"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる管理人ひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。

今回のテーマは堀江氏のロケット打ち上げ成功。前編では、「これで本格的に衛星ビジネスがスタートできるのでは?」とひろゆき氏が問うと、「人工衛星はもう少し先。でもサブオービタル(準軌道=地上100㎞超えの弾道飛行)はビジネスにできそう」と堀江氏。今回の成功で「小型ロケットの制御技術」の獲得や「最大動圧点を超えられた」など、「重要技術をかなり獲得できたことがうれしい」と語った。

* * *

ひろ 今回の成功で大企業とかも乗ってくるところありそうですけど、少数精鋭のままいくんすか?

ホリ 今回の打ち上げ成功で、業務提携している丸紅の新株予約権がヒットするだろうし、増資されるだろうね。

ひろ 商社がつくと、サブオービタルの微小重力で実験したいっていう海外のお客さんを探してくるとかできそうですね。アメリカの会社に頼みたくない中東の国の需要とかもありそうですし。

ホリ そういう国は、アメリカに「頼みたくない」のではなく「頼むのが大変」なのよ。ITAR(武器の国際取引規則)があって、大ざっぱにいうとロケット業界は「ITARのアメリカ、カナダ」「非ITARの日本、EU諸国、アジア諸国」そして「中国、ロシア」とマーケットが分かれている。だから、うちらは非ITARのマーケットを狙う感じ。

ひろ それ、堀江さん的にはすげーおいしいじゃないすか。技術力もあるアメリカが入ってこれない市場でビジネスできるわけで。

ホリ まだわからないけど、非ITAR国マーケットでは、かなりのシェアを取れると思うよ。

ひろ おぉ......。ロケット技術そのものの移転とかも想定していますか? 打ち上げの請け負いだけじゃなくて、各国の軍事予算まで絡んでくるんだったら、すげー額になりそうな気がしますけど。

ホリ いや、技術移転は軍事的に無理だね。ミサイルを売るようなもんだから。

ひろ ロケット技術とミサイルの技術って方向性は一緒ですからね。堀江さんが北朝鮮にさらわれたりすると、すげー大変なことになりそうですけど......。

ホリ だから、旅行とかで誘われても北朝鮮には行かない(笑)。だって、うちのロケットは、すでに北朝鮮の「ノドン」くらいの性能はあるから。

ひろ そりゃそうですよね。じゃ、打ち上げの請け負いをする平和利用なんすね。でも、堀江さんが日本から出ていったら、海外の軍事顧問の職とか簡単に手に入りそうな気が。現実的にはJAXAとの共同開発とかもありえますね。

ホリ すでに提携してるよ。

ひろ ほう。原子力発電所の輸出政策なんかより、非ITAR国向けに宇宙開発の事業を広げるほうがよっぽどいいですね。

ホリ そだね。だから国にはかなり働きかけている。

ひろ 今後の予定は?

ホリ 次は衛星軌道投入機の開発だね。そこまでいくと世界のロケットメーカーと競合できるようになるから、がんばりますよ!

ひろ 楽しみですね。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。近著に『堀江貴文の誰がなんと言おうと、僕が認めた旨い店』(ぴあMOOK)

西村博之(にしむら・ひろゆき
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる管理人。近著に『自分は自分、バカはバカ。他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』(SBクリエイティブ

構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル

「まだわからないけど、非ITAR国マーケットでは、かなりのシェアを取れると思うよ」と堀江氏