連載「骨格筋評論家バズーカ岡田の『最強の筋肉ゼミ』8限目」

「THE ANSWER」の連載「骨格筋評論家バズーカ岡田の『最強の筋肉ゼミ』」。現役ボディビルダーであり、「バズーカ岡田」の異名でメディアでも活躍する岡田隆氏(日体大准教授)が日本の男女の“ボディメイクの悩み”に熱くお答えする。8限目のお題は「家でできる脚ヤセ&ヒップアップ」について。

『最強の筋肉ゼミ』過去の記事はこちらから

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 Q.スクワットなどの筋トレをすると余計に脚が太くなると聞きました。家でできるもので、本当に脚ヤセ&ヒップアップに効く運動を教えてください。

 痩せたい女性にとって筋トレは効果的か、太くなって逆効果か? この話はトレーナーやダイエッターたちが発信するツイッターでも、たまに議論になります。

 確かに、筋トレによって困るほど脚の筋肉がデカくなる女性はまれにいます。しかし、家でできる筋トレで筋肉がとても大きく肥大するほどの才能を持つ方は非常にレアケースです。まず、脚が太いと感じる理由は、筋肉の表面に皮下脂肪がたくさんついているからです。

 最近の話でいうと、5月に東京オープンボディビル選手権を観に行きましたが、出場選手のなかでめちゃめちゃ脚が太かった選手は、男子であっても1人だけでした。なぜなら太ももの筋肉はそもそも大きく強く、筋肥大を起こすにはかなりの負荷をかける必要がある。毎日、とても重たいバーベルを使って死ぬ気でトレーニングをするボディビルダーでさえ、なかなか脚を太くできていないのです。本気で鍛えていて普段は太く見えても、体脂肪をしっかり落とすと意外と細いものなのです。

 ですから、家でできるトレーニングでは、心配されるほど筋肉が肥大し、脚が太くなることはほぼありません。トレーニング直後に「脚が太くなった」と感じる人もいますが、それはパンプアップ(運動による負荷で血液や細胞間の水分が集まり膨らむ現象)による一時的なものです。時間が経てば戻るので、安心してください。

 フィットネスビキニというボディビル的な競技に出るかなり鍛え込んだ女性でさえ、脚の皮下脂肪が取れていないことがほとんどです。多関節が連動するスクワットは、使われる筋肉が多いため、エネルギーをたくさん消費できます。つまり、脂肪を削ぎ落す効果も高くなる。ですから、脚のシルエットを引き締めたいのであればむしろ、スクワットなどの多関節種目で脚を広範囲を刺激した方がいい。ただし太くしたくない太ももに、なるべく刺激が減るようなフォームの工夫は必要になります。

「昔、筋肉だった肉が脂肪になった」説など都市伝説に惑わされずに

 それでも、絶対に脚を筋肥大させたくない、心配で刺激を入れたくないのであれば、スクワットやランジは避けた方がいいでしょう。下半身トレーニングと言えばスクワット! ランジ! というステレオタイプな発想は待つ必要はありません。トレーニングは自由です。

 下半身には、股関節、膝関節、足関節(足首)という3つの大きな関節があります。股関節を使うとお尻が、膝を使うと太ももが、足首を使うとふくらはぎが鍛えられます。スクワットやランジは、これら3つの関節を同時に使う「多関節運動」。どんなにフォームを工夫しても、太ももふくらはぎを絶対に刺激しないのは不可能です(ある程度刺激を減らすことはできる)。そこで選ぶべきは、お尻だけに負荷が集中する種目、具体的に言うと股関節だけを使う種目です。その上で、脚に刺激がいかないよう、フォームを厳密にコントロールする。そうすれば、脚の筋肉をあまり使わずに、ヒップアップができます。

 もう一度言いますと、ものすごく筋肥大の才能のある女性は、自宅で行うスクワットでも脚が筋肥大して太くなる可能性もゼロではありません。しかし、食事との組み合わせで筋肥大よりも脂肪を削る効果を高めることは可能で、早く、なりたい体に到達できます。

 世の中には、「筋トレをすると脚が太くなる」説をはじめ、まだまだ筋肉や体脂肪に対する誤解があると感じます。「昔、筋肉だった肉が脂肪になった」説や「何度かダイエットを続けるうちに、筋肉と脂肪がミルフィーユ状に重なり太くなってしまった」説も意外と根強い。しかし、全く別組織である脂肪が筋肉に変化する生物などいませんし、「脂肪の上にできた筋肉はいったいどこの関節についているのですか?」と逆に質問したくなります。都市伝説に惑わされず、最短で目標に到達できるトレーニング法を見極めましょう。

 さて、家トレですが、関節の可動域を大きく使い、筋肉をよく縮め、よく伸ばし、代謝を上げる2種目でメニューを組み立てました。今回はヒップアップを目指しているので、最初の種目でお尻の筋肉を集中的に刺激。お尻の筋肉が疲れ、感覚が高まってきたところで、下半身全体を使う種目で代謝を上げていきます。2種目めのヒップスクワットは、スクワットでもなるべくお尻に負荷を集中するもの。股関節を深く曲げるほど、お尻がよく伸びて効果的です。腰を落とす際、上体を太ももの付け根から上体を折りたたむイメージで、行ってください。

バズーカ岡田氏が指南するヒップアップ&下半身引き締め法

ヒップアップ&下半身引き締め2STEPプログラム

STEP1は2種目のうち1種目を行う。毎日、交互に行うと変化もあってよい。プログラムは毎日続けてもいいが、週1~2日は休養日を設けよう。回数は10~30回×2、3セット。最初は少なく、徐々に増やしていこう。

STEP1-A シングルレッグブリッジ
1)あお向けになり、両ひざを立てる。左足は斜め上に伸ばす。
2)肩からひざが一直線になるまで腰を上げて、お尻にギュッと力を入れて、ゆっくり下ろす。脚を逆にして同様に行う。

STEP1-B バックキック
1)四つばいになる。左足はつま先を床につけ、右足は床から少し浮かせる。
2)右足を真後ろに蹴り上げる。このとき、ヒップ太ももの境目をギュッと縮めるイメージで丁寧に蹴り上げよう。脚を逆にして同様に行う。

STEP2 ヒップスクワット
1)両足を肩幅の1.5倍程度開いて立ち、つま先をやや外側に向ける。両腕は肩の高さで前方に伸ばす。
2)息を吐きながらお尻を後ろに突き出すように、腰を落とす。お尻が伸びているのを感じられれば正解。ゆっくり立ち上げる。

OK
股関節が深く曲がり、お尻の筋肉がしっかりと伸びて刺激が入っている。

NG
ひざが前に出てしまうと太もも(大腿四頭筋)が太くなりやすく、また膝を痛めやすいので注意。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライターサッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエットトレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

岡田 隆
1980年愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。「バズーカ岡田」公式サイトメディア情報他、日々の活動を掲載している。

筋トレをすると余計に脚が太くなるのは本当?