●性能検証の前にBIOS設定を確認
○前回までのおさらい

10年以上も自作PCから遠ざかっていたマイナビニュース編集部の阿部氏。スマホ版PUBGで最近のゲームに魅了され、ゲーミングPCを自作しようと思い立つ。かつて雑誌「PCfan」で自作PCの最前線を私と一緒に渡り歩いただけに、冷え切っていた自作PC魂が再点火した。

そこで筆者が阿部氏にヒアリングし、オススメのパーツ構成をヒネリ出したのが【パーツ選定編】、それをCore 2 Duo自作時代の記憶を頼りになんとか組み上げたのが【組立編】となる。あわや電源ユニットから発火? というハプニングもあったが、無事にセットアップ完了まで進んだ。

そして本特集の3回目は、阿部氏がPUBGボコボコにされる様子……ではなく、組み立てたゲーミングPCが実際にどの程度のパフォーマンスを出せるのかを検証する。ベンチマークとくれば筆者の出番である。

阿部氏がかつて使っていたCore 2 Duo搭載PCと性能を比べたかったが、状態がかなり良くないので断念したのは心残りだ。とはいえ、Ryzen 5 2600Xを筆頭に同じようなパーツ構成で自作を考えている人にはどの程度のパフォーマンスになるかのヒントになるだろう。今回組んだ新PCのパーツ構成は以下の通りとなる。

メモリクロック設定を忘れずに

組んだパーツスタンダードなものばかりなので、OSのセットアップで特に気をつける部分はない。ただ注意しなければならないのはメモリクロックだ。今回使用したメモリDDR4-2666対応、つまり2666MHz動作が “可能” と謳っているが、何も設定せずに動作させると2133MHzで動作する。

これは、どんな環境でもメモリが確実に動作するよう低クロックでブートさせ、ユーザBIOSメモリクロック設定を引き上げることを想定しているためだ。まずはパワーオン時にBIOS(正しくはUEFI BIOSと言うらしいが……)設定画面を呼び出そう。呼び出し方は昔からのお約束パワーオン後に「Delete」キーだ。

Core 2 Duo時代とはBIOSもガラッと様変わりしており、グラフィカルでマウスも使える。今回使用したマザーボードASRock B450 Steel Legend」の場合、「OC Tweaker」→「Dram Timing Configuration」内にある「Load XMP Settings」を「XMP 2.0 Profile 1」に設定しよう。「DRAM Frequency」も「DDR4-2666」、すなわち装着したメモリクロックを指定する。メモリ内のROMに書き込まれているDDR4-2666で動作させるためのXMPプロファイルを読みだせ、と指定しているわけだ。

メモリによっては、XMPプロファイルを指定しなくてもメモリの定格クロックが出せるよう製造されているものもある。“DDR4-○○○ネイティブ” みたいな呼ばれ方をするメモリがそれに該当する。そういう場合はXMPプロファイル云々の設定は必要ない。

では実際に何も手を加えずに動かしたDDR4-2133モードの時と、XMPプロファイルを正しく設定してDDR4-2666で動作させた時は、一体どの程度パフォーマンスが変わってくるのだろうか? 総合ベンチマークPCMark10」で検証してみた。テストゲーム以外のパフォーマンスを見る「Standard」を実施した。ただし、SSDは筆者の手持ちのWesternDigital製「WDS100T2XDC」に変更している。阿部氏が購入したSSDと同設計(容量だけ500GB→1TBになっている)であるため、ベンチマーク的な影響は極めて軽微といえる。

メモリクロックを設定し直しただけで、総合スコアでは4%弱のアップとなった。無論処理の内容によって効果は違う。PCMark10のテスト細目のスコアを見ると、Essentialsテストでは増加分は1%程度の微々たるものだが、Productivityテストは17%も伸びた項目(図中Spreadsheetとある項目)がある。

Ryzenの場合、CPU内部バスのパフォーマンスメモリクロックに連動するため、メモリクロックは高いほど良い。もっと言えば、Ryzen 5 2600Xの最大定格であるDDR4-2933や、DDR4-3200等のオーバークロックメモリ(OCメモリ)を使えばもう少しスコア伸びる。だが、今メモリDDR4-2933に引き上げても次世代Ryzenメモリ仕様が変わったら、使いまわせない可能性もある。次世代Ryzen換装への機運が高まった頃に検討するとしよう。

●実際のゲーミング性能を検証
3DMark

ではゲームでのパフォーマンス測定に入ろう。まずは定番「3DMark」のスコアを確認しておきたい。GPUGeForce RTX 2060は、DXR(DirectX レイトレーシング)に対応しているので「Port Royal」も計測している。

3DMarkスコアから実際のゲーミング性能を推察することはしない。あくまで「こういったパフォーマンスが出た」という目安でしかないのだ。数多く上がっている既存のレビュー記事とざっくり比較してみてもよいだろう。
PUBG

それでは、阿部氏本命のPUBGこと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」はどの程度動作するのだろうか? 実ゲームベースの検証を始めよう。PUBGリプレイを使う測定方法は精度が怪しくなったため、トレーニングステージの島を車で半周した時のフレームレートを「OCAT」で測定する。画質は一番上の「ウルトラ」に設定し、フルHD(1920×1080ドット)から4K(3840×2160ドット)まで3段階の解像度で検証した。

フレームレート優先のプレイスタイルならフルHD一択。トレーニングステージだと軽いシーン160fpsを超えることもあるが、ぐるっとマップを半周すると平均しておおよそ136fps。最低fps(1パーセンタイル点)は89fpsであるため、重いシーンにおいてもそれなりに動きに追従できる。今回のために調達した液晶「GigaCrysta LCD-GC242HXB」のリフレッシュレートが144Hzなので、滑らかな表示が得られることは間違いない。

最初のうちはウルトラ設定でも十分に滑らかだと感じるだろうが、目が慣れてきて重いシーンでもフレームレートが落ち込まないようにするには、画質を1~2段下げるとよいだろう。

Apex Legends

PUBGだけがバトルロイヤルにあらず。次は「Apex Legends」でも検証する。トレーニングステージで一定のコースを移動した時のフレームレートを「OCAT」で測定する。画質は最も重くなるよう設定した。

平均fpsフルHD時で138fpsPUBGと大差ない感じだが、最低fpsが111fpsに上がっており、PUBGよりも描画負荷がかなり軽いことがわかる。本格的なバトルシーンになるともう少し下がる可能性もあるが、気になったら少し影の設定を落とす程度でよいだろう。
○Battlefield V

さらに阿部氏が興味を示していたBFVこと「Battlefield V」の動作はどうだろうか? DXRなしのDirectX 12のみのモードと、DXRを有効にしたモードの2通りで計測する(BFVの場合DLSSは低解像度では効かないので使用していない)。

画質は最も重い「最高」設定とし、先行フレームレンダリングと垂直同期のみオフにしている。NVIDIAはRTX 2060クラスだと「DXRレイトレースリフレクション」を「中」に設定、つまりレイトレーシングの反射を計算するレイの数を絞る設定が推奨しているが、これは筆者的に定食の副菜1品を丸々残すようなもの。DXRレイトレースリフレクションも「最高」、さらにビネット効果等の追加設定も全てオンにした状態でテストしたい。

ここでの検証はシングルプレイヤーキャンペーン「最後の虎」の序盤をプレイした時のフレームレートを「OCAT」で測定している。

シングルプレイヤー用のステージで見る限り、DXRを使わなければフルHD最高画質設定でも60fpsキープは可能。もう少し液晶のポテンシャルを活かしたければ画質「高」あたりに落としてもよいだろう。DXRを入れるとさすがに重くなるが、まあプレイできないほどではない。前述のDXRレイトレースリフレクションを落とすことで60fpsプレイは十分可能になる。

ゲームに疲れた時のパフォーマンスも考える
Ryzen 5 2600XにGeForce RTX 2060の組み合わせならば、今出ているゲームのほとんどは最高画質までは言わないまでも、高画質設定で快適に遊べるだろう。しかしパーツ選定編でも述べた通り、阿部氏は初老の域に足を踏み入れており、時間と体力と反射神経に勝る若者とガチで殴り合える時間も限られている。余暇の時間全てをPCゲームに費やせる訳でもない。

そこで阿部氏の組んだPCが、PCゲーム以外でも役立つことをベンチマーク明らかにしていきたい。家族にも言い訳が立つような使い方といえば、写真や動画の編集作業だ。
Lightroom Classic CCでRAW現像

まずは「Lightroom Classic CC」で200枚のRAW画像(6000×4000ドット)を最高画質JPEGに書き出す時間を計測する。簡単な調整を施した状態からJPEGに書き出す場合と、書き出し時にシャープネス(スクリーン用)を付与する場合の2通りの時間を計測した。5回測定した中央値を採用している。

シャープネスを付与するとCPU占有率もほぼ100%になるが、そこは論理コア数の多いRyzen 5 2600Xのパワーが発揮された印象だ。このグラフだけで速い遅いは判断できないが、ひとつ言えるのは200枚程度でRawで撮りためてあっても、5分もあれば一気にJPEGに変換できる、ということだ。
Premiere Pro CCで4K動画

前回、組み立ての模様を動画で紹介していたが、この際の撮影機材は阿部氏の所有するビデオカメラだ。つまり動画のエンコード速度データも気になるところ。そこで「Premiere Pro CC」で約3分半の4K動画プロジェクトを用意し、これをMP4形式で書き出す時間を計測した。コーデックH.264H.265とし、それぞれ1パス20Mbpsで書き出している。

H.264に比べ、H.265では約2倍の時間がかかっている。H.265は計算負荷が高いコーデックだが、現行RyzenH.265との相性があまりよろしくないのも速度差がついた原因である。H.264なら3分半の4K動画が約6分で書き出せるのだから、阿部氏にはガンガン思い出の動画を編集して、もっとコア数が多くなる(とされる)次世代Ryzen乗り換える「大義名分」を作っていただきたいところだ。

●発熱やSSDの速度をみる
ゲーム中、各パーツの温度は?

これだけハイパワーパーツを揃えているのだから、ゲーム中の温度はどの程度か気になるところ。そこで「HWiNFO」を利用し、BFVシングルプレイモードで約30分放置した時のCPU/SSD/GPUの温度を追跡してみた。CPU温度はRyzen内の温度センサーに近い「tctl/tdie」の値を参照している。

室温は24℃程度だったが、CPU67℃未満、GPUは70℃以下で非常に安定していた。GPUクーラーが小ぶりなのでもっと温度が上がると思っていたが、ZOTAC製のツインファンクーラーは案外よく冷える(RTX 2060だから、というのもあるだろう)。これから夏を迎えるにあたっても、少々エアコンを入れれば安心といえるだろう。SSDは読み書きがほとんど発生しないため、38℃でずっと安定していた。
SSDの接続スロットを変えると……

最後に検証するのはストレージの性能である。前述の通り今回の検証では、筆者が用意した1TBのSSD「WesternDigital WD Black NVMe SSD (WDS100T2X0C)」で計測している。阿部氏が購入した500GBのSSDSanDisk Extreme PRO (SDSSDXPM2)」と同じコントローラーを使用しているので、環境はそう変わらないはずだ。一応公式スペックではシーケンシャルリード500GB版と1TB版で変わらず、ただしシーケンシャルライトランダムリードライトは1TB版の方がやや速くなっている。

今回使用したマザー「B450 Steel Legend」にはM.2スロットが搭載されている。そこで、SSDの接続スロットを変えるとどの程度パフォーマンスが変わるかにも注目したい。CPUに近い側のスロットならPCI-Express 3.0 x4でヒートシンクも付いているが、遠い側だとPCI-Express 2.0 x4なので単純に帯域は半分になってしまう。計測は「CrystalDiskMark」を使用した。

このように現行のRyzenマザーでは、CPUに直結される側のM.2スロットでないとSSDの性能、特にシーケンシャルリードライト性能が一気に下がってしまう。阿部氏はちゃんと筆者のアドバイスどおりにCPUに直結されるM.2スロットを使用したため、パフォーマンスはキッチリと出せるはずだ。
○まとめ:キーボードに慣れ、そして次のステップへ進むのだ!

以上で阿部氏の組んだPCのパフォーマンス評価は終わりだ。PUBGはもちろん、たいていのPCゲームは快適に動作する。WASD移動さえおぼつかない阿部氏の操作レベルだと、ドン勝を収めるのは相当先になるだろうが、PUBGで心を折られても癒やしになるようなPCゲームはまだ多量にある。筆者からは、「Euro Truck Simulator」や「Famrming Simulator 19」等の時間泥棒ゲームプレイをオススメしたい。

阿部氏のPCは完成したが、まだ改善すべき点は残されている。やや寂しいLEDをもう少し光らせることとか、次世代Ryzen、それに合わせた最適メモリモジュールの選択などもある。その時はまた喜んで手助けに馳せ参ずるとしよう。
(加藤勝明)

画像提供:マイナビニュース