米アマゾン・ドットコムが、腕に装着するタイプのウエアラブル機器を開発していると、米ブルームバーグ通信が伝えている。

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シリコンバレーのハード開発部門とAlexaチームが協力

 この機器は、スマートフォンのアプリと連携し、利用者の声を分析して感情を読み取ることができる。アマゾンはこれを健康関連の製品として開発しているという。

 ブルームバーグが入手したというアマゾンの社内文書によると、開発を行っているのは、シリコンバレーにあるハードウエアの研究開発部門「Lab126」と、AI(人工知能アシスタント「Alexa」を手がけるソフトウエアチーム。

 前者のLab126で生まれた製品には、AIスピーカーEcho」や、映像配信端末「Fire TV」、タブレット端末「Fireタブレット」、そして、失敗に終わったスマートフォン「Fire Phone」などがある。

 そして、この両部門の技術者が、「ディラン(Dylan)」と呼ばれるプロジェクトの下、共同作業を進めており、すでにベータテストも行っていると、ブルームバーグは伝えている。

マイクロソフト、グーグル、IBMも開発中

 人間の感情を理解する技術は、長い間、SFの域を出ないものと考えられてきた。しかしマシンラーニング(機械学習)や音声・映像認識の進歩により、技術は現実のものになりつつあるという。ブルームバーグによると現在、米マイクロソフト、米グーグル、米IBMなどのテクノロジー企業も、映像、音声データから人間の感情の状態を導き出す技術の研究開発を行っている。

 アマゾンの特許出願資料には、音声パターンを分析し、人の感情を「喜び」「怒り」「悲しみ」「後悔」「恐れ・不安」「嫌気・嫌悪」「倦怠」「緊張」などに分類するシステムの技術に関する説明が記載されている。

 アマゾンがこうした技術を使って具体的にどのようなサービスを提供するのかは、明らかになっていない。しかし、同社はAIアシスタントをより人間に近いものにしたいと考えている。これにより、利用者との会話をより自然なものにしたり、利用者の状況に合わせて、商品などを提案するサービスが生まれるのではないかとブルームバーグは伝えている。

イヤホン型のウエアラブルや家庭用ロボットも

 また、アマゾンについては、イヤホン型のウエアラブル機器や、家庭用ロボットを開発しているとも伝えられている。いずれも、同社のAIアシスタントを活用したさまざまなサービスを提供することを前提に開発していると言われている。

 これまでの情報によると、後者の家庭用ロボットは、複数の高性能カメラと、コンピューター・ビジョン・ソフトウエアが搭載されており、利用者の家の中を自動運転車のように動き回る。

 人間の後について行くことも可能であるため、利用者は、AIスピーカーのない部屋にいるときも、アシスタントサービスを利用できる。また、この家庭用ロボットは、他社のヒト型ロボットのような高価なものではなく、一般家庭が無理なく買える製品になると見られている。

(参考・関連記事)「アマゾンが家庭用ロボットを開発中

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