【豊永阿紀インタビューPart 1】運動音痴だった少女がサッカーに魅了された理由は?

 福岡で生まれ育ち、福岡でアイドルとして活動し、地元クラブであるアビスパ福岡の公式アンバサダーを務める根っからの“福岡っ子”がいる。福岡・博多を拠点とするアイドルグループHKT48」の豊永阿紀さんだ。運動が苦手だった少女がサッカーに出会い、応援の楽しさに魅了されてから早6年。アビスパ福岡とともに歩む“サッカー人生”に乗せた思いとは――。

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――豊永さんは2018年からアビスパ福岡の公式アンバサダーを務めていますが、サッカーの魅力に目覚めたきっかけを教えてください。

「中学2年生だった2013年の夏、父が仕事でアビスパに関わることがあって、スタジアムに連れていってもらったのが最初の出会いでした。私、ソフトボール投げは3メートルしか飛ばせないくらい運動音痴で(苦笑)。それまで、サッカーどころかスポーツに無縁の人生だったんです。でも、初めて行ったレベスタ(レベルファイブスタジアム)は純粋に楽しくて、ゴールが入るのが清々しかったのはもちろん、サポーターの方々が一丸となって応援する光景に心が熱くなりました。その思い出が頭に焼き付いていて、また試合を観に行きたいと思ったのが、アビスパが大好きになった原点だと思います」

――ご家族はサッカー好きだったのですか?

「いえ、豊永家は家族揃って運動音痴で(苦笑)。サッカーをしている親族はいなくて、むしろ野球、卓球が多かったです。でも、小さい頃にみんなで集まって見る番組はワールドカップでした。意外にサッカー好きになる素質はあったのかもしれません(笑)。福岡は学校のクラスにも、最低2、3人はサポーターの家族がいるような感じで、気づいていないだけで実は身近に“同志”がいたりしました」

――改めて、豊永さんが感じるサッカーの魅力は?

「声援で選手の皆さんの背中を押している感覚があって、一緒に一喜一憂できるのが本当に楽しいです。特に、福岡はお祭りも多く、声出しはある意味スタンダードかもしれません。レベスタは選手の声、ボールを蹴る音もリアルに聞こえるので、同じ時間を共有している気分が味わえます。私も初めて見るまではオフサイドルールも知りませんでしたが、仮に知識がなくても面白いし、プレーを深く掘り下げていけばまた違った凄さを感じられる。サッカーを見たら絶対にハマると思います」

アビスパサポーターは家族気質で、すごくアットホーム。就任前から知り合いのような感覚です」

――豊永さん流の観戦方法はありますか?

「正直、戦術はいまだに勉強中です。サッカーをやってきた方の知識には敵わない。基本的にはボールを目で追いながら、私は光景で覚えていることが多くて、『あれ、今日は芝生ここの方が開いているな』『今までは右側にパスを出していたはずなのに、少し変わったな』とか、試合ごとの違いを楽しんでいます。仕事で伺う時はスタンドで観させて頂くので、あまり声は出していないですが、サポーター時代はゴール裏にいたので、ずっと飛び跳ねながら大声を出して応援していました。手を振り過ぎて、よく次の日に筋肉痛になっていました(笑)

――かつて城後寿選手にサインをもらい、2ショットを撮っていたサポーターの豊永さんが今、愛するアビスパ福岡の公式アンバサダーを務めているというのは夢がありますね。

「不思議な気持ちです。もしかしたら、アイドルアンバサダーになることをよく思わない方もいるかもしれません。でも、アビスパサポーターの方々は家族気質で、すごくアットホーム。『阿紀ちゃん』と声をかけて頂いて、昇格した2015年プレーオフのライブビューイングを観に行った時に受けたインタビューを見ていたよ、と言ってくださる方もいます。アンバサダーになる前から知り合いのような感覚です」

――アンバサダーになって感じたことはありますか?

アビスパスクールのほかにも、幼稚園訪問であったり、地元での活動を積極的に行っています。(福岡・天神の)新天町の商店街で選手の皆さんが一日店長をやっていて、そこでサインをもらったのがサポーター時代の思い出の一つですが、いわばその表で見せる姿と、アンバサダーになって試合前に見る姿は何も変わらない。サポータークラブのことを真摯に考えて、真剣に向き合ってくださっているのをこれまで以上に感じました。アビスパは本当に温かい選手ばかりです」

「1人でもアビスパファンを増やせるようにすることが今の私の使命」

――ちなみに、今回撮影でも着て頂いた2019年ユニフォームの印象も訊かせてください。

「今年はネイビーブルーより濃くて、男らしさが増した感じでスタイリッシュだなと。私が一番オシャレだなと思うのは、背中に施されたワンポイントの博多織。近代的なデザインの中に『和』の柄は特殊というか、福岡を身近に感じられて愛おしくなります。背番号が銀色なのもいいですよね。シャープな強さがあって、意志が固そうな印象を受けます。アビスパは本当に地元を大切にしてくださるクラブなので、博多織も含めて、今年のアビスパ像がこのユニフォームに込められている気がします」

――青色は好きですか?

はい。もともと青が好きだったうえにアビスパカラーなので、全身青で揃えたいくらいです。表面もグラデーションで、そうくるかという感じ。これを着て街を歩いても違和感ないのが、ファッション的にもいいなと。女性もコーディネートで合わせやすいと思います」

――豊永さんが考える公式アンバサダーとしての自身の役割は?

「今までは純粋な趣味として、自分が感じたままにSNSでつぶやいたりしていましたが、公式アンバサダーという夢のようなお仕事を頂いて、どう表現すれば誤解なく伝わるか、試合を観たいと思ってもらえるか、考えています。選手の皆さんは声援が力になるとおっしゃっているので、1人でもアビスパファンを増やせるようにすることが今の私の使命。体験談を交えながらサッカーの楽しさを発信し続けることが、勇気をくれたアビスパにできる精一杯の恩返しじゃないかなと思います」

――もう一度、J1の舞台で応援したいという思いも強いのでは?

「J1はやっぱり独特な雰囲気がありました。当時、鳥栖にも遠征して、初めてアウェーのスタジアムでも応援しましたが、コレオをした時の雰囲気、ゴールが決まった時の歓声も全部覚えています。もう一度、あの熱狂的な空気感に包まれたいし、選手の皆さんがJ1で輝く姿、笑顔が見たいと思います。今は、一緒に上を目指している感覚が楽しいです」

――最後になりますが、豊永さんにとってアビスパ福岡とは?

「私に違う人生のルートをくれた存在です。スポーツにまったく縁のなかった私が、こうしてサッカーが好きと声を大にして言えるようになったのもアビスパのおかげ。知らない世界をたくさん見せてもらったので、自分もそういう存在になりたいと思います」

アビスパ福岡歴代ベストイレブン編へ続く)

[PROFILE]
豊永阿紀(とよなが・あき)/1999年10月25日生まれ、福岡県出身。2016年HKT48の4期研究生となり、17年11月チームHへ昇格。中学2年生の時にアビスパ福岡の試合を観戦したのがきっかけで、スタジアムのゴール裏で応援するほどの熱狂的なアビスパサポーターとなる。18年は「ハチ祭り」公式アンバサダーを務め、アビスパ福岡公式アンバサダーにも就任した。現在は海外サッカーも勉強中。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

アビスパ福岡の公式アンバサダーを務めるアイドルグループ「HKT48」の豊永阿紀さん【写真:荒川祐史】