MONGOL800が2001年にリリースした楽曲「小さな恋のうた」。世代を問わず、今なお歌い継がれるこの曲をモチーフにした映画「小さな恋のうた」が5月24日(金)に公開する。

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同作は、沖縄を舞台に高校生バンドが繰り広げる青春劇。地元で人気を集める高校生バンド、ボーカルの亮多(佐野勇斗)、ドラムの航太郎(森永悠希)、ギターの慎司(眞栄田郷敦)、ベースの大輝(鈴木仁)。デビューが決まり喜びの中にいた彼らだが、ある事故でバンドは分裂してしまう。しかし、1曲のデモテープと米軍基地に住む一人の少女により、彼らは再び楽器を手に立ち上がるというストーリーだ。

今作で映画単独初主演となる佐野に、作品への思いや撮影の舞台裏などを聞いた。

■ なかなか奇跡だった

――本作への出演が決まったときは、どんな思いだったでしょうか。

お話をいただいたときはプレッシャーを感じましたが、台本を読ませてもらったらすごくいい話だったので、しっかりやりたいなと思って撮影に臨みました。僕、単独で主演をやらせてもらうのが初めてだったんですよね。でも、座長というのを前に出していくのはいやだったので、意識したのはとにかくみんなと話そうということ。みんなが楽しくやれることが一番だと思って、共演者の人たちにもスタッフさんにも積極的に話し掛けましたね。おかげでスタッフさんとはすごく仲良くなれたし、共演者ももちろん仲良くて、作品も素晴らしいものになったという三拍子そろうのはなかなか奇跡だったなと思ってます。

――佐野さんが演じる亮多は、純粋でお調子者、バンドのムードメーカーという役どころですが、ご自身と比べていかがでしょうか。

亮多は僕に似ているとよく言われるんですけど…、実際はちょっと違うんですよね(笑)。M!LKの佐野勇斗は亮多に近いかもしれないけど、オフのときは真逆です。学生時代は学級委員長をやってて、少しやんちゃな集団の中にいるけど、あまりしゃべらず、一歩引いている存在だったから、バンドメンバーの中だと慎司に近いかもしれないです。慎司は親からはバンド活動を反対されている真面目な高校生で、バンドがトラブルを起こして、先生から「おまえがしっかりしろよ」って怒られるシーンがあるんですけど、僕もそんなふうに怒られる側でしたから。

――撮影の舞台となった沖縄の印象はいかがですか?

今回の映画撮影の前にも、M!LKの写真集撮影で行ったことがあったのですが、東京とは違ってせわしなさがなくて、僕の田舎ともどこか似ているような。人柄が良くてほんわかした感じが好きです。

■ ベースと歌のリズムの取り方が違う

――ベースも初挑戦だったそうですね。

クランクイン前、半年間くらい練習しました。楽器は小学校の音楽の授業以来、ほとんど触ったことがなくて、ほぼ初めての挑戦でした。ベースだけでも難しかったのですが、ベースを弾きながら歌わなければならなかったので、それが一番難しかったですね。ベースと歌のリズムの取り方が違う箇所があったりして、それはプロの方でも難しいらしいんですよ。そのリズムを一つ一つ分解しながら身に着ける作業は結構苦労しました。ライブのシーンは気持ち良かったけど、ベースがあるのとないのでは全然違って。それはもちろん、歌だけの方が楽でしたよ(笑)。

――バンドメンバーの仲の良さも際立っています。

いくら役者とはいえ、初対面の人とすごく仲のいい人とでは、芝居も多少は変わると思うんです。バンドのシーンの音楽は、実際に僕たちが演奏した音を使っているんですが、そのためもあって、メンバーとも半年間一緒に音合わせをしてきたんですね。だからこそ、その間に築き上げたバンド感が出せたのかなと思います。

あと、バンドの雰囲気を出すために、監督から普段も“タメ語”で話せって言われました。郷敦は年下だし、「ムリっす!」って言ってずっと敬語だったけど(笑)、初めよりは全然仲良くなったと思います。森永くんは映画「ちはやふる -結び-」(2018年)で共演していて、プライベートでもよく遊ぶし、仁も前から知ってるけど、タメ語で話すようになってより仲良くなれたかな。そのおかげか、アドリブもすごく多くて。採用されたシーンも結構あったので、うれしかったですね。

――では、もし高校生に戻れるとしたら、やりたいことはありますか?

うーん…戻らなくてもいいかな。高校生活はこれ以上ないくらい楽しかったので、後悔が全くないんですよね! 遊びだけではなく、大学受験の勉強もしたし、ちゃんとやることをやったので良かったのかなと思ってます。

■ M!LKとしてやってきたからこそ生きたこともある

――今作は、MONGOL800のメンバーもカメオ出演されています。撮影現場にも見学にいらっしゃったそうですね。

文化祭で歌うシーンがあるんですけど、(上江洌)清作さんが見に来てくれました。本人が見ている目の前で歌うのは緊張しましたけど、すごくいいって言ってくださって本当にうれしかったです。

――音楽を題材にした映画で、佐野さん自身もM!LKとして音楽活動をされていますが、普段から音楽は聞く方ですか?

毎日聞いてます。最近だったら、ONE OK ROCKさんのC.h.a.o.s.m.y.t.h.」をよく聴いてますけど、いろんなアーティストの方々の曲をシャッフルして聞いていることが多いですね。

――佐野さんにとって映画「小さな恋のうた」はどんな作品になりましたか?

小さな恋のうた」は初めて買った曲だし、M!LKのオーディションでも歌った曲なんです。僕にとって“人生を変えてくれた1曲”なんですけど、その映画に出演させていただけて、本当にありがたいことだと思ってます。この映画でやらせていただいたバンドも、M!LKとしての活動も、違うようでいて本質は違わないのかなと思います。両方とも同じ“音楽”だから。M!LKとしてやってきたからこそ生きたことも多々あるので、その姿を見ていただけたらうれしいです。(ザテレビジョン・取材・文=Rum

5月24日(金)公開の映画「小さな恋のうた」で単独初主演を務める佐野勇斗