マドンナが、2019年5月18日イスラエル・テルアビブで開催された【ユーロビジョン・ソング・コンテスト】でパフォーマンスを披露した際、事前審査に通していなかった政治的メッセージが込められた演出を本番中に行ったことが話題を呼んでいる。

 ゲストとして9分間のショーケースに出演した彼女は、「ライク・ア・プレイヤー」と、ミーゴスのクエイヴォと一緒に新曲「Future」(フューチャー)の2曲を披露した。パフォーマンスの終盤で二人が階段を上る際、観客に背を向けて登場した複数のダンサーの中に、イスラエルの国旗が背中に入った黒い衣装を着た長身の男性ダンサーと、パレスチナの国旗が入った白い衣装の女性ダンサーが手をつないで途中まで一緒に階段を上った。曲が終わるとステージ奥のスクリーンに“WAKE UP”(目を覚ませ)の文字が点滅した。

 マドンナは翌19日早朝にTwitterにこの映像を投稿し、「マダムXは自由の戦士だ。世界に平和と結束のメッセージを広める機会に感謝している」と綴った。コンテスト中に流れたニュー・アルバム『マダムX』のプロモーション映像では、「ベイビー、今夜は熱気を持って行くから!」と録画でメッセージを送っていた。

 ヨーロピアン・ブロードキャスティング・ユニオンと、イスラエル公共放送局KANはどちらも事前にこの演出について知らされておらず、リハーサルでも公開されていなかったと放映後に声明で発表した。

 【ユーロビジョン】は、前年の優勝者の出身地が翌年の開催地になるシステムだが、イスラエルでの開催に関しては賛否が大きく分かれていた。マドンナの出演についても、ユダヤカナダ人の慈善活動家から135万ドル(約15億円)を受け取っていたのではないかと報じられていたが、18日に彼女の代理人がこれを否定し、この金額は番組への寄付であり、マドンナは無償で出演したと発表している。

 マドンナのほかにも、番組の最後に投票結果へのリアクションを撮影するために客席にカメラが向けられた際、アイスランドのバンドHatariパレスチナ国旗のバナーを掲げて観客からブーイングを浴びていた。

 次回の【ユーロビジョン・ソング・コンテスト】は、2020年5月にオランダで開催される。

マドンナ、政治的メッセージを含む【ユーロビジョン】でのサプライズ演出に波紋