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Point

■人が犬を飼うことは、環境的要因と同レベルで遺伝子も影響していることが確認された

■犬を飼う人はストレスに強く健康上の利点がある、という説についても、遺伝学から説明できるかもしれない

■未だ謎が多い人と犬が共存を始めた理由も、この研究がいずれ明らかにするかもしれない

あなたは犬を飼っているだろうか?

犬を飼うことなんて考えたことも無いだろうか?

実は犬を飼うかどうかの判断には「アパートだから飼えない」などの環境的要因と同レベルで、遺伝子が影響しているという。

つまり、犬を飼う人は犬を飼う遺伝子を持っているのだ。

この研究は、スウェーデンと英国の研究チームにより5月17日にサイエンティフィック・リポーツ誌に掲載されている。

Evidence of large genetic influences on dog ownership in the Swedish Twin Registry has implications for understanding domestication and health associations
https://www.nature.com/articles/s41598-019-44083-9

犬を飼いたくなる遺伝子

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スウェーデンには世界最大規模の双生児レジストリーがある。

今回の研究ではそこに登録された35035組の双子の情報を用いて、犬の飼い主と遺伝構成の影響を調査した。

一卵性双生児は基本的に全遺伝情報が一致しており、非一卵性双生児の場合、一致する遺伝情報は半分だ。

この一卵性、非一卵性の双子ペアで犬を飼っているかどうかの状況を調査したところ、なんと一卵性双生児では犬を飼っているペアが高い確率で一致した。この傾向は非一卵性双生児のペアでは確認できない。

この結果は、犬を飼うかどうかの判断に、かなり高い確率で遺伝子が関与していることを示唆している。

今回の調査では、双子を対象としているため、原因遺伝子の特定までには至っていない。しかし、顕著な調査結果は遺伝の影響を証明している。

今後はこの遺伝子が、人の性格特性やアレルギーなどの因子とも関係するかを調査することが課題だという。

人と犬の歴史の解明にも貢献する研究

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犬は最初に家畜化された動物で、古代エジプトでも飼育されていたといわれ、考古学的には少なくとも15000年前には、家畜として犬が存在していた証拠が発見されている。

最近では3万年前の「旧石器時代」に既に人と暮らす犬がいたという主張が出されており、議論の的になっている。

しかし結局のところ人がなぜ犬を飼うようになったのか、それは具体的にいつ頃なのかについては、未だ多くの謎に包まれているのだ。

ただしそこに遺伝的な影響があったとなると、現代と古代の遺伝子データの検証によって、新たな事実を発見できる可能性が高い。この研究ではそういった面で、考古学者たちも興味を寄せている。

また、犬を飼っている人は健康面で有利でありストレスに強い、という研究報告もあるが、こうした調査結果も犬を飼う遺伝子の影響で説明できるかもしれない。

遺伝子は運命も支配している、というオカルト臭い話もあるが、犬を飼うかどうかまで遺伝子の影響となると、それも馬鹿に出来ない考え方かもしれない。

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reference:medicalxpress,jsts/written by KAIN
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