育成大国フランスが今回のFIFA U-20ワールドカップ ポーランド2019に送り込むチームには、攻守の2枚看板がいる。守備の要は、弱冠20歳にしてイタリアの名門フィオレンティーナで正守護神を務めるGKアルバン・ラフォン。トゥールーズ時代の2015年16歳309日というGKのリーグ・アン史上最年少デビューを果たし、すぐに正GKの座を射止めて18年にフィオレンティーナへ引き抜かれた「フランスジャンルイジ・ドンナルンマ」だ。その豊富な経験から、彼はU-20フランス代表においても絶対的な大黒柱。彼のプレーリーダーシップが、チーム躍進のカギを握るのは間違いない。

 一方で、攻撃のキーマンとなるのが、ムサ・ディアビ。マリにルーツを持つパリ生まれの19歳で、パリ・サンジェルマンの下部組織で育ったウインガーだ。

 ディアビの持ち味は、全身バネと言えるような、しなやかな身のこなしと、爆発的な加速力。スルーパスに反応する瞬発力、ワンタッチ、またはワンステップで相手DFを置き去りにするような初速の速さ、またトップスピードの中でもブレないボールタッチは、この年代の選手で右に出る者がいない。サイドから相手をちぎってゴールへ突進していくプレーは、たとえるならリヴァプールサディオ・マネのようだ。

 彼は13歳でPSGのユースに参加し、小柄な体格をハンデとしながらも持ち前のスピードアシストセンスで着実に階段を上がり、2017-18シーズン後半にはイタリアのクロトーネにレンタル移籍し、プロデビューを飾った。そして今シーズンは、キャリアにおけるターニングポイントとなった。開幕前は再度のレンタルが計画されていたが、プレシーズンマッチアトレティコ・マドリード戦でゴールを決めると、トーマス・トゥヘル新監督は彼をチームに残すことを決断。カーンとのリーグ・アン開幕戦で彼に途中出場のチャンスを与え、PSGでのデビュー機会を手渡したのだ。

 ディアビはすぐにトゥヘルの期待に応える。出場3試合目となった9月の第5節サンテティエンヌ戦で得意の左足を振り抜き、プロ初ゴールを挙げたのだ。これで自信を掴むと、以降はコンスタントに出場機会を得て、チームの名だたる一流選手たちにアシストを量産。スター軍団PSGのなかでもすっかりトゥヘルの信頼を勝ち取って、うち20試合が交代出場ながら、今季は公式戦33試合出場で4ゴール7アシストという10代にしては十分すぎる結果を出した。

 そんな飛躍のシーズンの総決算となるのが、今回のU-20W杯だ。ディアビはフランスベスト4に進出した昨年のU-19欧州選手権で大会ベストイレブンに選ばれているが、この1年でさらに大きく成長しており、W杯の舞台ではさらにひと回りもふた回りも大きな姿を見せるはず。フランスの次代を担うパリが生んだ韋駄天の活躍は、ぜひチェックしておこう。

文=寺沢薫

PSGでプレーするムサ・ディアビ [写真]=Getty Images