5月16日、米政府系放送局のラジオ『自由アジア』(RFA)は、北朝鮮の首都、平壌在住の消息筋の情報として、同地で中国発祥の気功法集団「法輪功」が急速に拡大し、北当局はその対応に頭を痛めていると報じた。

 北朝鮮当局は「法輪功を信じる者、それを知っている市民は当局に通達するように」という布告を発したが、それは、法輪功に関心がある平壌市民の中に、党幹部が少なくないという危機感があるからだ。RFAによると、4月1日に実施された取り締まりで、平壌だけでも100人以上の法輪功信者が摘発されたという。

 また同消息筋は「平壌では法輪功信者を80日間空中にぶら下げても死なないとか、あるいは干からびもしないというおかしな話が広がっている」とも伝えた。

 「1990年代後半の中国では法輪功が急速に拡大し、その数は共産党員数を上回ってきたことに危機感を抱いた江沢民政権(当時)は法輪功を『邪教』に指定しました。『610公室』は旧ソ連時代のKGB(国家保安委員会)のような組織でしたが、ここを拠点に徹底的な弾圧と摘発を強行したのです」(中国ウオッチャー)

 「610公室」(以下=公室)は当時の法体制に縛られない超法的な権限を持ち、法輪功の根絶を最終目標としている。公室のメンバーは都市部だけではなく、地方にも送られているが、そればかりではなく、海外の中国大使館にも派遣され、西側に亡命した法輪功メンバーの監視に当たっている。こうしたことから中国反体制派活動家たちは、公室を中国版ゲシュタポ(ナチスドイツの秘密国家警察)と呼んでいるほどだ。

 中国当局は拘束した法輪功メンバーから生きたままで臓器を摘出し、それを業者などを通じて売買しているという。00年から08年の間に法輪功メンバー約6万人が生きたまま臓器を摘出されたというデータがあるほどだ。

 北朝鮮では6月から最大で10万人が動員されるマスゲーム(集団体操)が始まる。外貨稼ぎのため、観光の目玉としてマスゲームを活用してきたが、これに動員される幼い子供たちへの人権侵害が以前から問題視されてきた。

 公演のテーマは昨年の「光り輝く祖国」から、今年は「人民の国」に変更された。チケット価格はVIP席で800ユーロ(約9万8000円)、1等席は500ユーロ(約6万1000円)で、金正恩委員長は子供をダシに外貨を稼いでいるわけだ。

 外貨稼ぎが先細りする中、北で法輪功がこのまま広がり続けると、正恩氏も江沢民時代と同じように、強権を発動して徹底的に法輪功迫害に乗り出すのではないか。

 中国の天津市には臓器移植を受けるために年間1000人以上の韓国人が殺到しているが、懸念されるのは、北側が拘束した法輪功メンバーの臓器を韓国人向けに不法移植するビジネスに乗り出すのではないかということだ。金一族以外の国民は「モノ」でしかない国で、あり得ない話ではない。