連続テレビ小説なつぞら」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第8週「なつよ、東京には気をつけろ!」 46話(5月23日・木 放送 演出・木村隆文)視聴記録
「なんか苦労が顔ににじみ出てる」
なつ(広瀬すず)は小さいときから牧場でこきつかわれたと雪之助(安田顕)の酔っぱらい話を亜矢美(山口智子)が咲太郎(岡田将生)に伝え、真に受けた咲太郎は「北海道 許せねえ」と憤る。
山口智子の語り口は、代表作「ロングバケーション」の頃から長い年月を経て、もはや「山口智子節」として確立されたと言っていい。ハイテンションでユーモラス、サバサバとしているようでどこかペーソスがある。
その調子は、「ハロー張りネズミ」(17 年)に出たとき「バブルが弾けなかった」と言われる役を当てられるほどで、バブルの時代を象徴する俳優だ。C調言葉というのがあるが、その流れにあるバブル調(B調)と呼ぶべきか。

なつが川村屋でバイトをしているのは咲太郎の借金のせいとも聞いて、「なつ、おまえを迎えに来たんだ」と川村屋に乗り込んでくる咲太郎。これは、6週、彼が雪の日に北海道に迎えに来た夢をなつが見た場面と呼応している。正夢だったのか…。
このときかかるジャカジャカした音楽と、岡田将生比嘉愛未のぱきっとした芝居と、舞台のセットぽい川村屋の椅子や机を片付けた店内は演劇調。なかで広瀬すずだけが抑えめでリアリティー重視の芝居を貫いているところが面白い。
「すっかり北海道に染まったな」「なんか苦労が顔ににじみ出てる」となつのことを心配する咲太郎。
「聞き様によっては失礼だからねそれ」とむっとするすず。聞き様によらなくても失礼だと思うので、なつの気持ちはわかる。

「こんな大人の人まで」
46回の肝は、離れて暮らしている間、知らなかった兄・咲太郎の生活になつが戸惑うところ。
踊り子マリーカスミの付き人・レミ子、川村屋の佐知子……「こんな大人の人まで」という亜矢美まで、咲太郎は彼女たちの情に訴えて生きのびてきたようだ。とりわけ、亜矢美に関して「母ちゃん」と呼び、なつが入っていけない会話の間合いの良さを見せる。なつはなつで十勝に素敵なお母さん(富士子)がいて、息の合った家族がいるわけだが、それはそれ、これはこれ。気になって拗ねてしまう。

それにしても、松嶋菜々子、山口智子と歴代朝ドラヒロインが主人公兄妹の母としてドーンっと立っているところが「なつぞら」のパワーだと思う。天陽くんの母・小林綾子も入れると、時々、ウルトラの父出た!母出た!と喜んでしまうウルトラシリーズよりも豪華な気がする。
某女性週刊誌の朝ドラ特集で制作統括磯智明プロデューサーに話を聞いたら、朝ドラの現場にはじめて入るヒロインに早く朝ドラの雰囲気に慣れてもらうために、過去の朝ドラ出演者をキャスティングすることはよくあることと言う。ヒロインの身近な役にキャスティングして支えてもらうのだとか。
北海道編は松嶋が、東京では山口が、広瀬すずの先輩として朝ドラヒロインの心得を背中で見せているのだろう。とはいえバブルが弾けない山口智子が「純ちゃん応援歌」の頃は素朴な雰囲気だったことが嘘みたいだ。

第8週 「なつよ、東京には気をつけろ」(5月20日・月〜 演出:木村隆文 )あらすじ
昭和31年春、アニメーターになる夢を叶えるため、なつ(広瀬すず)は雪之助(安田顕)・雪次郎(山田裕貴)親子と一緒に上京を果たす。雪次郎が菓子修行をする新宿・川村屋を訪ね、エキゾチックな雰囲気を身にまとうマダム・光子(比嘉愛未)と再会。なつは光子の好意で、川村屋に住み込みで働くことになる。新生活を始めたなつは、兄・咲太郎(岡田将生)をよく知るクラブ歌手・カスミ戸田恵子)に誘われ、近所のおでん屋・風車を訪ねる。なつが女将の亜矢美(山口智子)に兄への思いを話すと、なぜか亜矢美は動揺する。

第48回(5月25日・土 放送)あらすじ
なつ(広瀬すず)が入社を希望している東洋動画の社長・大杉(角野卓造)と偶然すれ違った咲太郎(岡田将生)。思わず、妹が試験を受けるので採用してほしいと申し出てしまう。そのころなつは、久しぶりに再会した信哉(工藤亜須加)と一緒に、再び風車の亜矢美(山口智子)を訪ねる。咲太郎の生い立ちについて尋ねると、亜矢美の口から、咲太郎の意外な一面を聞かされる。その話に、なつは…。


登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーランルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーランルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベスマリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュ踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武
(木俣冬)