今月1日、米インディアナ州エバンズビル在住の15歳少年が、YouTubeを見て自分の首を絞める“チョーキング・ゲーム(失神ゲーム)”に挑戦し脳死状態に陥った。両親は息子の臓器を提供するという苦渋の決断を下し、事故から5日目、少年はディーコネス病院の廊下で医師やスタッフ、家族、友人らに見送られ、手術室に向かった。その切なくも厳かな光景を収めた動画が拡散している。

今月5日、脳死状態となったメイソン君の母ジョアン・ボーガーさんは「これまでにもたくさんの若い命を奪ってきたSNSのチャレンジ(失神ゲーム)により、今まさに私の愛するメイソンも短い人生を閉じようとしています。これからも多くのことを息子と共有するはずだったのに残念でなりません」とFacebookに投稿し、メイソン君が臓器提供の準備に入ったことを明かしていた。

そして手術の翌日、ジョアンさんはメイソン君の手術前の儀式を捉えた動画をFacebookに投稿した。これは“オーナー・ウォーク(敬意の歩み)”という命の贈り物をするドナーに敬意を表する儀式だが、家族はメイソン君のためにたくさんの人が見送りに集まってくれたことを知らされていなかったという。

動画では、エレベーターから手術室に向かう廊下にディーコネス病院のスタッフや「#MasonsMessage」と書かれた青いTシャツを着た友人らが並んでおり、生命維持装置に繋がれるメイソン君の旅立ちを静かに見守っている。メイソン君の呼吸を補助する機械の音が悲しく響く。

メイソン君を乗せたベッドは病院のスタッフにゆっくりと押されて廊下を進み、手術室まで通じるドアの前で止まる。家族が一人ずつ涙ながらに最期の別れを告げ、友人らもメイソン君へのお別れの言葉を読み上げる。

そして“その時”を迎えると、手術室へと通じるドアが開く。家族はその先には入ることができないため「よくやったよ(Good Job)、メイソン」「君は私のヒーローだよ」と言葉をかけて拍手で送りだす。その気持ちを思うと実に切なくやりきれない光景だ。

この手術でメイソン君は5人の命を救い、病院には3日間、ドナーを称えるドナーの旗(Donor Flag)が掲げられた。ジョアンさんは息子の早すぎる死について、次のように語っている。

「メイソンはいつでも他の子よりも一歩先、親の私からみれば2歩先を歩いているような子でした。今でもあの子がいなくなったことが信じられません。15歳で逝ってしまったメイソンのことをより多くの人に知ってもらい、私たちが社会を変えていかなければなりません。コミュニティ全体で子供たちを見守っていく必要があるのです。」

我が子を臓器ドナーとして送り出さなければならなかった親の気持ちを、メイソン君は知ることなく逝ってしまった。この動画を見て子供たちが何かを感じ取ってくれたなら、命を危険に晒すようなチャレンジに挑戦することもなくなるであろう。

画像は『Joann Jackson Bogard 2019年5月7日付Facebook「Our hero saved 5 lives!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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