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 最近では「マインドフルネス」に語られる記事やニュースが増えている。これは、今現在起きている経験をあるがままに受け入れ、心を健全な状態に保つことを意味する。

 マインドフルネスは瞑想などの訓練をすることで得られるものなのだが、ストレスの多い現代社会において、心を病む人が急増しているのも注目されている理由の1つだろう。の健康が重要視されていることを象徴しているのだろう。

 最近の研究によると、マインドフルネスは、やらなければならないことを先延ばしにしてしまう習慣がある人にも効果があるそうだ。

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マインドフルネスと先延ばし癖の関係とは?

 まず、マインドフルネスと先延ばし癖がどういうものであるのかを説明しよう。

 マインドフルネスとは、「今現在起こっている経験に注意を向ける心理的な過程で、自己と環境に対して意識的に注意を向け、評価をせずに思考や感情にもとらわれず、ただ今の瞬間を受け止めること」だ。マインドフルネスは、注意深い自己規制戦略として考えられている。

 一方、先延ばし癖は目の前の物事の開始や完了を遅らせる行為であり、それは様々な形で現れる。

 しなければならないことをする代わりに、気休め的なことをしようとする衝動が起こり、長い目で見ると自分のためになるとわかっていることをつい避けて、束の間の楽しくあまり重要でない行為をしようとする。つまりは、自己調整の失敗の形だ。

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マインドフルネスの向上が先延ばし癖を改善させる


 マインドフルネスと先延ばし癖の関連性を調べるため、今回研究者らは339人の中国人大学生を対象に調査を行い、被験者ら各自のマインドフルネスと先延ばし癖を6か月間にわたって4つの異なる時点に分け、専門アンケートで測定した。

 被験者らには、彼らの様々な行動に評価をするよう、マインドフルネスと先延ばし癖に関するアンケートに答えてもらった結果、2つのカギとなる関係性が発見された。

 1つ目は、マインドフルネスの向上は、その後の先延ばし癖を減少させる。これは、個人が意識してマインドフルネス状態にある時には、先延ばしにする傾向が少ないということだ。

 2つ目は、先延ばし癖が向上すると、その後のマインドフルネス状態が低下する。これは、個人が多くの物事を先延ばしにする時、自らの行動にあまり注意を向けない傾向があるということだ。

 この双方向の関係は、場合によってはマインドフルネスのレベルの低下が先延ばし癖のレベルの増加に繋がって、負のサイクルが発生してしまう可能性があることを示唆している。

 つまり、先延ばし癖は衝動的な行動を伴うことが多く、マインドフルネスは集中的な行動を必要とするが、人は衝動につい負けてしまう傾向があるためにマインドフルな行動が妨げられる可能性があるということだ。

、今回の研究ではこの2つの関連性が与える影響を調べた結果、マインドフルネスの向上が、潜在的に人々の先延ばし癖を減少させることも判明している。

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Avesun/iStock

先延ばし癖のある人がマインドフルネスを駆使させる方法


 本研究では、先延ばしをする癖がある人はマインドフルネスのレベルが低く、身体的および感情的な健康レベルも低下させるリスクが高い可能性があることを示唆している。

 逆に言うと、マインドフルネスを向上させることでプラスの効果がもたらされるということだ。

 気やすめや逃避は有益な習慣ではない。先延ばし癖のある人は、もっとマインドフルになるよう心掛けることが大切だという。

 実際にマインドフルネスを駆使させる方法としては、2つのことを心掛ける必要があるようだ。

1.目の前の物事に集中しなければならない時には、意識して注意が逸れないようにする必要があるが、ついスマホを繰り返しチェックするなど、意識がそれてしまう衝動が起こったら、それに気づき、衝動に従わないように注意すること。

2.タスクを先延ばしにしたいというネガティブな気持ちが現れた時こそ、マインドフルになるように心掛ける。タスク開始まで時間がかかった自分を嫌に感じ、再び先延ばしにしたいという意識が沸き上がった時には、その衝動を認めて受け入れることが大切。そして反芻させることなく、作業を進めて前に進むこと。


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 マインドフルネスで先延ばし癖に対処すると、先延ばしの度合いを減らすだけでなく先延ばしによって与えられる影響の度合いも減らすことができ、このように克服が可能になる。

・怒りや苦しみ、うつ状態から解放される。普段からマインドフルな状態でいる5つのステップ : カラパイア

 ただし、研究には制限がある。今回の研究も、問題の部分的解決にはなるだろうが、完全な問題解決ではないと研究者らは伝えている。

 重要なのは、よりマインドフルになれば、先延ばし癖の対処に役立つ可能性があるということを理解することだ。

 また研究者らは、先延ばし癖をうまく克服したい場合は、マインドフルネスと他の先延ばし防止技法を組み合わせる必要があると述べている。

 この研究論文は『Personality and Individual Differences』に掲載された。

References:Study finds that increased mindfulness is associated with reduced levels of procrastination – Solving Procrastination/ written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52274557.html
 

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