来年11月の米大統領選で、打倒トランプ政権を目指す民主党。すでに、史上最多21名(女性6名)が候補者として名乗りを上げている。

オバマの再来”と呼ばれるオルーク氏(46)や、大統領候補として初めて同性愛を公表したブティジェッジ氏(37)ら新鋭も登場。彼らを上回るのが、前回の大統領選で旋風を起こし、若者から絶大な支持を得るサンダース氏(77)だ。しかし、次期大統領選で民主党候補に求められる最大の資質は「トランプ大統領(72)に勝てること」。急進左派のサンダース氏では無党派層の支持を得られず、限界があるとの声も大きい。

 こうした中、“切り札”に浮上したのが、穏健派の大ベテラン、バイデン前副大統領(76)。4月25日の出馬表明後、僅か1日で630万ドル(約7億円)の寄付金を集め、現時点で寄付金額、支持率ともに民主候補者でトップを走っている。過去には2度大統領選に出馬したが、大惨敗。今回は“3度目の正直”を目指す。

 オバマ前政権で2期8年副大統領を務めたバイデン氏の強みは、その豊富な実績と知名度。イラク戦争を推進した過去があるものの、反面、長年培ってきた共和党とのパイプも太い。大統領選では製造業復活を掲げ、ラストベルト(錆びた工業地帯)の労働者への支持拡大に力を注ぐ。

トランプ氏が警戒 “バイデン氏潰し”に躍起になる理由は?

 これに警戒感を隠さないのが、トランプ氏だ。側近らの「バイデン氏に構うべきではない」という忠告は無視し、「私が大統領になったのは、オバマ大統領とバイデン氏のコンビが仕事しなかったから」とツイッター戦を展開。バイデン氏に“不適切接触”されたと主張する複数の女性が告発すると、トランプ氏は自身のセクハラ疑惑はさておき、即座にバイデン氏にバイデン氏自らが“不適切接触”する合成動画を投稿した。

 トランプ氏が“バイデン氏潰し”に躍起になるのは無理もない。実際、世論調査ではバイデン氏がトランプ氏より6~7ポイント高い支持率を獲得しているのだ。ただ、バイデン氏にも任期中に80歳を迎えるなど高齢問題が付きまとう。若いリーダーを望んでいるとされるオバマ氏の推薦は求めないという。

 残り1年半。“切り札”に残された時間は意外に短い。

(近藤 奈香/週刊文春 2019年5月23日号)

セクハラ疑惑には「数え切れない握手と抱擁をしてきた」 ©共同通信社