大企業」と聞くと、これまでは定年まで安定して働けるというイメージがありました。ところが近頃は著名な大企業を数年で去ってしまう若者もいるようです。一見、「もったいない…」とも感じる判断をした彼らは、何を考えてそうしたのでしょうか。

そもそも離職率はどのくらい?

よく「いまの若い人はすぐに仕事をやめる」と耳にしますが、離職率が高いのは事実なのでしょうか。厚生労働省が発表した「新規学卒者の離職状況(平成30年10月23日発表)」から、平成27年3月に卒業した就職者のうち3年目までの離職率を見てみましょう。

中学卒:64.1%
高校卒:39.3%
短大等卒:41.5%
大学卒:31.8%

このように、学歴が高くなるにつれて離職率が低下していることが分かります。とはいえ、一番低い大学卒でも3年目までの離職率が3割を超えているのが現状です。

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20代で転職した理由を聞いてみる

次に、新卒で大手企業に入社したものの、20代のうちに退職・転職した若者に、その理由を聞いてみました。彼らは、なぜ自らの意志で退職の道を選んだのでしょうか。

私立大学卒・Aさん(男性)の場合

「もともと大手の日系金融機関で働いていたのですが、『ここでは自分の実力を試す機会がない』と感じていました。得られた成果が自分の実力によるものなのか、それともチームのおかげなのかも分からない状態。そこで、『外資系金融機関で自分の力を試したい』と決心しました。

その結果、無事に採用が決まり、3年目の春に転職。その後10年間はずっとその会社で働き続けました。自分の成績が給与を左右するので、モチベーションを保つこともできましたよ」

国立大学卒・Bさん(男性)の場合

「大学を出てシンクタンクに就職しましたが、3年で日系金融機関に転職しました。最初の会社は年功序列型だったので、まったりした雰囲気が漂っていたんです。給料に満足がいかなかったのもあります。日系金融機関で仕事のスキルやノウハウを習得したあとは、さらに外資系金融機関へ転職しました」

私立大学卒・Cさん(女性)の場合

「卒業後、大手鉄道会社に入社しました。もともと数年後にはグループ会社に出向する予定だったのに、トップマネジメントが変わった影響で予定が変更。希望とは異なる管理部門ばかり経験させられ、納得できませんでした。会社の事情に振り回されるのにうんざりして、結局30歳で退職。いまはベンチャー企業で働いています」

このように、自分に適した環境や働き方を求めて転職したという声が聞かれました。受け皿としては転職者を受け入れることが多い外資系やベンチャー企業というケースが多いようです。

大企業のどこにガッカリしたのか

はたから見ると“勝ち組”に見える大企業就職者も、入社後に「想像と違った」とガッカリすることもあるといいます。どんな点にギャップを感じることが多いのでしょうか。

入社前のイメージと異なる

入社する前は、それぞれ「世界中で仕事をしたい」「新しい分野にどんどん挑戦したい」といった理想を掲げていることでしょう。ところが、実際に入社すると「国内志向の事業が中心だった」「提案しても却下ばかり」と不満を持つケースもあるようです。

上下関係が厳しすぎる

「上下関係に縛られている会社で、なにがあっても上司に逆らえない空気が漂っていた」「年功序列なので、若手がどんなに努力して成果を出しても給与は変わらなかった」という声もあります。意欲はあるのに実現できないもどかしさが、このような不満につながってしまうのでしょう。

まとめ

就活時にどれだけ企業について調べていたとしても、会社の方針や上下関係など社内の人間にしか分からない情報も多く存在しています。そのため、いざ入社して「思っていたのと違った」と感じることも珍しくありません。より理想に近い職場を求めての転職は、メリットも大きいといえるでしょう。