持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「第2回AbemaTVトーナメント」の予選Cブロックの一位決定トーナメント1回戦(三番勝負)が5月26日に放送され、木村一基九段(45)が増田康宏六段(21)に2-0のストレートで勝利し、八代弥七段(25)との一位決定戦に進出した。

 これがベテランの味というものか。将来を嘱望される若手棋士に本来の力を発揮させないまま、勝ち切った。木村九段は1局目から持ち味全開。敗勢の状況からも粘りを見せると、増田六段を幻惑。その増田六段に対局後「内容、酷すぎましたね。ちょっと頭が働いてなかったです、全然」と語らせるほど、独特なプレッシャーで力を封じ込めた。

 一度乱した相手のペースは戻させない。先手番の第2局は鋭い攻め合いになったが、今度はベテラン不利とされる早指し戦の中でも、早いテンポで指し進め、21歳の若手の度肝を抜いた。解説の深浦康市九段(47)が「20~30年前に流行った形」と話した相掛かりから、木村九段は増田六段を上回るペースで指し進め、1局目とは違うプレッシャーをかけた。結果は123手で木村九段の快勝。本人も「(増田六段とは)初めて指したんですけど、評判はかなり高い人でしたので、勝てるとは思っていませんでした」と苦戦以上を想像していたが、見事なストレート勝ちで自分の予想すら覆した。

 シード棋士を含め、出場した14人の棋士で最年長の45歳。前回優勝でシード棋士の藤井聡太七段(16)とは30歳近く離れている。一位決定戦で当たる八代七段とも20歳差だ。「またきつい、将来有望な若手と当たることになりました。月並みですけれども自分の持っているものを全部出し切れるように、頑張りたいと思います」と、快勝での勝ち上がりにもまるで隙など見せなかった。百戦錬磨のベランが低姿勢で戦いに向かうものほど、若手にとって背筋が寒いものはない。
 

 敗れた増田六段のコメント     全然ダメですね。かなりまずいです。手の見え方がちょっとよくないですね。木村先生は早指しはそんなに得意ではないかなと思ってたんですけど、かなり早いテンポで指されて、ちょっと驚きました。


AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。

(C)AbemaTV
 

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これぞベテランの味 木村一基九段、新進気鋭・増田康宏六段にストレート勝ち/AbemaTVトーナメント予選Cブロック