梅雨前線の影響で20日、台湾は大雨に見舞われ、台中市では2時間にわたり猛烈な雨が降り続いた。あちこちで水が溢れ出す中、市内大甲区で落雷により切断された高圧電線が垂れ下がり、原付バイクで通りがかった2人が感電する事故が起きた。この事故で女性1人が軽傷、男性1人が重傷を負い、男性は病院で救命治療を受けていたが、翌日早朝3時頃に死亡した。『自由時報』『東森新聞』などが伝えている。

事故があったのは、大甲区中山路二段にある幼獅工業区。20日の正午頃、高圧電線が落雷で切断された。この電線付近を原付バイクで通過しようとしていた女性(58歳)は、路面に垂れ下がった電線に感電し転倒。右手に火傷を負ったが通りがかりの人に助けられ、その後自分で病院へ行っている。

女性の事故からおよそ10分後、男性(25歳)も同地点を通った。先ほどの事故を目撃した人々が警戒するように大声で呼びかけたが伝わらず、男性は感電しその場に倒れ込んだ。工場からはフォークリフトで男性を助け出そうとする動きもあったが、上手く持ち上げることができなかったそうだ。落雷で一時は停電したもののすぐに復旧しており、漏電の危険性もあることから「それ以上は近づけなかった」と言う。駆けつけた救急隊員も、電力会社によって電気が止められるまで救助を開始できなかった。

消防隊によれば当時、高圧電線にはおよそ1万1000ボルトの電圧が流れていたという。同じ場所で感電し、1人は軽傷、1人は重傷を負った後に死亡したことについて、専門家は「2人が倒れた位置に関係がある」と話している。女性は感電後に左側に倒れたため高圧電線からの距離が遠くなり、加えて雨合羽を着用していたことから身体は濡れていなかった。一方で男性は感電後に高圧電線に近い右側に倒れ、また雨合羽を着用しておらず全身が濡れていた。とはいえ1万1000ボルトの電圧で身体に電気が流れた場合、その電流はおよそ110ミリアンペアになり、身体が濡れていなくても危険な数値であることに変わりはないという。

なお、台中市政府法制局によれば、男性は電線に直接感電したのではなく、落雷によって電線が切断された数分後にそこを通過し感電したことから、電力会社に責任を追及することは難しいとのことだ。しかし停電の数分後に電気が復旧したことについて、電力会社側が電線の異常に対してすぐに措置を取っていれば、男性が倒れた後に感電することはなかったとされる。この部分について電力会社側に過失がなかったか詳しく調べる必要があり、また過失が見つかった場合は電力会社の賠償責任追求について遺族へのサポートを行う考えを示した。

画像は『自由時報 2019年5月20日付「大雨炸台中 男騎士遭掉落高壓電線電擊命危」(記者張軒哲翻攝)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)

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