統一エンブレムとなり初の大会で、クラブ史上初となるオーシャンカップ決勝進出

 今シーズンからフットサル湘南ベルマーレのキャプテンを務めるFP鍛代元気は、もともとJリーグの湘南の大ファンだった。BMWスタジアムのゴール裏に足繁く通い、サポーターの1人として、緑と青の戦士たちに声援を送っていた。

 16日にFリーグオーシャンカップ準決勝進出を決めた湘南は、試合会場の武田テバオーシャンアリーナのある愛知県に移動した。鍛代は17日夜、ホテルの部屋でJ1リーグ第12節の浦和レッズ湘南ベルマーレの一戦を見ていたという。そして湘南MF杉岡大暉のゴールが認められなかった時には、自身の部屋を飛び出し、他の選手の部屋で「おい、どうなってんだよ! どういうことだよ、これ!」と、大騒ぎしていたという。

 それでも湘南は後半に3ゴールを奪い、3-2の大逆転勝利を収めた。鍛代は「ルヴァンカップを優勝した時も会場でやればできるんだということを見せてもらいましたが、今回も逆境のなかでも自分たちに矢印を向けて、ベストを尽くしてプレーすれば、ああやって結果も出てくるし、神様が微笑んでくれることを示してくれました。かなり勇気をもらいました」と、大きなモチベーションを与えられたという。

 迎えた翌18日のオーシャンカップ準決勝、立川・府中アスレティック戦、鍛代は1-0とリードして迎えた後半3分、ブラジル人FPロドリゴのロングボールを胸でトラップ。このワンプレーでマークしていたDFをかわすと、右足でシュートを決めてリードを2点に広げた。その後、鍛代は前半に痛めた腰の状態が良くなく、ベンチからチームメートを鼓舞する役に回ったが、湘南は2-0で勝利し、クラブ史上初となるオーシャンカップ決勝に駒を進めた。

総合型スポーツクラブとして統一された胸のエンブレム

 今シーズンから湘南ベルマーレフットサルクラブは、Jリーグの湘南と同じエンブレムを胸につけている。Fリーグ開幕から2年は同じエンブレムを付けていたが、その後、別のものを付けなければいけないというルールになり、フットサルクラブ独自のエンブレムを使っていた。しかし今季からルールが緩和され、下に「FUTSAL」と入れたエンブレムが使われるようになった。今大会は、その新エンブレムで戦う最初の大会なのだ。

「エンブレムが変わったこのタイミングで、フットサルクラブ史上初のタイトルを取れるかもしれません。もちろんタイトルを取るために全力を尽くしますし、サポーターの方々も『決勝戦なら見に行こう!』と言ってくれるかもしれません。湘南のサポーターは、いつも平日でもいっぱい試合を見に来てくれて、本当にすごいんです。Fリーグだけではなく、Jリーグの湘南のサポーターの人たちにも、ちょっと湘南から名古屋は遠いですが、ぜひ、力を貸してほしいですね。場所はアウェーですが、オーシャンアリーナをジャックできるくらいのサポーターがいるクラブなので、一緒に戦いたいなと思っています」

 湘南ベルマーレフットサルクラブが、クラブ史上初のタイトルをかけて戦う名古屋オーシャンズは、今大会でも圧倒的な強さを見せている。2回戦、3回戦の2試合では計30ゴールを挙げており、準決勝のペスカドーラ町田戦にも7-3で快勝した。直近の2年間では国内タイトルを総なめにしており、今大会には3連覇をかけて臨んでいる。

 それでも鍛代は「名古屋が強いのは、もう分かっていること。僕らはぶつかるだけです。難しい時間帯っていうのは、これまでの試合よりも全然、長くなると思います。そこでも浦和戦でJの湘南が見せたように、集中を切らさず戦いたいと思います。どんなにボールを支配されようが、シュートを打たれようが、ゴールに入らなければ1点にならないスポーツなので、僕らにも勝つチャンスはあると思っています」と、初のタイトル獲得に意欲を見せた。

 湘南が悲願の初タイトルを獲得できるか。湘南のフットサルクラブが初の日本一をかけて臨む決勝は、19日15時に武田テバオーシャンアリーナでキックオフを迎える。(Futsal X・河合拓 / Taku Kawai)

湘南が悲願の初タイトルを獲得できるか【写真:河合拓/Futsal X】