北京国安戦に前半13分から途中出場、デュエルで持ち味を発揮

 浦和レッズのMF長澤和輝は、21日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ最終節、ホームの北京国安(中国)戦に前半途中から出場して1ゴール1アシストの活躍を見せ、3-0の勝利に大きく貢献した。ブンデスリーガケルンプレーした経験を持つ長澤は、ACLの戦いで生きる部分があることを話している。

 長澤はこの試合、ベンチスタートだったがアクシデントにより登場が早まった。開始1分でMF柏木陽介が相手のタックルで負傷すると、足を引きずりながら10分近くプレーしたものの続行不可能に。前半13分に長澤がピッチに送り込まれた。

 すると長澤は、その輝きを前半のうちから見せる。同34分、中央から切り込むとFW武藤雄樹のパスを受けた長澤が相手DFを1人かわして右足シュート。これが相手GKの逆を突いてゴールに吸い込まれ、大きな先制ゴールをゲットした。さらに浦和は同41分、中盤の競り合いでブラジル代表MFレナト・アウグストを弾き飛ばした長澤が左サイドを一気に突破すると、中央に進出して武藤に丁寧なパス。これを武藤が右足で流し込み、2-0とリードを広げた。

 特に象徴的だったのは、アウグストを振り切った2点目の場面だろう。昨年のロシアワールドカップ(W杯)にも出場したブラジル人MFに対して体を前にねじ込むと、そのまま前進した。長澤は「体が大きくて能力があると分かっていたけど、サッカーは大きさだけではない体の使い方で前に入れると優位に運べる。そこで自分の良さは出せた。そこから仕掛けることで選択肢ができてゴールにつながったので、有効なプレーになったと思う」と、真骨頂とも言えるプレーについて話した。

 長澤は、前回優勝した2017年のACLで脚光を浴びた。上海上港(中国)と対戦した準決勝でのプレーが出色のパフォーマンスで、それが当時の日本代表を率いていたバヒド・ハリルホジッチ監督の“デュエル”を求める部分にも合致して代表入りにつながった。Jリーグの試合では、その強い当たりがファウルとされる場面も見られるタイプだが、アジアの舞台ではその躍動感が色濃い。

オリヴェイラ監督も賛辞 「彼の存在が決定的だった」

 JリーグとACLの違いを長澤は「ある意味、日本は待つ守備が多いじゃないですか。奪いに行くこともありますけど、駆け引きで待つシーンが多い。ACLは相手も奪いにくる、突っ込んでくるので、海外での経験が生きていると思います」と話す。そうした意味でも、肉弾戦の様相を呈すことの多いこの大会で、浦和の中盤では貴重な輝きを見せている。

 アクシデントによって試合序盤での投入となったが、オズワルド・オリヴェイラ監督も「予想より早くピッチに立つことになったが、彼の存在が決定的だった。守備ではマークをしっかりして、1点目を決めて2点目もアシストしてくれた。彼にとって素晴らしいゲームだった」と賛辞を惜しまなかった。

 浦和はこの勝利でグループの2位通過を決め、ラウンド16では蔚山現代(韓国)と対戦する。東アジアのライバルである韓国勢とのマッチアップは、球際の勝負という側面が間違いなく強くなるが、浦和が誇る中盤のファイターは、一歩も引かないバトルを見せてくれるはずだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

1ゴール1アシストの活躍を見せたMF長澤【写真:Getty Images】