Point
■中央アジアヒンドゥークシュ山脈のユーラシアプレート地殻表面で「ブロブ」と呼ばれる岩の塊が発見された
■この「ブロブ」は年に100ミリづつ地殻から引き離されている
■この「ブロブ」は真下にあるマントルに向かって垂れているとされ、これが地震の発生源になっている可能性が高い
地球物理学の分野が大きく前進する発見だ。
大陸地殻の一部がマントルに向かって垂れていく現象が中央アジアの山岳地帯で発見された。
発見したのはモンタナ大学の研究者モルナー氏とベンディック氏の両氏だ。詳細はAGUの学術誌『Tectonics』において発表されている。
Seismic moments of intermediate‐depth earthquakes beneath the Hindu Kush: active stretching of a blob of sinking thickened mantle lithosphere?
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1029/2018TC005336?af=R
不可解な地震の発生源を特定か
中央アジアのアフガニスタンとパキスタンにまたがるヒンドゥークシュ山脈。この山岳地帯は、大きな地震活動が予想されるユーラシアとインドプレートの活断層上から数マイル離れている。
この場所で山型地震が起きる原因を長らく科学者たちは説明できなかった。なぜこのような山型地震が起きるのだろうか。
今回の研究によると、ヒンドゥークシュ山脈では「ブロブ」と呼ばれる岩が地下へとゆっくりと流れ落ち、その下の熱く粘性のあるマントルに入り込んでいる。それが地震の発生源になっているかもしれないというのだ。
蛇口の縁から流れ落ちる水滴のように、深さ100マイル(150km)の岩の塊が年間100ミリもの速さで大陸地殻から離れている可能性があり、この地下のストレスが地震を誘発している可能性があるという。
大きな円形の岩の塊「ブロブ」の真下にマントルが
研究者たちは、ヒンドゥークシュ山脈付近で数年分の地震観測を行った後、この厄介な塊を発見した。
この地域の地震は一定のパターンで発生し、地球の表面に地震活動の「大きな円形の岩の塊」を作り出しているという。この「ブロブ」と呼ばれる円形の岩の塊は、南北約150キロメートル、東西約100キロメートルに及ぶ深さ300キロメートルの地帯に広がっている。
これらの地震は縦軸に沿って発生している。そのほとんどが大陸地殻の深部で起きており、熱く粘性のある上部マントルにぶつかっているのだ。
研究者によると、岩の塊はゆっくりと伸びている部分が最も緊張しており、下の熱く粘性のあるマントルに流れ込んいるという。
これは、中央ヨーロッパのカルパチア山脈の地下での同様の地震活動を説明するために以前から用いられてきた仮説と一致する。
ヒンドゥークシュ・ブロブは1000万年前から垂れ始め、インドプレートとユーラシアプレートが衝突するときに山の表面が動く速度よりも10倍近く速く下に伸び続けている可能性が高い。
これらの結果が正しければ、プレートの沈み込み以上の衝撃的な地球物理学的な力が、地震を引き起こすという証拠になるかもしれない。
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