ベンゼマを「非常に頭のいい選手」と絶賛 「いろいろなアドバイスをもらっている」

 レアル・マドリードU-23ブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールは、東京五輪を1年後に控えたタイミングで初来日を果たした。2000年生まれの18歳FWは、“サッカー王国”ブラジルにおいて東京五輪世代を引っ張る存在として期待される。そんなヴィニシウスが21日に都内で取材に応じ、レアルでのこと、ブラジル代表への思いについて語った。

 空港でも多くのファンに迎えられ、都内での複数イベントに参加するなど、慌ただしく日本での日々を過ごしているヴィニシウスだが、「たくさんの方に迎えていただいて、非常にうれしい」と笑顔を見せる。世界的なスター候補生ながら、謙虚で誠実な人柄を感じさせた。「もっともっと上手くなろうと頑張っています」という言葉に、偽りはないだろう。

 世界トップクラブのレアルプレーするだけに、ヴィニシウスはビッグネームに囲まれながら日々研鑽を積んでいる。昨夏からチームに加わったなかで、衝撃を受けたチームメートは誰だったのだろうか。18歳の新星に質問をぶつけると、即座に「カリム・ベンゼマ選手です」と答えている。

 名前が挙がったエースストライカーベンゼマとは、シーズン中もコンビネーションの良さを見せてきた。最終節終了後にはベンゼマとの2ショットを自身の公式ツイッターに投稿するなど、関係性の良さをうかがわせる。

「いつも5秒前から次のプレーを全部予測できていて、非常に頭のいい選手ですね。よく考えて、事前予測が得意な選手だと思います。すごく思いやりのある先輩で、特にFWとしてゴールを決めないといけないなか、シュートの決定率を上げていく部分でいろいろなアドバイスをもらっています」

 まさに手放しでの称賛だ。レアルでの1年目はチャンスメークに力を発揮しながらも、リーグ戦ではわずか1得点に終わっただけに、大先輩の的確なアドバイスを真摯に受け止め、向上に務めることになるのだろう。

真っ直ぐ見据えるレアルでの未来と、“セレソン”への冷静な野望

 可能性の塊のような若武者にとって、今後のキャリアで目指すものは明確だ。それは「レアル・マドリードで、できるだけ長くプレーを続けること」。スター軍団で生き残ることは簡単ではないものの、その瞳は真っ直ぐに未来を見据えている。もちろん、レアルにいるだけで満足することはない。言葉は「できるだけ長くプレーして、獲れる限りのタイトルを獲って、そしてワールドカップでも優勝したいなと思っています」と続いていく。

 日本代表も参戦する6月のコパ・アメリカに挑むブラジル代表には、惜しくも選出されなかったヴィニシウスだが、近い将来には五輪世代を飛び越えてA代表に入っていく可能性がある。ブラジル人選手ならば誰もが抱く“セレソン”への思いを改めて尋ねると、単なる憧れではなく、意外にも冷静な分析と野望が返ってきた。

「今ちょうど、ブラジル代表も世代交代の時期に来ています。若い選手がどんどん入ってきている時期なので、自分もしっかり食い込んでいきたいと思っています」

 そこにあるのは過信や驕りではなく、現実的な目標に到達しようという情熱だ。伸びしろあふれる18歳は、これからどんなプレーで世界を沸かせてくれるのだろうか。(Football ZONE web編集部・片村光博 / Mitsuhiro Katamura

レアルFWヴィニシウス【写真:Getty Images】