5月26日大相撲の夏場所千秋楽を観戦したドナルド・トランプ大統領が、日本の国政選挙日程をバラしてしまったという疑惑が生じている。観戦当日の13時過ぎ、トランプ大統領は日米貿易交渉についてツイート。「7月の選挙」まで進展が待たれると書いていたのだが、その原文が「July elections」と複数形だったことから、衆参ダブル選挙になることをうっかり漏らしてしまったと話題になっているのだ。

 これには自民党に批判的な層だけでなく、支持層からも「安倍首相トランプ大統領に選挙日程を教えていたのか!?」と驚きの声が続出。さらには貿易交渉の密約説まで飛び出すなど疑惑は拡大する一方だ。だが、アメリカ在住歴を持つライターは、これらの声を一笑に付す。

「“elections”が複数形だから衆参ダブル選挙? それは英語を知らない人たちの大いなる勘違いですね。7月に予定される参院選はアメリカでは合衆国上院選に相当しますが、英語ではその合衆国上院選を『U.S. Senate elections』と複数形で書き表します。だからトランプ大統領が『7月の参院選』の意味でツイートしたのは明らかなのです。それではなぜ複数形になるのか?それは国政選挙というものが、全国各地で行われるひとつひとつの選挙の集合体だから。それゆえ州単位で見る場合には『U.S. Senate election in California』(カリフォルニア州連邦上院選)と単数表記になります」

 どうやら衆参ダブル選の噂は、単なる勘違いにすぎないようだ。その原因となった英語の単数形・複数形は、スポーツ分野でもよく勘違いされるという。

「チームスポーツの優勝チームは『Patriots, 2018 champions』(2018年王者のペイトリオッツ)と複数形で書かれるのが通例。これを日本人は単数形の“champion”と書いてしまいがちです。なぜ複数形になるかというと、チームの選手それぞれが単数形の“Patriot”であり、チームはその集合体という考えがあるから。同様にクイーンの名曲『伝説のチャンピオン』も、原題は“We Are the Champions”と複数形になっています」(前出・ライター)

 ただ“歴代王者”といった括りだと、単数形で「2018 champion」と書くこともあるのが面倒なところ。日本語にはない単数形・複数形の概念は、なかなか手ごわいようだ。

(金田麻有)

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