◆直撃取材を受けた丸山氏の隣に偶然写り込んだ桜田氏

丸山穂高衆院議員

「何と意味深で決定的な瞬間を捉えた写真だろうか!」と驚いたのは、「週刊文春5月30日号(5月23日発売)」のグラビアページCatch Up 『戦争』と『平和』」で、直撃取材を受ける丸山穂高衆院議員と偶然隣り合わせた桜田義孝・前オリパラ大臣五輪担当が並ぶ写真を見た時のことだ。

 そして過去の桜田氏の関連記事を読み返すと、「買春願望発言」の丸山氏と「買春可能バー行き」の桜田氏のどちらが悪質なのか、与野党で外務省の対応が違うのはなぜなのか、という疑問が浮かんできた。

週刊文春』の記事では、「同行団員が怒りの告発 丸山穂高衆院議員35 国後島で絶叫暴言『女を買いたい』」と銘打った4ページ記事で、5月11日に国後島を訪れていた丸山氏が戦争発言以外にも「オレは女の胸を揉みたいんだ~!」「俺は女を買いたいんだ!」などの暴言を吐いたと紹介。「(丸山氏に)国会議員の資格があるのか。答えは明らかだろう」と結んだ。

外務省職員が、サハリン訪問の自民党国会議員団を売春可能なバーに案内
 一方、グラビア写真で丸山氏の右隣に居合わせた桜田氏は、買春可能なバーに案内されたことが2002年4月5日付『北海道新聞』(『東京新聞』と『中日新聞』も同時配信)の記事「外務省職員が買春手配 自民党国会議員6人にサハリンで」で、こう報じられている。

「鈴木宗男衆院議員を団長とする自民党国会議員団七人が二〇〇〇年八月にロシアサハリン州を訪問した際、外務省職員が、鈴木氏を除く六人をホステスが売春に応じることで知られるバーに引率し、その中の一部議員に女性を個別に紹介していたことが分かった」

「関係者の話を総合すると、六人は同年八月二十一日夜、同州ユジノサハリンスクで、ハバロフスク総領事館出張官事務所(現ユジノサハリンスク総領事館)が用意した車に乗り、宿泊先とは別のホテルの六階のバーを訪れた。同行した複数の同省職員がホステスらとの通訳などをした後、一部の議員は個別に女性を伴って客室のある下の階へ行き、一時間前後でバーに戻ったという。目撃者の一部は『外務省職員が女性に現金と部屋の鍵を渡していた』と証言している。このバーはホステスが売春に応じる店として知られ、同省の現地職員も認識していた」

◆桜田氏が名誉棄損で勝訴も、売春可能なバーに行ったという事実は認められた

北方領土返還に長年取り組んできた鈴木宗男・新党大地代表

 この新聞記事では議員名を伏せられていたが、『週刊新潮』は2002年4月25日号で「『鈴木宗男団長』サハリン訪問議員団の『買春』疑惑話」と銘打った記事で実名報道をしたため、桜田氏は「名誉を傷つけられた」と提訴。2004年3月23日に東京地裁は新潮社100万円の支払いを命じた。

「買春が真実であるとも、真実であると信じた十分な理由もない」と認定したためだが、同時に桜田氏が「自ら疑惑をもたれるような行動をした」とも指摘した。これに対し、『週刊新潮』編集部は「『疑惑を持たれる行動』と認定しながら、主張が受け入れられず残念だ」(2004年3月23日配信の毎日新聞)とコメントした。

 裁判所は、買春可能なバーに案内されたという事実は認めたものの、買春をしたことが真実か真実相当かを新潮社が立証できなかったために桜田氏の勝訴にしたということだ。

外務省職員は、与党議員は案内するが野党議員は案内しない!?
 だが、『週刊文春』や『週刊新潮』による「買春願望発言」で丸山氏批判のボルテージがさらに高まっていくなか、外務省職員に買春可能なバーに案内されたことが報道されながらも名誉毀損裁判で勝訴し、オリパラ大臣にまで登り詰めた桜田氏との違いに愕然とする。

 本音丸出しの「買春願望」を口にした丸山氏はもちろん問題外だが、胸に秘めた買春願望を“忖度”したであろう外務官僚に連れられて、買春可能なバーに行った桜田氏ら自民党国会議員。それらを見比べた場合、どちらがより厳しい社会的批判を受ける行動をしたといえるのだろうか。

 先の『北海道新聞』の記事は「買春の手配などの『特別な便宜供与』は、同省が内規で定める外遊議員らに対する便宜供与基準を逸脱しているうえ、半ば常態化しているとされ、同省の改革論議にも影響を与えそうだ」という問題提起をしていた。桜田氏と丸山氏とを比較すると、与野党議員で外務省の対応に大きな違いがあることがわかる。

◆「宗男先生が拘束されてないのに、なんでオレが出られないんだよ!」

北方領土を望む根室市から、丸山議員が参加した「ビザなし交流」団は国後島など北方領土に向けて出発した

 2000年当時、与党であるサハリン訪問自民党国会議員団に対して、外務省は買春可能なバーへ案内をした。一方、今年5月に国後島を訪問した野党議員の丸山氏に対して、外務省ロシア人女性のいる店に連れて行くことはなかった。

 ちなみに『週刊文春』は、宿泊施設からの「外出禁止」を命じられた丸山氏が「鈴木宗男先生は外出したらしいじゃないか! 宗男先生が拘束されてないのに、なんでオレが出られないんだよ!」と言ったことを紹介している。当時、与党議員だった「新党大地代表」の鈴木氏と、野党議員の自分との差別的対応に気がついていたとみられる。与野党議員への外務省の対応の違いが、丸山氏の暴言の一因になった可能性もある。

 丸山氏だけを悪者にして切り捨てるだけでこと足りるのではなく、「なぜそのような暴言が出たのか」という原因分析をするとともに、桜田氏を含めた与党国会議員との比較や外務省の与野党議員への対応の違いなども明らかにすることが重要なのではないか。

<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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