人気テレビアニメ「天元突破グレンラガン」「キルラキル」を手掛けた今石洋之監督、中島かずき脚本による初の完全オリジナルアニメーション映画『プロメア』が絶賛公開中だ。炎を操る人種“バーニッシュ”が出現した世界を舞台に、熱き魂を持ったキャラクターたちが自らの正義をかけて戦う姿を描く本作。松山ケンイチ早乙女太一ら、中島が座付き作家を務める<劇団☆新感線>の出演キャストが、声優として集結したことでも話題だ。松山と早乙女は、<劇団☆新感線>の舞台「蒼の乱」や「連続ドラマW ふたがしら」など中島脚本の作品で共演を重ね、信頼関係を築いてきた間柄。声の演技でがっつりと対峙した感想を聞いてみると、松山は「相手が太一くんだったら大丈夫だろう、という安心感があった」、早乙女は「松山さんがしっかりと土台を作ってくださるので、僕はそれに一生懸命ついていきました」と相思相愛の想いを告白した。

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炎を操る人種<バーニッシュ>が出現し、世界の半分が焼失してから30年。攻撃的な一部の面々<マッドバーニッシュ>が再び襲いかかり、高機動救命消防隊の<バーニングレスキュー>が立ち向かう姿を描く。<バーニングレスキュー>の新人隊員ガロ役の松山、<マッドバーニッシュ>リーダーのリオ役を演じた早乙女も、本作へのオファーに大感激したという。

■ 「『天元突破グレンラガン』『キルラキル』も大ファン。光栄でした」(松山)

松山は「僕はアニメが大好きで、『天元突破グレンラガン』『キルラキル』も大ファンだったんです。オファーをいただいてものすごく光栄でしたし、今石さんとかずきさんの作品によく出演している方々で素晴らしいチームがすでに出来上がっているので、そのなかに入っていけるなんてすごくうれしかったです。ただ僕は生身の演技しかしていませんから、不安ももちろんありました」とファンだからこそのプレッシャーも感じていたというが、「僕自身、『天元突破グレンラガン』『キルラキル』から活力をもらっていました。今度は自分がその熱や活力を届けるためには、どうしたらいいかと考えました」と熱さを胸に、アフレコに臨んだという。

早乙女は「僕は劇団☆新感線の公演中に、楽屋の廊下でオファーを受けたんです」と述懐。「二つ返事で『やりたいです!』と返事をしました。生身の体では表現できないことが、アニメーションならできるのではと思っていたので、声のお仕事はずっとやってみたいと思っていたんです」と念願がかなったと話し、大きな支えとなったのは「松山さんとの掛け合い。同じ場所で掛け合いすることで、役柄を作り上げていくことができました」と一緒にアフレコをした松山の存在だと話す。

■ 「松山さんは第一声目から全力で突っ走ってくれた。まさにガロのよう」(早乙女)

これまでも共演を重ね、「気を遣うことのない仲になった」と声をそろえる2人。一本気なガロと、ミステリアスなリオとして対峙することとなったが、相手役を聞いた時に松山は「太一くんだったら、大丈夫だろうという安心感があった。いままで通りやっていけば大丈夫だと思った」とニッコリ。早乙女も「松山さんとは、これまでにもタッグという形で掛け合いをやらせていただいているので、その経験を存分に活かせたらいいなと思っていました」と絶大な信頼を寄せる。

アフレコに挑み、その想いはさらに増した様子だ。ガロとリオが共闘して激しいアクションへと身を投じるシーンもあり、そこでは彼らの見事なコンビネーションを堪能できる。松山は「太一くんはとにかく、呼吸を合わせるのがすごくうまい。『蒼の乱』で一緒に立ち回りをやった時もそうでしたが、太一くんは間合いをすべてコントロールしてくれて、こちらに合わせてくれるんです。だからこそ、僕は好き勝手に暴れまわることができる。本当にうまいよねえ」と早乙女の才能にゾッコン。

一方の早乙女は「一緒にアフレコをできたのが、本当によかったですよね」としみじみ語り、「松山さんがしっかりと土台を作ってくれるから、それに一生懸命ついていきました。僕はわりと、相手のことを探ってしまったり、様子を見てしまったりするんですが、松山さんは第一声目から全力で突っ走ってくれる。まさにガロのようでした。ガロのまっすぐさって、本当に松山さんのそのままなんですよ」とガロと松山を重ねる。

■ 「とにかく、太一くんの殺陣はすごい!」(松山)

稽古や撮影の合間などで、お互いの素顔を見ることも多い2人。松山は「かずきさんの作品では、太一くんはミステリアスな役を演じることが多いですが、普段の太一くんはすごくおもしろい人なんですよ。知れば知るほど、おもしろい人」と暴露するひと幕も。

「『ふたがしら』のシーズン2で、太一くんの演じた役が殿様に変装するシーンがあって。そこで太一くんがどのように演じるのかと思ったら、ものすごくおもしろいことになっていて!そうやって大胆におもしろいことをやる一面もあるし、あとは人付き合いがとても上手。いつも、いろいろな人とニコニコ話しているんですよ」と続けると、早乙女は「もともとはあまり人と話せないタイプだったんですが、結婚して子どもが生まれたことが大きいかもしれないですね。そのタイミングで心に余裕が生まれて、人と話すことも楽しめるようになって」と打ち明ける。

早乙女は「松山さんは、いつでもスカッとしていて、きっぷのいい兄ちゃんという感じの方。裏表がなくて自然体なので、一緒にいると気持ちがいいんです。松山さんがカポイエラを習い始めたことがありましたよね?遊びでやっているのかと思ったら、『髑髏城の七人』でそれを取り入れた立ち回りをやっていて。一度始めたことをきちんとなにかに活かすところまで続けるところも、かっこいいなと思いました」と惚れ惚れとしていたが、松山は「立ち回りで言うなら、本当に太一くんの殺陣はすごい。今回はアニメでもリオの殺陣があったけれど、太一くんの殺陣を見たら『アニメよりすごい!』と思うかもしれないよね」と話すなど、丁々発止のやり取りが止まらない。

■ 「『プロメア』の魅力は“熱さ”。その世界に飛び込んで、最高に刺激的でした」(松山&早乙女)

プロメア』の世界に飛び込み、新たに実感した今石&中島コンビの魅力を聞いてみると、松山は「やっぱり熱さですね」とキッパリ。「劇中の『燃えていいのは魂だけだ!』というセリフも、かずきさんらしいセリフ。ガロとリオを見ても『ここまで主張をぶつけ合うことって、なかなかないだろうなと』と思えるような2人ですよね。お互いに居心地のよいところを探ってしまうのが、普通。ガロとリオはすべてをさらけだしてぶつかり合って、そのなかで芽生えてくる関係性がある。大変だとは思いますが、こうやってコミュニケーションを取れたら最高だなと思いますし、憧れます」。早乙女は「ガロはなんの偏見もなく、リオをまっすぐに見てくれる。リオはそんなガロに影響されていき、どんどん熱があふれてくるのを感じていました。かずきさんの作品ではいつも、堂々と見得を切れたり、キザなセリフも惜しげもなくいうことができる(笑)。そんなところも大好きですし、今回も最高に刺激的でした」と語るなど、お互いに充実の表情を浮かべていた。(Movie Walker・取材・文/成田 おり枝)

松山ケンイチと早乙女太一が声優として共演!