北朝鮮の内閣などの機関紙・民主朝鮮は21日、日本の安倍政権が進める憲法改正の動きを非難する論評を掲載した。

論評は、「安倍政権が内外の強い抗議と糾弾にもかかわらず、憲法第9条を改正するためにそれほどやっきになっているのは憲法第9条が自分らの軍国主義復活、海外侵略野望の実現を妨げる障害物になっているからだ」と指摘。続けて「日本の軍国主義復活と再侵略は、時間の問題である」と主張した。

北朝鮮メディアは最近、この調子で対日非難を強めている。金正恩委員長メディア戦略で独自色を打ち出しており、こうした非難も彼の意を受けたものと解釈して差し支えない。

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安倍晋三首相は今月6日、北朝鮮金正恩氏との日朝首脳会談について、前提条件なしに実現を模索する考えを表明した。しかしその後も、北朝鮮メディアは連日、対日非難を繰り広げている。一部を引用すると、以下のような論調だ。

「日本が侵略の道に再び乗り出すのは時間の問題である」(労働新聞8日付)

「(日本の狙いは)独島(竹島)問題を国際化して領土紛争を起こし、20世紀のように朝鮮併呑と大陸侵略のための布石とすることにある」(朝鮮中央通信13日付)

「安倍勢力は『空母は保有できない』という法律的障害を除去し、軍事大国化の野望を合理化するために空母が攻撃型か、攻撃型でないかがその保有名分の基準になるというたわごとで世論を欺まんしている」(労働新聞16日付)

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これを見ると、北朝鮮の側はどうも、「前提条件なし」で首脳会談に応じる気はなさそうだ。では、北朝鮮側の「前提条件」とは何か。

過去の論調を見る限り、それは大きく2つある。まず、第一に過去清算である。

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日朝が国交正常化に向けて本格的な対話に入れば、必然的に過去清算について話し合われることになる。だが、安倍氏が言っているのは「前提条件なしで会う」というだけのことであり、その後どうするかについては言及していない。

金正恩氏とすれば、日本側が「前提条件なしに国交正常化交渉を始める」とでも言えばウェルカムなのだろうが、そのような展開はあり得ようはずもない。

次に北朝鮮が「前提条件」にするかもしれないのが、両国間での踏み込んだ形での安保対話だ。

北朝鮮は、護衛艦「いずも」の空母化やステルス戦闘機の導入など、日本の軍備強化に神経を尖らせている。それはそうだろう。仮に米国との非核化対話が進展し、「虎の子」である核ミサイルを全廃するようなことになれば、北朝鮮の防衛力は一気に空洞化する。そのとき、強大となった自衛隊がすぐ隣に存在することは、脅威と言えば脅威である。

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安倍氏としては、「拉致問題の進展」という前提条件を外したことは政治的な勇断だったのかもしれないが、日朝首脳会談が実現するには、あちら側の勇断も必要になるということだ。

2018年9月20日、韓国の文在寅大統領らと白頭山を訪れた金正恩氏(平壌写真共同取材団)