Point
■コーヒーに腸内細菌の働きを抑制し、腸の筋肉運動を促す効果が確認された
■この効果は「カフェイン抜き」のコーヒーであっても変わらずに発現した
■腹部を手術した際に腸の活動が止まってしまったときの「便秘薬」として、コーヒーが活躍する日が来るかもしれない
コーヒーで「お通じ」が改善。
コーヒー愛飲者なら、コーヒーに腸の動きを活発にしてくれる効果があることは知っているかもしれない。
この科学的な根拠はこれまで明らかにされていなかったが、「Digestive Disease Week(DDW)」にて発表された新たな研究で、その真実に迫る結果が得られることとなった。
研究ではラットにコーヒーが与えられ、さらにペトリ皿の上でコーヒーと腸内細菌がミックスされた。その結果、コーヒーが腸内細菌の働きを抑制し、筋肉の動きを増加させていたことが分かったのだ。
「カフェイン抜き」でもOK
研究を率いたテキサス大学医学部ガルベストン校のXuan-Zheng Shi氏は、「ラットに3日間コーヒーを与えてみたところ、小腸が収縮するための筋肉の働きが活発になっていることが分かりました。そして興味深いことに、カフェイン抜きのコーヒーでもふつうのコーヒーと効果は変わらず、そうした効果はカフェインに依存していないことが分かったのです」と語っている。
研究者らは、コーヒーが混ぜられたペトリ皿の上の腸内細菌を観察した。さらにラットには異なる濃度のコーヒーが投与され、実験開始3日後に便の構成物質が調べられた。
その結果、ペトリ皿の腸内細菌や他の微生物は1.5%の濃度のコーヒーによってその成長が抑制されていることが明らかとなった。さらに、3%の濃度のコーヒーにおいてはより強い抑制効果が観察された。前述のとおり、これはカフェインの有無とは関係がないことも分かった。
コーヒーは「便秘薬」となりうるか
また、コーヒーを与えられたラットの便における腸内細菌の数は減少していたことが分かったが、研究者いわく、この変化が「良い」腸内細菌によるものなのか、「悪い」細菌として知られる腸内細菌科によるものなのかを知るためにはさらなる調査が必要であるとのことだ。
腹部を手術した際、腸の活動停止がやむを得ない場合がある。この研究は、そうした際の便秘や腸閉塞に対する治療にコーヒーが有効であるかどうかを示すヒントとなるものだ。
将来的にはこの有効性と安全性が確認され、コーヒーが「便秘薬」として活躍する日が来るかもしれない。
コメント