北京国安に快勝して16強進出の浦和、GK西川も好プレーで無失点勝利に貢献

 浦和レッズは21日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ最終節、ホームの北京国安(中国)戦で3-0の勝利を収め、ラウンド16への進出を果たした。無失点勝利に貢献したGK西川周作は、その要因に中国勢に見られる“外国人依存”が守備の的を絞りやすくしたと話している。

 浦和はこの試合前の時点で、北京と勝ち点7で並んで迎えていた。グループ全体での得失点差では浦和が上位だったが、直接対決の初戦はアウェーでスコアレスドロー。そのため、突破の条件は勝利するか0-0の引き分けが必要で、敗戦か1-1以上の引き分けは敗退。ことさらに無失点の重要性が際立つ状況だった。

 そうしたなかで、西川の大きな見せ場は前半25分だった。北京が最終ライン近くでボールを引き出したブラジル代表MFレナト・アウグストが縦パスを入れ、それを受けた元スペイン代表MFホナタン・ビエラが前を向いてスルーパス。そして抜け出したコンゴ代表FWセドリック・バカンブとの1対1になった場面だ。この時、西川はスルーパスを察知して前にポジションを移して距離を詰め、バカンブのシュートを左足で弾き出した。

 その後にゴールを重ねて結果的には完勝した浦和だが、先制点を与えていれば全く別の展開になったはずだ。そうした意味でも、この西川のワンプレーには大きな価値がある。それだけに、試合後の西川は「GKも疲れるんですよ、メンタルが」と笑顔だった。

 一方で、この1対1が発生した後の時間帯で、浦和は北京にこれといったチャンスを作らせなかった。そこには準備された守備戦術があったものの、その根底にあるのが「(2017年に)上海上港と対戦した時もそうだったんですけど……」と、中国勢に見られる傾向だったと西川は話している。

「試合前の時点で21番(ビエラ)と5番(アウグスト)をフリーにするなというのはありました。ビエラはフラフラと下がることもあったんですけど、その時は必ずアウグストが出てくる。だから、エヴェルトンには必ずアウグストについて戻ってきてくれと言っていました。結局、ビエラもボールを持てば周りに中国人の選手がいても必ずアウグストかバカンブを探している感じで、3人だけでやろうとする感じだったので攻撃は分かりやすいなと感じました」

北京の総シュート8本のうち、中国人選手は1本のみ

 この試合で8本のシュートを放った北京だったが、その内訳はバカンブが5本でアウグストが2本。中国人選手のシュートは、途中出場したFWジャン・ユンニンの1本のみだった。確かに、最終的に外国人選手に頼ってくるという西川の指摘はデータにも表れている。

 また、上海との対戦時にはブラジル代表FWフッキ、同代表MFオスカル、FWエウケソンが中心で彼らにボールを集める傾向が顕著だった。そのなかで手痛いゴールを許した場面もあったが、こうした中国勢の傾向を経験上で分かっていることは、この試合での浦和を大きく助けたと言えるのだろう。

 中国勢はその資金力によって強力外国人を獲得してアジアの舞台でJリーグ勢を苦しめている。しかし、その実態にあるのは、そうした外国人への依存度が高い攻撃だとも言える。その生命線を断ち切るべく守備戦術を組み立てた浦和にとって、無失点での勝利はまさに狙い通りのものだったと言えるはずだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

好プレーで無失点勝利に貢献した浦和GK西川【写真:Getty Images】