0-0の引き分けでも突破が決まるが、指揮官は「勝利を考えて戦いたい」と会見で宣言

 J1浦和レッズオズワルド・オリヴェイラ監督は、21日に控えたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ最終節、ホーム北京国安(中国)戦の前日記者会見に出席。0-0の引き分けでも突破できる状況に対して、「私たちは勝つことを考えなければいけません」と決意を語った。

 浦和のグループは全北現代(韓国)がすでに勝ち点12で1位通過、ブリーラム・ユナイテッド(タイ)が勝ち点3で4位敗退が決まっている。そして、勝ち点7で並ぶ浦和と北京国安が2位の座を争う構図になった。そのため、まずは勝利チームが突破を決める。

 引き分けた場合は勝ち点が8で並ぶため、直接対決の結果で比較される。初戦は北京国安のホームで0-0の引き分けだったため、明日も0-0で引き分ければグループ全体での得失点差で優位に立つ浦和が2位となるが、1-1以上の引き分けアウェーゴール数の差で北京が逆転する。

 そうした条件下で迎える一戦だけに、無失点であれば浦和は突破を決めることができる。しかし、指揮官はその条件を必要以上に意識することを否定した。

「私たちは勝つことを考えなければいけません。引き分け狙いではいけません。試合終了間際になって0-0でしたら、それをキープする戦い方をするかもしれないですが、立ち上がりから引き分け狙いではいけない。それは健全な戦い方とは言えません。突破するためには勝利を考えて戦いたいと思います」

「北京には特筆すべき弱点はない。非常にストロングポイントの多いチーム」

 3月に北京で対戦した際には、ほぼ90分間を通して相手にボールを支配された。シュート数はアジアサッカー連盟の公式発表では北京国安20本に対して、浦和は衝撃の0本。そうした相手に対して最初から守備的にゴール前で構えれば、より難しい状況を招いてしまうのは事実だろう。ただでさえ、後ろに意識が引っ張られがちな試合だけに、指揮官は「勝利を求める」という言葉を強調している節もある。

 オリヴェイラ監督は、北京国安について「北京には特筆すべき弱点はないと思います。非常にストロングポイントの多い、良い選手の揃ったチームだと思います」と話す。ブラジル代表MFレナト・アウグスト、元スペイン代表MFホナタン・ビエラコンゴ代表FWセドリック・バカンブのトリオは強烈なものがある。

 それでも指揮官は「もちろん、浦和にもストロングポイントがあります」と言及。「グループを突破するためには良いプレーだけではなく、戦いの部分も必ず必要になってきます」と、ACLならではの肉弾戦も辞さない覚悟を示した。

 会見中、一つも笑みをこぼさずに厳しい表情を続けたオリヴェイラ監督は、今季で最初の“決勝戦”と言える決戦に向け、すでに気持ちのスイッチが入っているようだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

北京国安戦の前日記者会見に出席したオリヴェイラ監督【写真:轡田哲朗】