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 4月13日~14日に岡山国際サーキットで開幕した今シーズンSUPER GTシリーズ。しかし決勝レースは強い雨のため序盤からクラッシュが続出する大荒れの展開。4度のセーフティーカー導入、2度の赤旗、そして31周で赤旗中断により、GT500クラスは8号車(ARTA NSX-GT、野尻智紀/伊沢拓也)が、GT300クラスは96号車(K-tunes RC F GT3、新田守男/阪口晴南)が開幕戦を制した。すっきりしない形で終わった開幕から約1ヵ月。10連休のゴールデンウィーク期間中に富士スピードウェイで開催されたSUPER GT第2戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」を制したのは一体誰か。令和最初のウイナーは誰に輝くのか。GT300クラスを中心にお伝えしよう。

予選は快晴! 今季から初参戦の56号車がポール

 好天の中で行なわれた5月2日の予選。GT300クラスは全29台によりポールが争われた。予選1回目で好タイムを出したのはマザーシャーシ勢。前戦で大破するもののアップガレージの助けを借りて復活した25号車(HOPPY 86 MC、佐藤公哉)が「1分37秒142」をマークすると、2号車(シンティアム・アップルロータス、加藤寛規)で「1分36秒566」でトップに浮上。5号車(ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号、坂口夏月)も3番手タイムに入ってくる。

 ここに割って入ったのが、今年、スーパー耐久シリーズからステップアップしてきた56号車(リアライズ日産自動車大学校GT-Rサッシャ・フェネストラズ)。2番手タイムに入った。いっぽう、今年注目チームの一つ、720号車(McLaren 720S、アレックス・パロウ)がGRスープラコーナーの立ち上がりでコース外走行(4輪脱輪)があり、該当タイムが抹消。18番手でQ1敗退となった。

 予選2回目はマザーシャーシvs国産GT3勢の雄であるNISSAN GT-Rとの闘い。11号車(GAINER TANAX GT-R、平中克幸)が「1分36秒501」とトップに立つと、56号車が残り5分でコースレコードに迫る「1分35秒841」でタイム更新。25号車(HOPPY 86 MC、松井孝允)が「1分36秒069」、5号車が「1分36秒080」をマークするも、56号車には届かなかったが2番手・3番手につける。

 ここに前戦の岡山で追突され大きく破損した360号車(RUNUP RIVAUX GT-R)が続く形となった。結果、ポールは56号車、2番手は25号車、3番手に5号車。以下、 11号車、360号車と続いた。

 4号車(グッドスマイル 初音ミク AMG)は6番手に入った。注目車種で、前戦岡山にて大きく損傷しフレーム交換となった33号車(エヴァRT初号機 X Works GT-R)は15番手、Vtuberを車体に描いた9号車(PACIFIC MIRAI AKARI NAC PORSCHE)は25番手に入った。

 いっぽうGT500クラスは23号車(MOTUL AUTECH GT-R)が開幕2戦連続となるポールを決めた。松田次生が予選1回目をトップタイムで突破すると、2回目ではロニー・クインタレッリが富士スピードウェイGT500クラスコースレコードを大幅に更新する「1分26秒871」を決めた。

10連休の大観衆の中で始まった決勝レース

 決勝レースの4日は、10連休の後半とあってか、朝から富士スピードウェイ周辺には最長1kmを超える長い入場渋滞ができるほどの大混雑。サーキットには当日5万6千人の大観衆が詰めかけ、通常レースより200km長い「500km/110周」の長距離決戦は大入りの中で行なわれた。

 午前中は快晴で、絶好の行楽日和。しかし、スターティンググリッドに車列ができる頃から空には厚い雲が立ち込めてくる。そしてグリッドウォークの後半から雨粒が落ち始め、路面はあっという間にウェットコンディションへ。開幕戦の岡山に続いて、セーフティーカー先導によるスタートとなった。

 レースは3周目からスタートポールポジションの56号車が好ダッシュを決めてホールショットを取る。後方の2番手・3番手につけたマザーシャーシ勢がそれに続くが、1コーナーから争いが激化。その隙を縫って4番手スタートの11号車がごぼう抜き。アドバンコーナーを抜けたあたりで2番手に浮上し、GT-Rがワンツー体制を構築する。11号車は56号車を猛追。5周目の最終パナソニックコーナーでパスしトップに立つ。

開幕戦に引き続き大雨がコースを襲う

 しかし、このあたりから雷鳴が富士スピードウェイに轟き雨も激しくなっていく。この雨の中で強さをみせてきたのがGT3勢。9周目に55号車(ARTA NSX GT3)が3番手に浮上すると、これに34号車(Modulo KENWOOD NSX GT3)、4号車が追従。予選好タイムだったマザーシャーシ勢は後方に沈んでいった。

 そして、13周回目にとうとうセーフティーカーが導入。雨脚はさらに強まり、9号車をはじめ、スピンする車両も続出。16周目を迎えた15時4分、赤旗が掲示され、レースは一時中断を余儀なくされて、メインストレート上にはクラスごとに車列が形成される。トップが11号車、2番手に56号車、3番手55号車、4番手34号車、5番手4号車。

 GT500クラスポールの23号車に対して、富士をホームコースとするレクサス勢が牙をむく。先陣を切ったのは予選2位の37号車(KeePer TOM'S LC500)。3周目にダンロップコーナーオーバテイクに成功する。しかし、23号車もタイヤが温まってくると37号車を猛追。再逆転に成功する。いっぽう、後方からは今年から新体制となった38号車(ZENT CERUMO LC500)が力走を見せる。7番手スタートだった38号車は、次々に先行車両をパス。9周目のダンロップコーナーで37号車をオーバーテイクし2位に浮上。23号車を猛追し、13週目にパスに成功したところでセーフティーカーが導入されてしまった。

 レースは30分間中断し、雨が止んだ15時33分にセーフティーカースタートで再開。後にセーフティーカーが入り19周目から闘いの幕が再び上がった。隊列が1コーナーに向かう中、55号車が1コーナーオーバーランし4番手に後退。さらに5号車がセーフティーカーラン中にスピンしたとしてドライブスルーペナルティの裁定が下る。

レース再開後に65号車が驚異のペースで走行

 雨は上がっても路面はウェット。そして中断により冷えたタイヤ。この状況が明暗を分けた。最初に速さをみせたのが720号車。18番手スタートだった720号車は、潜在的なパフォーマンスとウェットコンディションのマッチングの良さも相まって4番手にまで順位をあげる。そしてクラス連覇を目指し、13番手スタートの65号車(LEON PYRAMID AMG)が無双の速さで、27周目に3番手に浮上。さらに2番手の56号車も28周目に入るメインストレートで追い抜き、2番手までポジションアップする。いっぽう、中断前まで5番手だった4号車は11番手まで順位を落とす。

 後方が激しく順位が入れ替わる中、トップの11号車は順調に周回を重ね後ろと10秒以上のギャップを築く。しかし、後方からラップ3秒という驚異的ハイペースで65号車が詰めていく。そして31周回目のトヨペット100Rコーナーで11号車の攻略に成功。65号車がトップに立つと、今度は逆に10秒のギャップを築いていく。

 そのころになると、各チーム1回目のタイヤ交換のタイミングとなる。まず29周目に動いたのは34号車。大津が道上にステアリングを託し、タイヤはウェットを選択。その後、各チームは33周目あたりから入り始め、乾き始めた路面に対してドライタイヤチョイスする。

 35周目には2番手を走行していた11号車がピットイン、36周目に56号車といった上位勢がドライチェンジしていく。順位を大幅に落とした4号車だが、その後ラップタイムを更新し続けて2番手までポジションアップ! そのタイミングで38周目にドライチェンジコースへ復帰する。トップの65号車は39周目にドライへとチェンジする。この各車ドライが正解で、コースは周回を重ねるごとにレコードラインが見える状況へ。

 34号車のウェット選択は完全に失敗し、42周目にタイヤ交換のため再びピットイン。20位前後にまで順位を大幅に落とすこととなる。

 各チームが1回目のタイヤ交換を終えた段階で、トップは再び11号車。2番手に65号車、3番手に56号車の順。ここで56号車のペースが復活、42周目に65号車と順位が入れ替わる。気づけばスタート時と同じGT-R勢のワンツー体制。しかも、そのギャップは10秒以上だ。

 59周目、後方から追い上げてくるマシンが65号車に襲い掛かる。今年から88号車(マネパ ランボルギーニ GT3)のステアリングを握る小暮卓史だ。猛牛は65周目のメインストレートで65号車をアウト側から豪快に抜き去る。これに同じく今年からGT300クラスに参加する55号車の福住仁嶺が追従。65号車は5番手まで順位を落とす。

11号車GT-Rと55号車NSXがコンマ数秒のバトル

 ピットが再び慌ただしく動き出したのは70周を過ぎたあたりから。まず動いたのは34号車。我慢の走りをした道上から70周目に大津へとバトンをつなぐ。71周目に55号車、72周目に7番手までポジションを取り戻した4号車がドライバー交代。それぞれ高木、片岡にステアリングを託す。トップを快走するた11号車は、2位に11秒以上のギャップを築いて72周目に安田へとチェンジ。同じ周回数で65号車もピットロードに滑り込む。74周目終わりには56号車、88号車も揃ってピットイン。このタイミングで55号車のアンダーカット作戦が成功。一気に2番手まで浮上する。

 ほぼ全車が最後のタイヤ交換が終わった段階で、トップは11号車、約7秒後方に55号車、約9秒後方に3番手の56号車、以下88号車、65号車と続く。

 レース終了の定刻18時が近づくと、路面温度は急激に低下。そのためか11号車のラップタイムが落ち始め、55号車とのギャップが縮まっていく。99周目にはその差は2.5秒。そして後方でも88号車が56号車を1コーナーで料理し3番手に浮上する。

 11号車と55号車のトップ争いは、ファイナルラップまで持ち込まれ、その差は0.2秒にまで接近。しかし、11号車がGT500クラス車両を上手に使いブロックに成功。55号車のストレートにおけるスピード不足も手伝って令和最初のウイナーに輝いた。

 NISSAN GT-R nismo GT3は前週にスポーツランドSUGOで行なわれた平成最後のレースピレリスーパー耐久シリーズ2019 第2戦 SUGOスーパー耐久3時間レース」でも昨年のチャンピオンマシン「GTNET GT-R GT3」が優勝しており、平成だけでなく令和の時代でも強さをみせつけた。

 GT300クラスベスト10は、2位が55号車、3位に88号車。以下、56号車、65号車、4号車、33号車、21号車(Hitotsuyama Audi R8 LMS)、60号車(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)、10号車(GAINER TANAX triple a GT-R)と続いている。

 なお、GT500クラスは赤旗中断後、ZENTNISMOの争いとなり、ZENTが2年ぶりの優勝を飾った。

令和最初のSUPER GT GT300クラスを制したのはGT-R!