映画「空母いぶき」で、秋津竜太艦長を演じた西島秀俊さんと、新波歳也副長を演じた佐々木蔵之介さん。同作は、日本の最南端沖で国籍不明の軍事勢力が領土を一部占領する事件が発生します。政府は初の航空機搭載型護衛艦いぶき」を中心とした護衛艦群を現場へ派遣し…かわぐちかいじさん原作の実写映画化作品です。

 オトナンサー編集部では、西島さんと佐々木さんにインタビューを実施。台本の感想や、現場での一体感を生み出すためにしたこと、現場の空気などについて聞きました。

戦争ではなく、平和のための映画

Q.台本の感想はいかがでしたか。

西島さん(以下敬称略)「現実が、かわぐちさんの描かれたフィクションに追いついてきているなという実感はあります。脚本を読んでもそれは感じましたし、その中で、若松節朗監督が『これは平和のための映画です』とおっしゃられて、それに賛同した素晴らしいキャストがそろい、僕も参加しました。

出来上がったものは、本当にエンターテインメントとして面白いもので、映画館を出た後に平和な日常を実感できる作品になっていて、テーマを押し付けるのではなく、見ていただいた方の心に浮かんでくる作品になったと思うので満足しています」

佐々木さん(同)「原作を読んでリアリティーのある漫画だと感じました。今回、これを原作に映画にする。戦争ではなく、平和のための映画だということで参加を決めました。撮影期間を経て試写で拝見し、エンターテインメントでありながら、改めて今の平和のありがたみを感じる映画だと思いました」

Q.何度かある秋津の不敵な笑みをどう理解すればいいでしょうか。

西島「秋津のキャラクターは、監督に細かく丁寧に演出していただいて、少しでも僕が普通のリアクションをしてしまうと、『それは秋津ではない。秋津は普通のリアクションを一切しない人だ、どんな極限状態でも冷静に、もっと先を見ている人だから、今起こっていることに動揺しない』と言われました。

あとは、空自・海自に行き、護衛艦にも乗せてもらい、厳しい局面で笑って指示を出していいのかと艦長に聞いたら、『全然あることです』と言われました。それは安心させるという意味でも、秋津とは状況が違いますが、緊迫していても堂々とするのは艦長として当然とおっしゃっていました。

今の状況より先のことを見ていて、ここは解決済みということを示す笑みは重要な演技のモチーフでした」

Q.副長としては、そういう艦長はやりやすいでしょうか。 

佐々木「一般社会では困った人だと思います(笑)もうちょっと説明が必要なんじゃないだろうか、別の部署から来たんだから。ただ、新波自身は秋津と付き合いが長いし、分かっているところもあり、先も見据えているし、実際進めていくとその先々の的を射ているんですが、説明は必要だろうと思います。でもこういう役なので(笑)

Q.大規模撮影でスタッフキャストの一体感が必要だったと思いますが、一体感を生み出すためにしたことはありますか。

西島「僕は空自にインタビューし、護衛艦のあらゆるスタッフさんに話を聞いていろいろ見せてもらったのが大きいです。撮影スタッフもそれぞれのパートで聞くことがありますよね。衣装さんは制服について、美術さんは小道具や設備・内装について。美術さんは、こういうところを見て作り込むんだと分かって面白かったし、一体感が生まれる出来事でした」

佐々木「役に沿っての質問は、違う人間が聞いても興味深いです。僕は小倉久寛さんと本田翼さんと一緒だったんですが、着弾時の衝撃はどんなものかとか分からないですよね。『砲撃はどれくらいの音なんですか』『当たったらどんな衝撃か』『撃ったときの感覚はどんな感じなのか』『甲板から見た光景』など、役者だけではなく撮影スタッフと一緒に聞けたので共通認識になりました」

Q.8年ぶりの共演ですが、お互いの印象は。

西島「蔵之介さんがちょっと先輩で、前回も今回も頼りにして、ちょっと後輩の立場を利用して甘えていました。過酷で緊迫感のある中で撮影していたので、僕は声が出なくなりかけた時があり、蔵之介さんは鍼(はり)のこの店があるからとか、ハーブティーを飲めば声が出るようになるからとか、助けてくれました」

佐々木「舞台をやっていたので、声が出なくなる経験もあります。西島くんが声が出ないのは初めてというから、それくらい過酷だったんだと思いました。舞台の声が枯れて出ないというのとは違うというので、大変なんだなと思って鍼を紹介しました」

Q.西島さんは佐々木さんと新波の似ているところ、佐々木さんは西島さんと秋津の似ていると感じるところをお願いします。

西島「撮影隊全体を見守る、現場でもそうだし、打ち上げでは盛り上げてくれる、そこは佐々木さんと新波の近いところです。戦闘を避けて平和を強く求める気持ちは、やっぱり新波と蔵之介さん、というよりは、蔵之介さんの思いが新波に強く反映されて、魂が宿ったんじゃないかなと思います」

佐々木「西島くんは秋津艦長みたいに黙ることはないですからね。若松監督から演出を受けたとき、全て聞いて2つ先のステップにいけるのは艦長と西島くんの似ているところだと思いました。役を作るために考えている目は、艦長っぽい。艦長の思考をしている目だと思いました」

 映画「空母いぶき」は5月24日から全国公開。

オトナンサー編集部

(左から)佐々木蔵之介さん、西島秀俊さん