プロゴルフの市場に関する、興味深いデータが明らかになった。

韓国のユウォン・ゴルフ財団とソウル大学のスポーツ産業研究所が共同でまとめて5月15日に発表した『2018韓国ゴルフ産業白書』に記されたデータによると、韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)のスポンサー市場規模は、男子プロゴルフツアーの韓国プロゴルフ協会(KPGA)のそれよりも、300億ウォン(約30億円)多いというのだ。

ここでいうスポンサー市場規模とは、2017年度の大会のタイトルスポンサー料やサブスポンサー料、広告収入、選手個々のスポンサー収入を合算したものらしいが、551億9700万ウォン(約55億1970万円)のKPGAに対し、KLPGAは850億6000万ウォン(約85億600万円)もあったという。

2017年度のKLPGAツアーといえば、シーズン前はイ・ボミ、キム・ハヌルらと並んで“韓国美女ゴルファー神セブン”に数えられていたユン・チェヨンやアン・シネの日本ツアー本格参戦が決まっていたが、終わってみれば大盛り上がり。

【写真】イ・ボミとキム・ハヌルだけじゃない!! 韓国美女ゴルファー“神セブン”は誰だ!?

別名“ホット・シックス”と呼ばれるイ・ジョンウン6がプロ2年目ながら平均ストローク、最多勝(4勝)、賞金女王、大賞(年間最優秀選手)の4冠を達成して、文字通りKLPGAの顔、ニューヒロインに躍り出た。

テレビ中継権料は4倍!?

このイ・ジョンウン6の台頭に合わせるように、人気と実力の両方を兼ね備えた10数人だけが選ばれる“KLPGA広報モデル”の顔ぶれも、それまでの常連だったユン・チェヨンやアン・シネではなく、コ・ジンヨン、オ・ジヒョン、さらには現在日本を主戦場とするペ・ソンウなどに入れ替わった時期でもある。

そんなこともあってテレビ中継権料でも、KLPGAがKPGAを上回った。前出の『2018韓国ゴルフ産業白書』によれば、2017年基準でKPGAの中継権料は20億ウォン(約2億円)だったのに対し、KLPGAはその4倍となる80億ウォン(約8億円)だったという。


(写真提供=SPORTS KOREA)2018年KLPGA大賞授賞式


まさに韓国では男子プロゴルフよりも女子プロゴルフのほうが人気なわけだが、男子プロゴルフの低迷は今に始まったわけではない。

KPGAは2008年の20試合・賞金総額114ウォン(約11億円)をピークに、年々規模が縮小。2015年には史上最低の12試合・賞金総額89億ウォン(約8億9000万円)となった。

それ以降、13試合・95億ウォン(2016年)、19試合・139ウォン(2017年)、17試合・143ウォン(2018年)と徐々に持ち直し、今季は17試合・賞金総額146億(約14億6000万円)となっているが、KLPGAはさらに上を行く。

今季は計29試合で賞金総額は約226億ウォン(約22億6000万円)なのだ。

こうした規模の違いは、ファンやメディアが選ぶ人気ゴルファー・ランキングにも色濃く反映されている。

昨年5月に世論調査で有名なギャラップ社の韓国支社が行った「ゴルフに対する意識調査」で、「好きな韓国人ゴルフ選手」トップ5の中で、男子選手から選ばれたのはチェ・ギョンジュただ1人。残りはすべて女子選手だったのだ。


(写真提供=SPORTS KOREA)チェ・ギョンジュ


もっとも、男子プロゴルフよりも女子プロゴルフのほうが盛り上がっているのは韓国だけではない。

今季の日本男子プロゴルフは25試合・賞金総額は約34億円だが、女子プロゴルフのほうは39試合・賞金総額は39億4500万円。日本のプロゴルフも男女の明暗がくっきりだ。

それでも日本男子ツアーにやってくる韓国人選手が多い理由については以前に本欄でも紹介したが、いずれにしても韓国でも日本でも今やプロゴルフといえば「女子ツアー」のほうが活況に呈していることは間違いない。

この状況を日韓の男子プロゴルフ関係者たちはどう受け止め、改善策に打って出るか。日韓両行の男子ツアーの行方には、引き続き注視していきたいところだ。

(文=慎 武宏)

(写真提供=SPORTS KOREA)2018年KLPGA大賞授賞式