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人間にとっては便利で安価なプラスチックだが、適切に処理されずに海に流れ込んだプラスチックゴミは海洋生物にとって深刻な問題だ。このたびアルゼンチンの海岸沖で保護されたカメが、プラスチックを排泄する写真が拡散している。プラスチックの海洋汚染は地球規模で進んでおり、待ったなしの対策が必要なようだ。

アルゼンチンのブエノスアイレス海岸沖で漁網に絡まっているアオウミガメが保護され、サン・クレメンテ・デル・トゥユにある「ムンド・マリーノ財団(Mundo Marino foundation)」に運ばれた。アルゼンチン最大のムンド・マリー水族館に隣接するこの施設は、海洋生物や海鳥の救護・保全活動を行っており、広大な敷地内には初期収容施設、隔離施設、保護施設、手術病棟などが併設されている。

保護されたアオウミガメは体重が標準以下であったため、獣医によって血液検査が行われた。検査では特に異常が見つからなかったが、数時間後にカメは総排泄孔から茶色に変色したプラスチックを排泄した。

獣医のファンパブロ・ローレイロさん(Juan Pablo Loureiro)によると、施設では今年に入って24匹のカメを保護しており、そのうちの11匹からプラスチックが発見されたそうだ。ローレイロさんは「カメはプラスチックゴミが消化器内に蓄積されることで空腹を感じなくなるのです。またエサも減っていることから次第に弱り、生き残るチャンスも減ってしまいます。これは非常に懸念すべきことです」と述べている。

カメがプラスチックをエサのクラゲと間違えて飲みこんでしまい、腸閉塞などで死んでしまうことも少なくない。またプラスチック片が刺さることで内臓に穴が開くこともあるという。施設では保護したカメにレントゲン検査を行い、長い時間をかけて消化器官の全てのプラスチックが排出されたことを確認してから海へと戻したようだ。

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のブリタ・デニス・ハーデスティ博士らが2018年9月に発表した調査結果では、対象となった952匹のウミガメ50%以上がプラスチックを摂取したことが明らかになっている。また若い個体ほどその確率が高く、ブラジル沖では若い個体のプラスチック摂取率は90%に上っている。また、たった一つのプラスチック片を摂取しただけでもその死亡率は22%と高く、14片を摂取した場合の死亡率50%になるという。

アルゼンチン国立科学技術研究会議(CONICET)の研究者ヴィクトリア・ゴンザレスカルメンさんは、「プラスチックを大量に摂取することで動物の消化器系内に多くのガスが発生し、エサを探したり、海中に潜ったり、捕食者から逃げることに影響を与えるのです」と語っており、プラスチックがいかに危険であるかを指摘している。海洋ゴミを放っておけば海の生態系だけでなく、いずれは人間にも影響が及ぶのは間違いないだろう。

ちなみに今年3月には、台湾の海岸に打ち上げられたクジラの胃から大量のビニール袋が見つかっていた。また、海洋環境保護団体「シーシェパード」はアザラシや海ガメの頭にビニール袋を被らせた広告で、プラスチックの廃棄による危険性を警告している

画像は『Metro 2019年5月13日付「Turtle poos plastic after swimming in ocean filled with rubbish」(Picture: CEN/Mundo Marino)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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