になっていくとは思うんですけど、自分が言えるのはゴールを認めたうえで前にボールを投げたことで、その後のことは自分としてもなんでだろう、と。入れられたことは悔しいですけど、ゴールはゴールとして認めなければいけないですし……」

 結局、浦和は後半に3点を奪われる形で逆転負け。リーグ戦で痛恨の3連敗となった。しかし、試合の結果がどう転んだとしても、この一戦の主役があのワンプレーになってしまうことは否めない。普通に考えれば経験するようなことのない事態に直面した浦和の選手たちに、どう振舞うべきだったと言うことも難しいだろう。

 現在のサッカー界は、判定の分野において人間の目とビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)などのテクノロジーを利用したものの融合の過渡期にある。しかし、あまりにも試合に与える影響の大きすぎるミスジャッジを、どう取り扱うのかは大きな課題だ。浦和の選手たちにとっても、気の毒な面が多々ある一連のプレーだったと言えるだろう。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和レッズのGK西川周作【写真:Getty Images】