大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。5月19日に放送された大19回では、主人公・金栗四三(中村勘九郎)が運営した第1回「箱根駅伝」のエピソードが描かれた。

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5月23日(土)昼1:05から再放送される同放送回に向け、「箱根駅伝」第85回~88回大会に出場し、“山の神”と呼ばれた柏原竜二氏が、メッセージを寄せた。

■ 柏原が語る「箱根駅伝」への“希望”と“怖さ”

――柏原さんが箱根駅伝を目指すきっかけは何だったのでしょうか?

高校時代に、毎年1月に広島で行われる都道府県対抗駅伝の福島県代表に選ばれ、そこで箱根駅伝で活躍した今井正人さん(順天堂大学出身・現トヨタ自動車九州)に、5区のお話しをお伺いして「やってみたいな」と思いました。

――箱根駅伝ついて、今はどんなイメージを持っていますか?

私が今、こうして皆さんに関心を持っていただけるのは、やはり箱根駅伝の注目度の高さ、人気の高さのおかげだと思っています。

本日もこのようなインタビューの機会をいただいたり、御殿場市金栗四三役の中村勘九郎さんと対談ができたりと、箱根駅伝に感謝する一方で、駅伝によってこんなにも人生は変わるものなのか? と少々、怖い部分もあります。

――大学時代は、「箱根駅伝」をどのように捉えていましたか?

大学1年の1月2日を皮切りに、私の人生は変わりました。沢山の人に注目されるようになり、その結果、良い面も悪い面も経験できました。箱根駅伝の人気は国内最高レベルまで到達していると思います。

その中で“学生”が競技をするということは、少なからず、世間の見方との“ギャップ”が生じてきてしまう、と考えています。私自身もその“ギャップ”に悩まされた一人ですが、私の場合は、信頼できる家族、監督、恩師、仲間のおかげで“ギャップ”を正しく捉え、冷静に対処することができたと思います。

――「箱根から世界へ」という言葉を、柏原さんはどのようにお考えですか?

箱根駅伝は海外にはない日本の独自のスポーツです。最初は「箱根駅伝に出たい」という思いをもって結果を残し、それから世界大会やマラソンに目が向いてくれれば、とても素晴らしい事だと思います。

また、駅伝という文化は選手達に大きな影響を与えていると思います。海外と比べ、日本では各企業が駅伝選手を数多く雇用しており、世界へと挑戦できる選手層がとても厚いのですが、これは駅伝があるからこそとも思っています。

■ 「いだてん」を見て「金栗四三さんと似ているかもしれないと思いました」

――いだてんをご覧になった感想はいかがでしょうか?

中々時間が取れず、一気に視聴させて頂いたのですが、お話がとても面白く、思わず見入ってしまい、あっという間に見終わってしまいました。その中でも金栗四三を演じていらっしゃる中村勘九郎さんをはじめ皆さんの役作りには圧倒されました。

特に肉体づくりに非常に努力をされているのが映像から伝わってきました。

こうした部分が、選手目線で拝見していた私にとって、引き込まれた要因なのかもしれません。

また、ストックホルムオリンピックのお話から中村勘九郎さんの横顔が金栗四三さんに見えました。勘九郎さんが必死に金栗さんを読み解こうとされているのが伝わってきました。

――柏原さんにとって金栗四三さんはどのように映ったのでしょうか?

私自身はオリンピックに出てはいませんし、足元にも及ばないかもしれませんが、最近の自分自身の活動と照らし合わせると金栗四三さんと似ているかもしれないと思いました。

私も今、形は違えど、金栗さんのように、各地域の小中学生や高校生に指導する場面が増えてきました。ドラマを拝見し、金栗さんも多くの事を学び、それを生徒や各地域に還元するという思いをもって陸上競技マラソンを伝えていったのかと思うと、とても勉強になります。

――「箱根駅伝」第1回を描く第19回について思うことはありますでしょうか?

“駅女”という言葉ができるほど、近年、箱根駅伝ファンは増えてきています。今一度、原点に立ち返って、箱根駅伝というものが誰の手によって作られたのか? を見て頂けたらうれしいなと思います。

箱根駅伝の歴史や関わった人々の思いを知ることで、観戦のポイントや応援の仕方など、面白さが増すのではないでしょうか?(ザテレビジョン

日本人初のオリンピアン・金栗四三(中村勘九郎)が「箱根駅伝」を初開催