いすゞ自動車日野自動車は、国産初のハイブリッド連節バスを共同で開発。近日中に、両社より発売する。

東京オリンピックラグビーワールドカップ、野外音楽フェス、展示場での各種イベントなど、突発的な波動で大量輸送するシーンに対応するモデル。

ジェイ・バス宇都宮工場で5月24日いすゞ、日野、ジェイ・バスの開発陣とともに姿をみせた。

2社が開発したこのハイブリッド連節バスは、日本の道路事情を踏まえた車両寸法(全長17990mm/全幅2495mm/全高3260mm)で開発。

ハイブリッドシステム採用で環境負荷にも配慮し、先進安全装備には路線バス世界初のドライバー異常時対応システム(EDSSEmergency Driving Stop System)を搭載する。

背景に人手不足とメンテナンス性

ドライバー不足や環境問題といった社会課題解決に取り組むいすゞと日野は、2017年からこのハイブリッド連節バスの開発に着手。

路線バスを運営する顧客から既存の路線バス2軸モデルと同様の取り扱いとメンテナンス性を備えた国産連節バスを求める声が多く集まったという。

定員120人、ドライバー異常時対応システム搭載

◆輸送性_定員120名という大量輸送能力を備え、乗客の利便性と輸送効率向上に貢献。

◆乗降性・バリアフリー_前車室はフルフラットとし後車室もノンステップエリアを広く確保。連節バスとして最適なシートレイアウトにで、乗客の利便性、快適性を実現。

ハイブリッドシステム_小排気量でありながら十分な高出力・高トルクを発揮するA09Cエンジンを採用。ハイブリッドシステムとAMTの協調制御による変速の最適化を図った。エンジンとモーターの間にクラッチを配置することでエネルギー回生効率を向上させるとともに、モーターのみによる発進を可能にし省燃費と環境性能を追求。

◆ドライバー異常時対応システム(EDSS)_路線バス世界初_ドライバーに急病などの異常が発生したとき、乗客や乗務員が非常ブレーキスイッチを押すことで、減速して停止。立席の乗客の安全性に配慮し、路線バスに適した制御に。

プラットホーム正着制御や視覚支援カメラシステムも

プラットホーム正着制御_路面上の誘導線をカメラで認識し、自動操舵、自動減速でバス停へ誘導。運転操作を支援。バス停側の対応とあわせ、すき間・段差を解消することで、円滑な乗降を実現。

◆協調型車間距離維持支援システム(CACC)_先行車の加減速の操作情報を通信で後続車に送ることにより、先行車との車間距離を高精度に制御。無駄のない、スムーズな加減速を実現。同システムは自動車専用道路での使用を前提。

◆衝突警報_ミリ波レーダーで障害物と先行車両を検知。衝突の可能性がある場合はディスプレイ表示や警報音でドライバーに警告。

◆路車間通信・車車間通信_バスの走行特性に対応した路車間通信(ITS専用周波数)で安全支援(赤信号注意喚起、赤信号減速支援、右折時注意喚起、信号待ち発進準備案内)。バス優先の信号制御を行う高度化PTPS(公共車両優先システム:Public Transportation Priority System)に対応させた。車群走行時には、車車間通信も活用し車群の構成や台数を把握し、車群単位での信号通過やバス停発車を支援する機能も備え、輸送力や速達性・定時性の向上に貢献。高度化PTPSを含む車群走行に対応したシステムは、トヨタ自動車も含めた3社共同開発。

◆視覚支援カメラシステム_車両内外にカメラを設置、ドライバーはモニターで監視。車外に設置したカメラは、車両停止時に車両周辺の移動物を検知。ドライバーにアイコンの点滅と音で警報する。