野菜を摂ることは健康にも良いとされるが、ヴィーガン(絶対菜食主義者)の家庭では食生活が極端すぎると子供の成長に悪影響を及ぼすこともある。このほどベルギーの医師らがヴィーガニズム(絶対菜食主義)を子供に強要する親は起訴されるべきと主張したことで議論を呼んだ。『New York Post』『CNN』などが伝えている。

今月16日にベルギー政府の要請を受けて、諮問機関である「ベルギー王立医学アカデミー」が発表した内容が物議を醸している。「ヴィーガンは未熟児、子供、10代の若者、妊娠中や授乳中の女性には不適切」としたうえで、「自分の子供をヴィーガンとして育てる親は起訴されるように」と主張したのだ。

アカデミーの発表によると、ベルギーでは肉、卵、乳製品、その他の動物由来の成分を含む食品を全く摂取しないヴィーガンとして生活している子供が推定3パーセントいるという。そして、これらの子供達が適切な食の管理がなされていない場合、栄養欠乏症や発育不全などに繋がる可能性があると指摘した。

今回のアカデミーの発表に関わった小児科医でもあるジョルジュ・カシミール教授(Georges Casimir)は、「もし子供がヴィーガン・ダイエット生活をするのなら、医療専門家のサポートやサプリメントの摂取、定期的な血液検査などが必要となってくるが、ほとんどのヴィーガンの親はそこまで対応できていないだろう。子供の成長にとって、肉や乳製品に含まれる動物性脂肪やアミノ酸は不可欠だ」と語る。

ところが健康を考慮する全ての団体や機関が、この発表を推奨しているわけではなさそうだ。イギリス栄養士協会では「充分に計画された植物ベースのヴィーガン食は全ての老若男女に対して健康的な生活を提供することが可能だ」と述べており、非営利団体「ヴィーガン協会」は2018年に「イギリスでは、およそ60万人(人口のおよそ1.2パーセント)のヴィーガンがいる」と発表している。

しかしながら、過度のヴィーガン生活により幼い命が奪われた事例がいくつも報告されている。ベルギーでは2017年にヴィーガンの両親が、グルテンフリー、ラクトースフリーの食事を与え続けた末に生後7か月の乳児が亡くなり有罪判決が下された。この乳児は死亡時の体重が10ポンド以下(約4,500グラム以下)だったという。

また今年2月には、アメリカでヴィーガンの夫婦が生後5か月の息子に適切な食事を与えず、餓死寸前まで追い込み逮捕されている。幼い子供は自分で食事を選んで口にすることができないため、ヴィーガン食で子育てをする親は十分な注意と知識が必要となってくるだろう。

画像は『New York Post 2019年5月17日付「Parents who raise kids as vegans should be prosecuted: doctors」(Shutterstock)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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