Point
■ケプラー宇宙望遠鏡が残したデータセットを新たなアルゴリズムで分析した結果、地球サイズの太陽系外惑星が18も見つかった
■そのほとんどは表面温度が100℃を超えるなど居住は不可能とされたが、1つだけ希望が持てる惑星があった
■しかしその惑星は赤色矮星の近くに軌道があり、赤色矮星からのフレアが問題となる可能性がある
私たちの「引っ越し」の選択肢が広がるかもしれない。
思いもよらないところで、新たな惑星が発見されることがある。たとえば、すでに運用を終えているケプラー宇宙望遠鏡がこれまでに集めたデータの中に…なんて具合だ。
実際、今回発見された「宝の山」はその中にあった。天文学者はデータの中に18もの地球サイズの太陽系外惑星を発見し、そのうち1つは居住が可能であるかもしれないとのことだ。
2つの研究が「Astronomy & Astrophysics」にて発表されている。
Transit least-squares survey. II. Discovery and validation of 17 new sub- to super-Earth-sized planets in multi-planet systems from K2
https://www.aanda.org/component/article?access=doi&doi=10.1051/0004-6361/201935600
I. Discovery and validation of an Earth-sized planet in the four-planet system K2-32 near the 1:2:5:7 resonance
https://www.aanda.org/articles/aa/abs/2019/05/aa35276-19/aa35276-19.html
見過ごされてきた小さな惑星
発見された18の惑星のうち、最も大きなものでは地球の2倍を少し超える大きさで、小さなものでは、地球の69%だ。
これらの惑星は、以前の調査では小さすぎたため見過ごされてしまっていたが、新たな技術を適用することで姿が明るみに出たのだ。
そしてこの技術により、これまで天の川銀河で見逃されてきた地球サイズの惑星が見つけられるようになるかもしれない。
これまで、世界中の「惑星探し」のミッションでは、3,970もの太陽系外惑星の存在が確認されており、そのほとんどが巨大なサイズのものだ。
発見された惑星のうち96%は地球よりもはるかに大きいとされ、それらの大部分は海王星、土星、木星、そしてさらに大きな惑星といったいわゆる「木星型惑星(ガスジャイアント)」に分類されるものだったのだ。
しかし太陽系をベースに考えれば、この偏りは不自然だ。太陽系には地球、金星、水星、火星といった4つの岩がちな「地球型惑星」が存在しており、その割合は冥王星などの準惑星を除けば太陽系の半分を占めている。
そのため、科学者たちはまだ発見されていない地球型惑星に近い惑星がたくさんあると考えているのだ。
「居住可能」とされた唯一の惑星
発見された18の惑星のほとんどは、残念ながら他の星との距離が近すぎたり表面温度が100℃を超えるなどの理由で居住が可能なものではない。中には表面温度が1,000℃を超えていた惑星も存在していた。
唯一の例外は、冷たい赤色矮星の周りを軌道に持つ「EPIC 201238110.02」と称される惑星だ。
この惑星の軌道は、生命が誕生するのに適した環境と考えられている天文学上の領域「ゴルディロックスゾーン」に位置している。そこは暑すぎず寒すぎず、さらには液体の水が自然に発生する可能性もあるのだ。
こうした惑星が発見されたのは初めてのことではないが、たいていの場合、赤色矮星の周りを軌道に持っており、これが問題の種となる。赤色矮星は大量のフレアを放出することが多く、これが放つ放射線は近くの惑星にとっては致命的だ。
しかしだからといって希望を捨てるのはまだ早い。新たな技術によって、他にも多くの地球サイズの惑星が見つかることもあるだろう。
ケプラー宇宙望遠鏡のアーカイヴは、何十万もの星のデータセットを含んでおり、そこからまた新たな「希望の星」が見つかるかもしれない。そして私たちは遠い未来に、今はまだ名前も知らない星へと引っ越しをしている可能性もあるのだ。
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