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Point
■西オーストラリアで金をまとう真菌が発見された

■金属と反応する真菌自体は珍しいものではないが、金は化学的に不活性のためこれと相互作用する真菌はこれまで報告がない

■この菌がなぜ金に反応するかは謎だが、彼らを利用すれば地下の金埋蔵量を安価に調査できる可能性がある

あなたの好きな「きん」は、ピカピカ輝く「金」ですか? ネバネバと物を腐食させる「菌」ですか?

今回発表された研究は、どっちの「きん」が好きな人にも興味深い話題だ。

なんと、金を集めて身に纏うという珍しい性質の菌が発見されたのだ。

この発見は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究者より発表され、5月23日付けでNature Communicationsに掲載されている。

金ってなんでもてはやされるの?

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金が高価なものだというのは誰もが知っている。海賊も空賊も北海道グルメ漫画も、探し求めるお宝はやっぱり金だ。

なぜ、これほどもてはやされるのか?

それは金の持つ化学的性質に由来する。金を含めたプラチナなどの貴金属は化学的に不活性な性質を持っている。

化学的に不活性というのは、要は化学反応しにくいという意味で、金属においては酸化しづらいことを意味している。

金属にとっての酸化とは錆びるという意味だ。

つまり金は錆びない金属なのだ。そのため古来より金は永遠不滅の象徴として、美しい装飾品に利用され続けているし、現代でも貨幣価値の担保として銀行が大量に保管している。

海底に沈んでも錆びないから海賊も大好きなのだ。

菌はどうやって生きているの?

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生き物はみんな化学反応によって生きるためのエネルギーを手に入れている。植物は光合成を行うが、これも化学反応の一種だ。

しかし、菌類は植物に似ているが光合成はできない。そこで彼らは有機物との化学反応で生きるためのエネルギーを手にしている。それがいわゆる腐食である。

菌類は地上で最も古い生き物の1つだ。調査によれは10億年前から存在していたという。そんな彼らの行う化学反応は自然界には多大な恩恵をもたらしている。植物に大切な土中のミネラルなども菌が鉱物と反応して運んでいる

しかし、今回報告された菌は、化学反応を起こしづらい金を酸化させて溶かし、自らの菌糸に細かくまとわせているというのだ。

金をまとった真菌は、他の菌よりも早く広がり、成長速度が優れているという。菌類は地下の鉱物と化学反応し、その際生成させる化学物質で周りを固める。彼らにとっては金がなぜか非常に有利に働いたのだろう。

しかし、金を身にまとうことが彼らにどういう意味をもたらすのかは、まだよくわかっていない。

なんにせよ、これは非常に珍しいことだ。発見した研究者たちも「かなり異常であり驚くべきものだ」と語っている。

菌から金を剥がして大儲けできるのか?

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残念ながらこの真菌を、直接金採取に利用するというのは、あまり現実的なプランではないようだ。

彼らは非常に小さく、電子顕微鏡を使わなければ見えないサイズの存在だ。

「なんだ」とがっかりしてしまいそうだが、落胆するのは早いようだ。

金は地下数百メートルという非常に深い高温の場所で生まれている。この真菌の存在は、地球表面上への金の移動に菌類が関わっている可能性も示唆している。

この菌の生息状況を調べることで、掘削調査をせずとも安価に地上から地下の埋蔵金量を検出することも可能になるかもしれないのだ。

こうした地上の痕跡だけで、金の鉱床を発見する試みは既に開始されているという。オーストラリアの金産業は世界第二位の規模を持つため、彼らはかなり本気でこの研究を進めているようだ。

金をまとった菌というダジャレのような存在が、巨大な利益を生む日も近いのかもしれない。

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reference:livescience,express/written by KAIN
金を見つけてくれる「菌」が発見される【埋蔵菌】