オリヴェイラ監督との契約解除に至った理由に言及「ホームでの結果を重く受け止めた」

 浦和レッズは28日夜にオズワルド・オリヴェイラ監督との契約解除と後任への大槻毅監督の就任を発表した。一夜明けての記者会見で、中村修ゼネラルマネージャー(GM)は「レッズとしては誰がGMでも監督でも勝つサッカーを目指すということ」と語っている。

 浦和は昨年4月上旬に堀孝史監督との契約を解除した際に、強化体制も一新した。その時に就任したのが、以前にも浦和でGMを務めたことのある中村GMであり、当時副社長だった立花洋一氏(今年2月から社長)が強化を掌握する形になった。そのなかでクラブの育成ダイレクターとユースチームの監督を務めていた大槻氏を暫定監督に据え、同月下旬にオリヴェイラ監督が正式な監督に就任していた。

 中村GMは、昨季途中就任から天皇杯の優勝に導いたオリヴェイラ監督について「途中で来てもらい、チームを変えるよりも目標(リーグ優勝)を変えずに目指すこと、クラブとして勝つチームを作りたい、それを実現してくれた。最後まで戦う、諦めないといった姿勢をお願いし、それをやってもらった。勝つことに突出して実現してくれた」と話した。

 その指揮官との契約解除に至った理由を中村GMはこう話している。

「シーズン前の補強ポイントを(オリヴェイラ監督と)話し、必要なポジションに必要な選手を獲得して良い準備ができたし、良いキャンプもできた。期待しかなかった。最近ではホームで1勝1分5敗、内容を見てもかなり悪い試合が続いたことと4連敗(ともにリーグ戦)。練習を見ていて、試合を分析した次への上積みがなかった。コンディションについては専門家だが、トレーニングでの強化ができていなかった。最終的にはホームでの結果を重く受け止めた」

中村GM「日本人監督も何人かいると思うが…」 大槻新監督への信頼を明かす

 浦和は26日のサンフレッチェ広島戦で、ホームで0-4という大敗を喫した。こうした観点から中村GM以下、強化部が立花社長に監督交代を提案し、最終的に決断に至ったとした。立花社長は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では21日の北京国安(中国)戦での3-0勝利により決勝トーナメント進出を決めたことや、オリヴェイラ監督への感謝があることとともに、決断への葛藤があったことも明かしている。

「ACLでラウンド16まで行っていて、素晴らしい試合内容だった。その後にあの広島戦があった。そういう意味で言うと、オリヴェイラ監督に対し、私自身は大好きでリスペクトしている監督だというところで、考えたところがある。私は割とすぐに判断する人間だが、即断即決というわけではなかった。大槻という話が(強化から)来た時に、それ以外の選択肢がないのかという話もよくして、いろいろな話をするなかでベストだと」

 そのうえで立花社長は大槻監督に対して、「日本人監督も何人かいると思うが、彼は素晴らしい監督としての素質を持っている。暫定だったので実績とは言えないかもしれないが、日頃から接していていろいろな考え方がお互いに分かっているので、すごく期待感がある」と信頼を示した。昨季の就任とは違い、大槻監督に暫定など一時的であることを示すような言葉はない。中村GMも正式な監督就任であることを明言している。

 浦和は2012年にミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任した時から5年半、グラウンダーのパスを軸にした攻撃的かつ連動性のあるサッカーを展開した。カウンターから失点する場面もあったが、それを上回る得点力が魅力のチームだった。その後任としてコーチから昇格した堀監督も、そうした面は残しつつ守備の整備やサイドアタックの重視に舵を切ったが結果がついてこなかった。だが、次に就任したオリヴェイラ監督は、どちらかと言えば堅守速攻型で前線は個々の選手の能力に依存する面があった。

中村GMが監督交代で持論 「そこにフォーカスを当てさせ過ぎたという反省もある」

 そうした変遷のなかで、中村GMに浦和が目指すサッカーについて質問が飛ぶと、シンプルな言葉で応じた。

「こういうサッカー浦和レッズサッカーだというのがあって、この監督だからそれを追求できるというのを継続しなければいけない。我慢してやるのか、切り替えてやるのかというのはクラブの判断。その『こういうサッカー』というのは僕自身にはありますけど、それは違うGMが来た時に変わってしまう。そこは僕がやりたいサッカーではなく、レッズとしては誰がGMでも監督でも勝つサッカーを目指すということ。そのために必要な監督は誰だという考え方。そこは不変だと思っている」

 また、立花社長は「浦和レッズが目指すサッカーという話だが、いろいろなサッカーがあったというのが皆さんの頭の中にあると思う。今後、こういうサッカーレッズは行くんだというのが脈々と流れるようにしたい」という言葉を残した。

 一方で、オリヴェイラ監督とのやり取りのなかでは世代交代キーワードに上がっていたとした。クラブがリーグ優勝とACLの同時制覇という高い目標を掲げただけに、中村GMは「そこにフォーカスを当てさせ過ぎたという反省もある。話のなかで世代交代もあったが、フォーカスが優勝に強すぎたという反省も。メンバーも固まったまま行った部分があったかもしれない。今度は世代交代も伝えている。勝負へのこだわりは今まで通り」と話した。

3季連続の監督交代も…「世代交代しながら勝つサッカーはできる」と断言

 目標を達成するための勝利にフォーカスを当て続けるのが浦和レッズだと宣言した中村GMは「勝たないと目標は達成できないのだから、そこにこだわる。世代交代しながら勝つサッカーはできる」と言及。大槻新監督に勝利と世代交代の同時並行を求めていることを明らかにしている。

 今季で3季連続シーズン中での監督交代となった浦和だが、2016年から3季連続でメジャータイトルを獲得しているのも事実。今季もまた、この監督交代を契機に復活することができるだろうか。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和レッズの中村修三ゼネラルマネージャー【写真:轡田哲朗】