義務教育を否定し、不登校を推奨する「少年革命家」10歳ユーチューバ―のゆたぼん。「父親の操り人形では」などと物議を醸している

◆10歳のYouTuber、その顔は何を物語る?
 最近、不登校の天才Youtuberことゆたぼんが話題になっています。著名人・一般の方問わず、多くの方々がゆたぼんのご両親含むゆたぼんの考えや行動について、賛否両論の意見を交わせています。

 ゆたぼんが不登校になった理由は、ゆたぼん曰く、「宿題をやりたくなかったのに先生に無理やりやらされた」「皆が親や先生の言うことを『はい、はい』聞くロボットのように見え、そうはなりたくなかった」と説明しています。

 そして、自殺したくなったり苦しくなるのなら学校に行かなくてもよい、自由に生きるのがよい、人生は冒険である、子どもピースボートをつくって世界中の子どもと友達になり戦争をなくしたい、このような考えや展望をYoutubeで発信しています。

 不登校の理由を表面的に聞くと、単なるわがままに思えます。考えや展望を表面的に聞くと、理想的に思えます。しかし、本当にこの理解でよいのでしょか。本日は、ゆたぼんの表情・言語分析を通じて、ゆたぼんの気持ちを読み解きたいと思います。

茂木健一郎先生とお話しした‼️」の動画を分析の中心に、【ロボットになるな!】不登校の天才YouTuber「麦わらのゆたぼん」及び【おはきゃー】子どもがお年玉で買った仮想通貨XEM(ネム)が暴騰して資産が1.5倍以上に!の動画内容を補足的に用いて考えたいと思います。

◆ゆたぼんが学校に行きたくない本当の理由は何か?
 結論から書きます。学校に行きたくない理由は、単に宿題をやりたくないというというよりも、このことの前後に生じた先生の対応や友だちの態度に嫌悪を抱き、学校に閉塞感を覚えたことに起因していると私は考えます。

 また現時点で、やりたいことを明確に見据えているわけではないと思われるため、周りの適切な環境づくりと本人の努力次第で、正規の学校にこだわらずとも、将来は開けてくると思います。

 それでは具体的な分析・解釈プロセスを書きます。

 先生の対応に嫌悪を覚えたと考えられる理由は、次のやり取りに現れています。

 茂木氏が「宿題嫌だったっていう理由以外に(不登校の理由は)何かあるの?」(動画①0:02:59~)と質問したところ、ゆたぼんは、「先生に叩かれた」「周りの子たちがロボットに見えた」と答えています。これは、宿題が嫌だという理由以外の不登校になった理由ではなく、宿題をしないということに付随して起こった出来事であることが、【ロボットになるな!】不登校の天才YouTuber「麦わらのゆたぼん」のゆたぼん自身の説明からわかります

 このとき、話の焦点が先生に叩かれた話よりも友だちがロボットに見えた話になります。

 しばらくその話が続き、その話が終わると茂木氏が違う話題を話し始めます(動画①0:04:31~)。しかし、その間、ゆたぼんは、何度か唇を巻き込み、視線を下に向けます。これは熟考を意味します。

唇を巻き込み、視線を下に向けるゆたぼん

 その後「で、叩かれて」と先の先生に叩かれた話に戻ります(動画①0:04:46~)。一見、話の展開が唐突のように思えますが、熟考があることからゆたぼんはずっと「先生に叩かれた」話をしたかったのでしょう。

 この先生は、自分の手で机に「バン!」と叩くとき、滑ってゆたぼんにあたったと供述したようですが、ゆたぼんは茂木氏にそんなことあり得ない、先生はウソをついたとやや語気を強めて説明します。

「君の心の中では、先生がちょっとウソついたと思ちゃったんだよな」と茂木氏は話しますが(動画①0:05:22~)、ゆたぼんは「うん」「う~ん」と言いながら、口角が引き下げられる、下唇が引き上げられる、上唇が引き上げられる、唇が窄む、唇がプレスされる、唇がすり合わされる動きを見せます。これらは熟考や嫌悪を意味する表情筋の動きです。

口角が引き下げられる、下唇が引き上げられる、上唇が引き上げられる、唇が窄む、唇がプレスされる、唇がすり合わされる動き

 それを察してか、茂木氏も「それは傷つくな」「嫌だよな」とまとめます。ここでこの叩かれた話は終わるのですが、ゆたぼんの表情変化が続いていることからまだ言いたいことを残していると思われます。

 以上のことから、ゆたぼんは単に宿題がやりたくないのではなく、それがきっかけとして表に出てきたその先生の対応に不信感を抱いたのだと思われます。

 もちろん、その先生がウソをついかたどうかはわかりませんし、ゆたぼんが普段どんな態度で先生に接していたかはわかりません。しかし、少なくともゆたぼんの気持ちには拭いきれない嫌悪というものを残してしまったのだと思われます。

◆「友だちがロボットに見える」の意味は?
 次に友だちの態度に嫌悪を抱き、学校に閉塞感を覚えたと考えられる理由です。このことは友だちがロボットに見えたという発言に現れていると思います。

 友だちがロボットに見えるという視点は、宿題をやらずに先生に叱れた「叩かれた」という出来事以前から、ゆたぼんは感じており、それが宿題の一件を通じて、さらに助長されたと考えられます。

 動画②0:00:30~あたりから、「親の言うことと先生の言うことを「はい、はい」黙って聞いていたからです。なんかおかしいなぁ~と思って、僕は宿題をやりたくなくて、やらなくなりました…略…」と友だちがロボットに見えた理由をゆたぼんは説明しています。

 

「僕は宿題をやりたくなくて」という行動に至るまでに何が起きたかはわかりませんが、ゆたぼんは様々な「しなくてはいけない」というルールに疑問を抱く性向があり、それが日々の学校生活で解消されず、たまたま宿題をやらないという行動として表面化したのではないかと考えます。

◆友達からの非難で閉塞感を覚える
 そして、動画①0:03:30~の茂木氏の意見「本当は、さぁ、そのロボットみたいに見えた子たちも本当は色々悩んでいたりしてたのかも知れないんだけど、ゆたぼんが自由に見えたから、それでちょっと色々言ったりしたかもよ」「本当はゆたぼんみたいに思っていたことがあるかも知れないよ」に、ゆたぼんは、熟考や不満、嫌悪に関わる表情筋の動きをさせ、その直後「でもな」と否定し、給食だけ食べに学校に行ってそして帰ろうとすると「ズルい」「セコい」と友だちから言われたと、当時の不満を述べます。

 宿題の一件から、学校には給食だけ食べに通っていたゆたぼんですが、ルールを守っている友だちから非難の声を浴びます。ゆたぼんの目には、ルールに疑問視しない友だちがますますロボットのように映ったのかも知れません。

 こうしたことから、学校にいても自尊感情が満たされなくなり、学校そのものに閉塞感を覚えたのだと思われます。

子どもの表面上の言葉だけでなく、本音に目を向けよ
 最後に、ゆたぼんのやりたいことや将来の夢についてです。まだ定まったいないのではないかと思われるのは次の理由からです。

 茂木氏が「でも、今、やりたいことが出来ていてよかったね」(動画①0:05:33~)と発言したところ、ゆたぼんは、「うん」「う~ん」と言いながら、口角が引き下げられる、下唇が引き上げられる、上唇が引き上げられる、唇が窄められる、唇がプレスされる、唇がすり合わされるという動きを見せています。これは熟考や嫌悪を意味しますが、その後、具体的な発言はなされません。

口角が引き下げられる、下唇が引き上げられる、上唇が引き上げられる、唇が窄められる、唇がプレスされる、唇がすり合わされるという動き

 実は、ゆたぼん動画②で「子どもピースボートをつくって世界中の子どもと友達になり戦争をなくしたい」という夢を語っているのですが、0:04:51でゆたぼんの鼻の周りにしわが一瞬だけ寄ります。

鼻の周りに一瞬だけ寄ったしわ

 これは単なる筋肉の痙攣の可能性もありますが、表情筋の動きとしては嫌悪の微表情という可能性も考えられます。

 嫌悪の微表情ならば、夢を語るとというポジティブな話題とネガティブな表情とは一致しないため「子どもピースボートをつくる」という夢は強く思い描いているわけではないのかも知れません。

◆これらは彼の「本当にやりたいこと」なのか?
 茂木氏とのやり取りでもこのピースボートの話は登場せず、ゆたぼんは今興味のあるゲームだと答えます。また、仮想通貨などに興味があるかと思われる動画③の0:01:19で、「お年玉が増えています(保有資産が増えた)」というポジティブな発言をしつつ、鼻の周りにしわを寄せた嫌悪表情をしているため、言動が一致しておらず、これもゆたぼんの本当にやりたいことのようには思えません。

鼻の周りに寄るシワ

 ゆたぼんが本当にやりたいことは、これからの活動や経験を通じて見つけていけばよいでしょう。その中でゆたぼんは学校に戻るという選択をするかも知れません。あるいは、学びたいことはあるものの、それは学校にはなく、学校とは異なるシステムの中で学んでいくものなのかも知れません。

 声を上げないだけで、「潜在的なゆたぼん」は日本、否、世界中にいるかも知れません。子どもの表面上の意見だけにどうこう言うのではなく、その根底にある心に目を向け、耳を傾けるのが、大切だと私は思います。

【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院メディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システムコーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16・19」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。

口角が引き下げられる、下唇が引き上げられる、上唇が引き上げられる、唇が窄められる、唇がプレスされる、唇がすり合わされるという動き